- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309411842
作品紹介・あらすじ
哲学するってどんなこと?人間の本性とは?生きる意味とは?神秘と科学をどう捉える?自分と社会はどうつながっている?-生きることを根っこから考えるための、72のQ&A。難しい言葉を使わない、けれども本格的な哲学へ読者をいざなう。深い思考のヒントとなる哲学イラストも多数。
感想・レビュー・書評
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重要なことを言っている。
何度も読み返したい。
川村易のイラストも独創的でいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
正義論が文庫化と共に追加され、近年のアメリカの正義論を批判。その軽薄さをよくついている。
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哲学とは何をすることか。何か疑問を持ったり悩んだりしているときに、なぜ自分はそういう問いを持っているのかを第三者的に考え、その上で、ではどうやって周囲、社会と関わりを持っていくのかを考えること。これが著者の言う哲学の方法論であろう。
もともと毎日新聞の日曜版に連載された内容を一冊にまとめたもので、1冊を通してのテーマ性には欠けるのは仕方がない。1つ1つのテーマが身近で、上記の方法論に基づいて考え方を紹介してくれるので、きわめて実践的でわかりやすい。 -
子供のころ、宇宙の果てはどうなっているのだろうと考え混沌とした気分になったことを思い出す。本書はそんな難問の数々を哲学的な視点で捉えることを教示し、知的好奇心を刺激する。挿入されたイラストの自己主張が強すぎてやや目障りだが、厭世的な気分に陥りがちな現代において哲学的思考の意義を説く好著。
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物理学とは、世界が合理的な法則によって貫かれているという(それ自体としては証明できない)前提のもとに、私たちの経験するさまざまな事実から法則を解読し取り出そうとする一種の「ゲーム」なのである。
しかしそのさい、その過去が「いまでも嫌なこと」だとなつかしくはなれない。とても辛かった経験であっても、それをいまの時点から「ゆるしている」場合にだけ、人はそれをなつかしむことができる。多くの人がなつかしさには「安らぎ」の感覚があると指摘するが、安らぎとは、ゆるして受け入れるということを意味しているのだろう。
自分のこれまで生きてきた過程やそこでのいくつかの経験の核心を確かめ、そうすることで、自分が生きるうえで「大切にしてきたもの」は何だったのか、をふたたび確かめなおす。そして、それを握りしめながら、ふたたび生きることへ向かおうとする。たとえばそのようにして、私たちは生のストーリーを再構築するのである。
何が価値あることなのかが自分のなかではっきりしていて、自分がそこをめざして進んでいると思えるとき、人は他人の視線にあまり脅えないですむ。だれがなんといおうと我が道を行く、というふうな「気概」をもつこともある。しかしいまの大衆化した大学の学生には、大義も人生の目標も与えられない。そして進むべき方向がはっきりしないとき、人は自分自身の存在を肯定することができない(俺ってカッコいいとなかなか思えない)。だから「他人から嫌われない」ということが自分を支える最後の手段になってくるのかもしれない。
この「ほんとうに意味あること」をなしたいという思いは、その意味を自分のなかで、また他者とのあいだで確かめあうことによって生き生きと保たれる。
「社会について語ること」が全体を見晴らす特権的位置に立つことでなく、同じ社会に生きている人々の存在を信じ、そこに生じることを「われわれの」問題としてとりあげ改善しようとする努力であるなら、それがなくていいはずがない。
すなわち社会は、私たち各人がそこに向かって働きかけ、何かよい影響を与えたい、と願うようなものでもある。