異性 (河出文庫 か 10-5)

  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (243ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309413266

感想・レビュー・書評

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  • 角田光代と穂村弘が『異性』をテーマに語るエッセイ。お互いに男と女という立場から、こんな場合は男(女)はこう思っている、とセキララに語りあう内容に共感と発見の嵐でした。上手く言葉に表現できないもやもやをハッキリと教えて貰えた気がします。両者とも、言葉の表現が秀逸。

  • 男と女は違うもんだなと改めて思った
    龍のネックレスのくだりとか面白かった

  • コストコのでかいガトーショコラみたいな一冊。甘いテーマを多少は甘さ抑えて書いてるんだけど、それでもそりゃ甘みはあるもんだから量の多さに辟易して舌がバカになって徐々に味がしなくなってしまった。

    ・私はモテないという女性がよくいるが、それは「自分の好きな人にモテない」と言っているのだ

    ・未婚の女性が増えたのは、好みを変えない、己の審美眼を更新もせず変更もせず信じ続ける女性が増えたということだと思う

    ・いちばんおそろしいのは、中途半端に綺麗な子がモテたいが為に、もっと綺麗に見せようとする、爪を塗る、髪を染める、アイプチをする、肌を露出する、などなどするともう確実に嫌われる。

    ・非モテが自意識ゆえにあからさまなオシャレや化粧をしないのと同様に、モテに属する女の子たちもまた、お洒落に全く気を遣っていないようなお洒落、素顔にしか見えないような化粧などで身を守る。


    上記のような金言を賜りました。どれも面白いけど、男性と女性の意識の違いこそゲームのやりこみ要素なんだから、恋愛の駆け引きを楽しめない人はいつまで経っても楽しめないよな。それ相応の装備があって戦えるからこそこう言えるのかもしれないけど。持ってない人のことは分かりません。

  • 「非モテ」に属すると思われる作家お二人の往復書簡形式エッセイ。手紙のやり取りのようにお互いのコメントを受けて返し合う言葉から立ち上がるのは「男」と「女」の間に立ちはだかる越えられない溝のお話。
    穂村さんの視点はユニークでユーモラスで嫌味がなく、角田さんは鋭さと捻くれた感じが中々辛辣だがたしかに共感は持てる部分もある。
    角田さんの刺を穂村さんがマイルドに包み込んでくれるかのような…

  • 穂村・角田の交換日記のような形式を愉しんだ。異性を理解できない理由について、男サイドはあるあると思う部分もあったが、女サイドで書いていることはやっぱりよくわからなかった。理解し合えない部分"も"あることがいいのだ、と思うことにする。

  • 面白かった。掛け合いというか、お互いに手紙を書き合っているようなリレーエッセイで、こんな形式のやりとりも、面白いなあと思う。

    お二人とも、どちらも「モテない」「自意識が苦しい」という悩みが一緒で、「そんなことないですよ」「いやもう、自分なんて」みたいな、応酬が面白かった。それも、お二方とも40代ということで、ちょうど恋愛を意識しまくる年代を過ぎているのが、よりマイルドで読みやすいのかも。「なんだったんだろうね、あの熱量…」というスタンスに、何度も声を出して笑った。

    角田さんのエッセイは初めて読んだが(小説もあんまり読んだことないかも)、自分の醜いところをさらけ出すことを厭わない姿勢が正直な人だと思った。多かれ少なかれ、誰もが思ったことがある、自分以外への強い憧れや、それが元になった逆恨み。そんなのを堂々と出していて、迫力がある。あけっぴろげな性格で、付き合いやすそう、友達のエピソードとかも多くて、敵もいるが仲間も多そうな人だと感じた。

    40~50代女性に共感する人が多いんだろうなあ。(一度の離婚と二度の結婚ってことは、いま結婚してるの?そうなの?え、じゃあいいじゃん!と思ったり)

    穂村さんは相変わらず好きなユーモアというか、言葉のチョイスがすごい。直球で世の中を捉えに来てくれる感じが頼もしい。文章の中で光り輝く人、すごく頼り甲斐がある人だ(実物はすごく頼りないんだろうと思う)。

