テレヴィジョン・シティ (河出文庫 な 7-39)

著者 :
  • 河出書房新社
4.13
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本棚登録 : 244
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (707ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309414485

感想・レビュー・書評

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  • 鐶の星のこと、アナナスやイーイーのことが、最後にはなんとなく分かったような、分かっていないような。ひとりだけ終わりがないようで切ない。
    曖昧なのが尚更幻想的で、確かに全てを知りたくはないというか分からなさに救われているような気もして、いつまでも心に残っている。

  • 新装版で再読。
    本書と『新世界』は長野まゆみ作品の中でも人気作だと思うのだが、久しぶりに読むとやっぱり面白かった。
    謎めいた世界が広がる中での少年たちの人間関係、終盤に向かうにつれて徐々に満ちてくる崩壊の気配、そしてラストシーンと、読み返すたびに何か新しい発見がある。
    刊行当時も話題になった『暗号』は、著者が『あとがき』で『意味は無い』『解読する必要は無い』と名言したにも関わらず、知りたい読者が多数いたようだ。確かに最初に読んだときは気になったが、私は根気も語学力も無いので解くのは諦めたw(※余談だが、検索すると解いた人が回答を公開している。いい時代になったもんだ)
    巻末の解説にも書かれていたが、本書はその後の『新世界』に繋がる多くのモチーフを内包している作品でもある。また、『新世界』の後は少し作風が変わったように感じられる。そう考えると、本書と『新世界』は一種のターニングポイントでもあるのかな、とも思う。個人的にはこの頃の作品が一番好きなので、またSFを書いてほしい。

  • 新装合本版。読むのはかなり久しぶり。
    乾いた白く銀色の世界、機能が停止していく恐怖。碧い惑星への憧れ。ラストの寂寥感。あんなに晴れやかな夏の描写なのに、これまでの積み重ねにより虚無に思える。何度読んでもイーイーのちょっと捻くれた献身さが良い。理解出来ない部分もあるが、そこをあれこれ考えるのも楽しみのひとつ。長野先生の初期の到達点的作品と言える。

  • 大好きな小泉悠氏がその世界観に圧倒されたと語っていた事から、何の予備知識もなく図書館で借りて読み始めた。

    この作品を読むには私は歳をとりすぎていた感あり。小泉悠氏のお勧めとブクログの星の数、そして図書館の返却期限が無ければ数頁で投げ出してたと思う。とは言え後半は一気読み。
    自分の存在に悩み、嫉妬し、自分を管理している何者かから逃れようともがいている様は、10代の頃に読んでいたら胸が苦しかっただろうと想像できる。
    最後の手紙の日付から、ストーリーがループしているのがわかる。最初に戻って確認し始めたら止まらなくなってしまった。私自身が作品の中でループしている感覚に陥る。
    よくわからない部分がたくさんある。
    答え合わせがしたい。

  • 長野まゆみをただのBL作家だと思うのは間違い。テレヴィジョン・シティに勝る耽美的SFファンタジーを知っていたら教えてほしい。
    本家にあたる宮沢賢治の銀河鉄道の夜だろうか。
    またこんな本に巡り会いたい。

  • 『千年王子』のほうを先に読んだことがあるけれど、似てるなぁというのが一番。上か下かも、ブルゥかレッドかも不確かな閉じられた世界での幻想。これが本当にわたしたちの未来になるのかなぁと感じさせてくれるような話。記憶を失ってダメなやつになってるアナナスを苛立ちながらも優しく見守ってくれるイーイーが好きです。

  • 上下巻が1冊になった復刊も登録します。
    内容は変わらずなので解説のみ読みました。
    長野まゆみさんによると、「少年」とは「性別分化前の存在」だそうです。
    初期の少年はこの感じがします。好きです。

  • ジロがとても好き。

    意地悪で高慢だけど、アナナスに対する分かりにくい優しさが見え隠れしていた。

    だからこそ、二人が歩み寄れていたら……と思ってしまう。

  • 2017/08/18/Fri.(ブックオフにて中古で購入)

  • 海外のSFに飽きてきたので、日本人作家の作品を読んでみたのだが、意外に面白かった。児童文学みたいな感じだが、内容はかなり大人向け。意味不明な単語や現象が出てくるが、その謎が解明されていく過程が面白い。ただ最後まで分からない部分もある。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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