西瓜糖の日々 (河出文庫 フ 5-1)

  • 河出書房新社
3.85
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  • Amazon.co.jp ・本 (209ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309462301

作品紹介・あらすじ

コミューン的な場所、アイデス"iDeath"と"忘れられた世界"、そして私たちとおんなじ言葉を話すことができる虎たち。西瓜糖の甘くて残酷な世界が夢見る幸福とは何だろうか…。澄明で静かな西瓜糖世界の人々の平和・愛・暴力・流血を描き、現代社会をあざやかに映して若者たちを熱狂させた詩的幻想小説。ブローティガンの代表作。

感想・レビュー・書評

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  • なにがっていうのは説明できないけどとにかくよかった

  • 2024.1.11

  • 村上春樹以前の村上春樹的世界とでもいえばいいのか。
    並行現実のしずかな営みにある、狂気。だれもが自分が正しい。

  • 初ブローティガン。
    原題”In Watermelon Sugar”。
    全88断章が連なる、寓話。
    「西瓜糖の世界で」「インボイル」「マーガレット」の3チャプター。
    寓意は簡単に判りそうな気も、する。
    時間と、忘却と、生と死と、無関心と、自己欺瞞と……。
    が、あまり茫漠としすぎていて、全然判らないという気も、する。
    つまり村上春樹っぽい。
    影響関係でいえば逆なのだが。
    (また、高橋源一郎、小川洋子、柴田元幸、岸本佐知子、etc...)
    SFではないが、ユートピア≒ディストピア、の系列。
    また、地図を描きたくなる。
    アイデス : 忘れられた世界
    あるいは忘れられた世界の中に孤島のようにアイデスがあり、アイデスの住人の住居はその辺縁にある?
    人々(わたし、チャーリー、ポーリーン)(マーガレット→) : インボイル
    という構図か。
    清教徒的・小市民的生活と、対立。
    時系列的にヒッピーから生まれた文芸では決してないらしいが、やはりヒッピーとの親近性はありそう。
    語り手の「わたし」がむしろ阻害「する」側で、インボイルやマーガレットのほうが読者に近い。はず。人間っぽい。
    語り手が実は鼻持ちならない側、というのも、春樹っぽい。

    連想。
    タイガー立石「とらのゆめ」。
    虎と西瓜から。
    ドラッギーなところとか。

    連想2。
    突飛かもしれないが、「マインクラフト」。
    世界の素材が西瓜糖、というところから。

    藤本和子の文体、好き。
    訳書をいくつか読んでから「塩を食う女たち――聞書・北米の黒人女性」を読みたい。

    • knkt09222さん
      確かに翻訳を読むときは「よいしょっ」と気合が要りますね。
      『すばらしい新世界』のご感想を拝見しました。
      いつか読みたいと思っていたので、...
      確かに翻訳を読むときは「よいしょっ」と気合が要りますね。
      『すばらしい新世界』のご感想を拝見しました。
      いつか読みたいと思っていたので、読むリストに入れ直してみます。
      2023/12/13
    • 傍らに珈琲を。さん
      わぁ有難う御座います!
      とっても嬉しいです!
      私はですね、調子に乗って『華氏451度』も『ソラリス』も『一九八四年』もここに積んでるのですが...
      わぁ有難う御座います!
      とっても嬉しいです!
      私はですね、調子に乗って『華氏451度』も『ソラリス』も『一九八四年』もここに積んでるのですが…
      まだ「よいしょっ」となれずにおります 笑
      2023/12/13
    • knkt09222さん
      その3作、映画という裏技もありますが……。
      「すばらしい新世界」は映画がないので読んでみます!
      その3作、映画という裏技もありますが……。
      「すばらしい新世界」は映画がないので読んでみます!
      2023/12/14
  • 世界観が「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」と似ていて好き

  • 内容を理解しようとしても訳がわからなくなってしまう。もはや何か見落としているのか?読み飛ばしたのか?意図を掴もうとすると、するりと文章が飛んでいってしまうような。西瓜糖のように味の薄い感情の抑揚がない人々に共感することは難しい。

  • 本当に久しぶりに読んだ。藤本和子の訳文の美しさに改めて気づき、その空気感に酔いしれた。

  • 「そういうのはずるしてる、というのじゃないのかな」

    「風が起こって、窓がかすかに震えた。風で、脆そうに半開きになった砂糖」
    綺麗すぎるイメージ

    「わたしたちが恋人同士になると、かの女は夜の長い散歩をやめた、でも、わたしはいまでも散歩する。夜、長い散歩をすることが、わたしは好きなのだ。」
    怖い

    マーガレットが好きだった

  • 195Pと少ないが、3編に分かれていて趣のあるタイトルの少ページが連なり1つの物語になっている。西瓜糖で作られた小屋や橋、鱒が泳ぐ川や彫像がところどころにあるという虚構の美しい世界の中でも悲しい思いを抱いている人や残酷な出来事もあるようで、なかなか興味が続かず読み進まなかったけれど名前のない主人公が忌み嫌っているように感じたマーガレットとの過去に触れた2編から一気に進んだ。けれど、好みではなかった。
    残酷でも楽しそうな出来事でも一貫として訥々と語る主人公は村上春樹の作風を思い出した。
    虚構の世界の物語というと小川洋子『密やかな結晶』、金子薫『鳥打ちも夜更けには』の方が好き。

    • miyacococoさん
      111108さん、コメントありがとうございます!ほんと、なぜでしょう…まさに舞台上の閉ざされた場所の話という感じ、わかります。解説には死後の...
      111108さん、コメントありがとうございます!ほんと、なぜでしょう…まさに舞台上の閉ざされた場所の話という感じ、わかります。解説には死後の世界のように思える、とありましたがそこにピンとくるものは今のところないので読みが足りないのかも?などと思います(((^_^;)
      2023/08/27
    • 111108さん
      miyacococoさん、私も解説読んでもあまりピンときませんでした。読みが足りないのかな。でもはっきりしなくてもいいかなぁとそのまま放置し...
      miyacococoさん、私も解説読んでもあまりピンときませんでした。読みが足りないのかな。でもはっきりしなくてもいいかなぁとそのまま放置してます(-.-;)
      2023/08/27
    • miyacococoさん
      111108さん、そうですね。私もそのまま放置にするつもりです。それはそれで印象的に残るかもだし(笑)
      111108さん、そうですね。私もそのまま放置にするつもりです。それはそれで印象的に残るかもだし(笑)
      2023/08/27
  • 静かで穏やかな西瓜糖の世界だけれど、何かが失われている、という感じがした。それが何なのかはわからないのだけど、〈忘れられた世界〉に置いてきてしまったものだろうか。何が正しくて、何が悪いのかもわからない。心のことのように、考えてもわからないことってある。

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著者プロフィール

作家、詩人。1935年、ワシントン州タコマ生まれ。56年、ジャック・ケルアック、アレン・ギンズバーグらビート・ジェネレーションの集うサンフランシスコへ。67年に小説『アメリカの鱒釣り』を刊行、世界的ベストセラーとなる。主な著作に『西瓜糖の日々』『ビッグ・サーの南軍将軍』など。風変わりで諧謔に富んだ作風は世界中の若者たちの想像力をかき立てた。84年、ピストル自殺。

「2023年 『ここに素敵なものがある』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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