    男女の違い、ではあるけれど、ある種、非モテという共通点があるふたりがタッグを組んでモテに立ち向かうところもあった。きっと、価値観がぜんぜんちがう人たちだったら、お互いを押さえつけたり、優劣をつけたりするのに必死になって、こんなに面白い会話にはならないだろう。

    面白かったところと、その感想を箇条書きにする。

    ***
    ・女性が求めているのは「物語性」(これを披露し合うのを「読書会」という、穂村さんの表現も絶妙)。男性はそれに圧倒される(何か怖いものを感じる)。
     ⇒ 納得&反省。知っといてよかった…。

    ・女性は尽くしたい相手がいるのではなく、尽くしたい何か抑えがたい衝動があって、その捌け口を相手に求めている。
     ⇒ たしかに……。でも女性でも、その衝動の強い、弱いはけっこうある。さばさばしている人も、けっこういる。(そういう人の方が、結婚してたりもする。)

    ・奢る/奢らない問題は、女性が「それが当然」と思っている方に男性が合わせてしまうだけで、奢る/奢らないでその人のことを好き、好きじゃない、の判定にはならない。
     ⇒ そっか~。気にしすぎなくていいのか。でも、じゃあ好きなら何するの…?好きって何…?

    ***

    結局、みんなが気になるのは、男性でも女性でも、「今気になっている人が自分を好きかどうか」「好きになってもらうにはどうしたらいいか」そんなことのような、気がする。つまり恋バナ。

    でも穂村さんが引用していたように、触りすぎるな、それが薔薇だ。もう、そこにあると思った時には恋はあるもの。理屈じゃない。そして気づいたときには、なくなっている。

    理論でコントロールできるものじゃない。感情や、いかんともしがたい運のようなものが先にあって、それを理解するために、理論があるんだろう。あんまり考えすぎなくていい。大事なことは、言葉にしなくても、考えなくても、体で分かってしまっている。

    こういう「異性論」、身近な人たちとやりたいなあと思った(というか、いま好きな人がいて、その人の本音を聞きだしたいと思った)。
    そういう、「異性論」の持つ、思惑を考えると、結婚したり、落ち着いたりすると、こういう議論の輪から、ひとりずつ脱落していくんだろか。なんかそれも寂しい。

    年を取っても、ずっとこういう話をしあえる仲間がいたらいいなあ。とても面白い本でした。

  • なんだかもっと共感できると思ったが、雑に読みすぎたのか世代の違いなのか、あまりわからないまま終わってしまった

  • 穂村弘さんの世界の見方は面白いな。

    本を破ったことを許してくれないなんて、こっちから願いさげは中々ひどいよな。

    ゴシックロリィタが戦闘服に見えるっていうのは確かに間違っていないように感じる。それを身につけることには、ファッションにとどまらない、生きることが含まれていそうだから。

  • 角田さんとほむほむが往復書簡形式で(ほぼ)1つのテーマについて男女それぞれからの論を述べている。角田さんはすごい女らしい感じもしないし、ほむほむだってやわな男子な感じ……だけど、やっぱり女は女で男は男なのかねえ。異性にモテモテじゃなさそうな二人が人生のなかで体験したきたことを語り合うといろいろ面白い発見がある。女の恋愛譚は長編劇画で男は4コマ漫画とか。何となくそうしてしまうし、同性間でも異性間でもその何となくのままにしていることも、ちょっとこうして考え異性の意見を知るだけでどことなく解けてくる感じがするのだけど……これでわかったつもりになっちゃダメだとも思う。
    わが身に照らし、特にゾクッとしたのは対人的なスペースというか、スキとか余裕のなさが縁遠さを呼んでいるようだという点。隙が好きを呼ぶのですな。しかもこれは角田さん(女)、ほむほむ(男)ともに納得、つまり男女の別なく大切な要素のようで……。

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著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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