- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309630014
感想・レビュー・書評
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わかるようなわからないような、煙に巻かれる部分もあったが、途中妙に勢いがついて次々読める部分もある。書いてる側は楽しいのではないか。世界を創造する楽しみを感じさせる三重帝国の設定や出来事は、東欧らしい暗い霧がかかったような謎を孕む空間を生み出していて快感。もっと読み続けていたくなる。
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アブラム・デイヴィッドスンの作品。「眠れる童女ポリー・チャームズ」は、異色作家短編集の狼の一族にも収録されている。デイヴィッドスンは、どんがらがんの「さもなくば海はカキでいっぱいに」も良い。
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架空の国スキタイ=パンノニア=トランスバルカニア三重帝国を舞台とした幻想的な事件をあつかった連作短篇集。
主人公・エステルハージ博士の活躍はシャーロック・ホームズを思い出させるが、単純なパロディではなくミステリ、SF、ファンタジーいずれにも収まりきらない奇妙な味わい。
おそらく膨大な量の元ネタがあるのだろうがよくわからないので、せめて表紙裏の地図を参照しながら、この奇妙な国の住人気分を味わいたい。 -
鬼才アヴラム・デイヴィッドスンの主著の一つとされる、奇妙な連作集。20世紀の初頭、バルカン半島の中央部に位置する、架空の国に起こる様々な事件を、彼の国の最大のインテリであるエンゲルベルト・エステルハージ博士が解決するというのが基本的なフォーマット。ただし、これだけから連想されるような、一般的なミステリのシリーズとはかなり趣を異にする。事件そのものがいわゆる「事件」ではなかったりするわけだ。架空の帝国のディテールが絶妙にそれらしく(言うまでもなく、これは絶妙に嘘くさいと言っても同じことだが)て楽しい。
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好みの素材は揃っていたが、少々難解だった…外人の人名(愛称)は難しいよな…。「眠れる童女」「熊と暮らす老女」「真珠の擬母」がよかったかな。
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謎は謎のまま、曖昧なものは曖昧なまま終わるふわっとした雰囲気やどこか切なくて懐かしい哀愁漂う世界観は好み。少しまどろっこしいけど。
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7/11 読了。
これは好きだ!「どんがらがん」も読もう。池澤春菜の「乙女の読書道」で知った。 -
アヴラム・デイヴィッドスン著。東欧の架空の国を舞台に、エンゲルベルト・エステルハージ博士が出会う八つの怪奇譚。
とにかく文章が読みにくい。この手の幻想小説にありがちな衒学的な装飾過多さ。何が起こっているのか分からず、思考停止することもしばしばあった。正直、その点だけ考えると私はあまり好きになれない。ただ登場人物や架空の国のもつ胡散臭さにマッチしているので、イライラするというより思わず笑ってしまうようなことが多かった。
読後感は何だかノスタルジックというか、後書きにもあったが、シャーロックホームズのようなものを感じた。怪奇なものが科学的に証明されていないが故に跋扈できた、そんな時代の雰囲気。 -
原文のせいか翻訳のせいか読みにくくて途中で断念。いわゆる探偵もののミステリを期待してたけどちょっと違った。
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終わるのがもったいない世界幻想文学大賞。軽やかなボルヘス。これは楽しい。読書の楽しみってこういうものだと思うし、難解にとらえようが文章を楽しもうが雰囲気に遊ぼうが、自由だ。