- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309463087
作品紹介・あらすじ
夏休暇をすごすため、政府高官の息子ドローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再会をはたす。粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。だが壮大な機密計画がふたりを分かつ…少年の忘れえぬひと夏を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説、待望の完全新訳版。
感想・レビュー・書評
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本書は1975年に執筆されたSF青春ストーリーの古典的名作。
本書を知ったのは、読書好きな人には有名な作品である「文学少年少女あるある」を面白可笑しく描いたギャグ漫画『バーナード嬢曰く1巻』で取り上げられていたからだ。
『バーナード嬢曰く』は“名著礼賛ギャグ漫画”とも言われており、その中の主要登場人物であり大のSFマニアの神林しおり嬢が本書『ハローサマー、グッドバイ』を「SF史上屈指の青春恋愛小説」として激推しているのだ。
本書は、ある星に住む人間と同じ姿かたちをした少年少女たちの恋愛を主題にした小説なのだが、SFとはいうものの、地球以外の星を舞台にしたということと、ちょっと変わった動物がでてくること、そして『寒さ』が悪の権化であるということを除けば、地球上の思春期を迎えた少年少女の恋愛小説と何ら変わりない。
そして読み進むにつれこのまま恋愛の話で終わるのかと思いきやラスト50ページからの怒涛の展開には度肝を抜かれる。
表紙のほのぼのとした可愛らしい女の子のイラストからは想像できない、まったくもって硬派な小説になっていくのだ。
これはSFファンならずとも、まさに一読の価値ありだ。神林しおり嬢が激推しするのもうなずける。
しかも、この本には著者が本書『ハローサマー、グッドバイ』から30年以上後に著した『パラークシの記憶』という続編も存在する。
この続編もいずれ読んでみたい。
と言う訳で、『バーナード嬢曰く』に取り上げられる本には、名作、古典が多く、読書通を自称する人たちにはちょっと読んでもらいたい漫画である。
・・・って、このレビュー『ハローサマー、グッドバイ』のレビューというよりも『バーナード嬢曰く』のレビューになってるんじゃね? -
SF恋愛小説。忽然と消えた野営者達。もしドローブがブラウンアイズの恋人じゃなかったら,大衆切捨の政府方針に反発せず,地下シェルターで過ごし,最後,氷河期を乗超える"秘策"とらず死んでいたかも。
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夏休み。
きっと、私たちにもこんな、甘酸っぱい恋愛の記憶と冒険のスリルと理不尽な社会に対する反発で胸がいっぱいだった季節があった。
うそ、なかった。 -
地球ではない架空の世界で起こる、少年少女の青春の一幕を描いた小説だと思って読んでいた。
ところが読み進めるにつれて、物語は思わぬ方向に奥行きを見せていく。
最後に主人公が見つけ出した答えをみて、まるで悪夢から目覚めた時のような、ふわっと身体が軽くなる感覚が押し寄せた。
だけど、本当に自分が悪夢から目覚めることができたのかどうか、読み手側はただ信じることしかできない。"凍えるほど"読後に考えさせられる作品。
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夏休みに読みたい小説、として紹介できる本を探していた時に評判が良い本書を発見しました。
タイトルに「夏」とあること、SF小説でありながら少年の恋愛や成長をテーマとした比較的ライトな小説であることを知り、手に取りました。
政府高官の息子であるドローヴは、戦争中という特殊な状況かでありながら父の権威による恩恵を受けています。夏には別荘地へ家族旅行をする余裕すらあるのです(もっとも、周囲とは違うのだ、という両親の姿勢に反感を抱いてはいるのですが)。
しかし、ドローヴは夏の旅行を楽しみにしていました。昨年の夏、別荘のある港町パラーシクで出会った少女ブラウンアイズと再開できるかもしれない、と淡い期待を膨らませていたからです。
親の庇護から抜け出たいとねがう少年の葛藤、仲間うちでの立ち位置をめぐる諍い、そして恋。
舞台は地球とは異なる「異星」であり、SFならではの舞台設定があるものの、作品全体を通して描かれるのは少年主人公の成長ですから、YA文学としても多くの生徒に薦められる本だと感じました。
個人的には、結末に「あまりに救いがなさすぎる」とも感じたのですが、このような結末以外には考えられない(ハッピーエンドになったらなったで、「ご都合主義」と思う気もします)作品ですし、「名作」として読み継がれていることに納得できる1冊でした。
昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管...
昨年ブクロクに登録した本の中からベスト7を選びました。
なお、平成31(2019)年3月27日に読み終わった本からブクロクで管理するようにしています。
① なんとなく・青空 / 工藤直子 / 詩 / 本 /読了日: 2019-12-11
② 螢草 / 葉室麟 / 本 / 読了日: 2019-12-16
③ あなたのためなら 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 /読了日: 2019-04-10
④ 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺 / 田牧大和 / 本 / 読了日: 2019-05-04
⑤ あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇 / 田郁 / 本 /読了日: 2019-09-14
⑥ てらこや青義堂 師匠、走る / 今村翔吾 / 本 / 読了日: 2019-08-27
⑦ ひかる風: 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(四) / 中島久枝 / 本 / 読了日: 2019-07-23
※もしよろしければ、皆様の昨年感想を書かれたものの中からベストの順位を教えて頂けたら嬉しいです。
やま
こんにちは。
コメントありがとうございます。
松岡圭祐さんの「高校事変シリーズ」の本を書店で字の大きさを確認...
こんにちは。
コメントありがとうございます。
松岡圭祐さんの「高校事変シリーズ」の本を書店で字の大きさを確認してみます。
読める字の大きさであれば、図書館に予約します。
有難う御座います。
やま