捏造の日本史: 偽史をつくったのは誰か?なぜ信じられたのか? (KAWADE夢文庫 1133)
- 河出書房新社 (2020年1月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309485331
感想・レビュー・書評
-
なんだってー!与那国島沖の海底遺跡は、自然が作り上げた
ものだってぇ?
なんだってー!足利義満は皇位簒奪なんて考えなかっただってぇ?
なんだってー!日本を代表する「悪女」と言われた日野富子は
まったく「悪女」ではなかったってぇ?
なんだってー!坂本龍馬の「船中八策」は船の上で伝えられた
のではなかったってぇ?
なんだってー!「慶安の御触書」は徳川幕府が出した御触書では
なかったってぇ?…あ、これは知ってたわ。
てな具合で、俗説だったり後世の創作から「史実」だと思われ、
教科書に載ったり、自治体がありがたく報じている27の偽史を
解説している。
縄文人が南米に渡航していたとか、日本人=ユダヤ同祖論とか、
源義経は大陸に渡ってチンギス・ハンになったとか、安倍晴明
は超能力者だったとか。
「んなわけなぁ~い」と思うのよ。確かにさ、「そうだったら
面白いよなぁ。ロマンだよなぁ」とは感じるけどね。
でも、一定数、史実と空想の区別が出来ない人っているんだよな。
そんな人たちを引き付けるんだろうね、偽史って。
かの大ベストセラー、百田尚樹大センセイの『日本国記』の
記述を引用して、盛大に突っ込んでいるところも好き。
言ってやってくださいよ、百田に。「偽物を偽物と見抜けない
人は…」って。でも、どれだけ突っ込みどころがあるのかを
確かめたくて『日本国記』を読みたくなったよ。
俗説やフィクションを元にした偽史だけではなく、研究が
進んで以前とは異なる解釈になった例も掲載されている。
私が小学校の頃に習った「士農工商」の身分制度って、今の
教科書には掲載されてないのね。そういや、一時期「聖徳太子」
の名称を廃止するってなニュースもあったっけ。
各章、丁寧な解説、偽史を覆す参考文献の引用もあって、
日本史が苦手な私でも興味深く読めた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2022-12-07
前々から気になってた。27もの「偽史」が、その内容から、生まれた経緯、現在の扱いまでスッキリと纏められている。たぶんそれぞれ深掘りすればそれだけで1冊になる内容を、ざっと知ることが出来たぶん、お得。
しかしいくつかはこれまで史実と信じてたなあ。吉田兼好、山田長政、家康の名言。あと義経ジンギスカン説(笑) -
山田長政は清水の次郎長の陰謀で(若干異なるのだが)流通したとか、リアル山田長政とは異なるとか
日ユ同祖論の人が、ユダヤの陰謀関係もやってたとか、いろいろ面白い。
「かわいそうなぞう」他、情け容赦なくきちんとした資料を繰りちゃんとした考証を重ね、やっていくのはまぁ好感が持てる。