- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309419503
感想・レビュー・書評
-
「著者初めての【食】ベストエッセイ集」とオビにあります。以前に読んだ文章も収められていたけれども、新たな気分で楽しめました。料理の話でもあると同時に、映画界や文壇の話でもあり、夫婦の話でもあり、旅の話でもあり。食事に対して情熱を燃やす人は自分の職業にも情熱を燃やす人である、というのがこの女優の信念だったようで、いたるところで繰り返し述べられています。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「思い出はなつかしむもの、溺れるものではない」とは、私の持論だが、喜びも悲しみも、一つ一つ重なり合って人間をつくる。どんなささやかな喜びも、どんな大きな悲しみも、かみしめて自分のものにしてゆくことである。とるに足らぬタクアンの思い出でも、私には、なにかにつけて、なつかしく思い出されて、私はそのたびに、強力ビタミンでものんだように、しゃんとするのである。
思い出と現在は、常に違ったものでありたい。昨日より今日、今日より明日に、たとえ、一歩ずつでも前進していたい。
が、振り返って、自分をいとおしむ心の余裕もほしい。
【タクアンの思い出】 -
高峰秀子と言えば、「犬神家」の松子夫人。というイメージしかなかったけど、こんな人だったんだ。
「食べることに情熱のない人は、他のことにも情熱が薄い」は名言。 -
「私の渡世日記」も素晴らしかったが、本作も同じく。
日本語の美しさ、食に対しての造詣の深さ。
凛と、筋が通っている。
こんな風に生きてみたいものだ。 -
高峰さんの本はほとんど読んでるつもりだが、食をテーマに集めてみれば、「あ、これ知らない」もけっこうあって得した気持ち。
メシの描写のうまさもさることながら、いつ読んでも夫婦愛に胸打たれるぜ。