- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309419732
感想・レビュー・書評
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河出文庫の吉屋信子作品・新装版連続刊行第1弾。
表題作の「返らぬ日」「裏切り者」のような心をぐさりと貫かれる作品も良いが、個人的には「七彩物語」「五月と桐の花」が良かった。
「五月と桐の花」は4pととても短い作品なのだが、寄り添う二人、五月の空、花の香りがふわりと浮かんでくる。
「七彩物語」は7つの章からなる作品で、“みさをさん”がアルバムの写真の“◯◯の君”について語る話。どの娘のエピソードもしみじみと素敵なんだよなあ。締めのみさをさんの台詞も良いし、「クリームの君」の「貴女風月へ出かけてシュークリームの君でもお慕い遊せ」には笑ってしまった。
“Sweet Sorrow”(p127)なこの世界にずっと浸っていたいなあ、と思う作品集だった。 -
少女たちの愛の力強さとひたむきさが眩しかった。斜線堂有紀先生の解説も必見。
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読了。表題作の返らぬ日と賛涙頌が好き。
特に返らぬ日ではあるが、全編通して少女たちのプラトニックで美しい愛が描かれていて、女性同士の関係として理想とも言えるものが見られて満足。
また当時の時代背景も当たり前ではあるが色濃く書かれていて、女学校という閉じられた園の美しさ、結婚という決められた結末がある少女たちの切なさ…みたいなものを強く感じた。
返らぬ日では彌生とかつみの柔らかく優しい日常を描いた部分があるからこそ、最後の結末には思わず涙してしまった。 -
全編これ吉屋信子!という一冊。まずタイトルからしてしびれた。「返らぬ日」ときたら、『花物語』の冒頭にあったあの一文がぱっと思いだされる。
「返らぬ少女の日の ゆめに咲きし花のかずかずを いとしき君達へおくる。」
横文字多めの女学生たちの会話にうっとり。表紙も素敵だった。 -
これこれこういうのが読みたかったんだよ!な百合でした。
表題作「返らぬ日」、女学生2人の出会いと別れ。吉屋信子だしタイトルからもう……ね?愛は不敗だが、必勝とは限らない……。
個人的に刺さったのは「裏切り者」で、ラストの一節がとても印象的でした。 -
<学生コメント>
女の子同士の恋愛がまだ認められていなかった頃。少女たちの恋愛模様と葛藤が切なく描かれています。