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- Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784309711898
感想・レビュー・書評
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スヴェン・ヘディンのネタ本にもなった、19世紀後半の中央アジア探検の記録。
本書は、プルジェワルスキーの1883-85年の第4回目の探検の記録で、キャフタを出て、青海を経てロプ・ノールに至り、ホータン経由でカラコルに戻るという長大なものである。国家の探検だけあって、部隊も多くのカザク(コサック)や常時数十頭のラクダを引き連れた大規模な遠征隊であった。
この頃は清朝もネルチンスク条約やキャフタ条約のころに比べると弱体化してはいるが、東トルキスタンの帰属をめぐってロシアと争っていたり、南進するロシアはインドから北上するイギリスとも中央アジアをめぐっていわゆるグレート・ゲームを繰り広げていた時期である。
学術的な調査なのに、シナ当局から執拗な妨害を受けるという書きっぷりだが、実際はこのような情勢下で他国に入って南進ルートを探っているのだから、ものは言いようである。プルジェワルスキーも黙って引き下がるわけではなく、本書に書かれている限りでも、武力を背景に糧秣や案内人を徴発したりしている。
とはいえ、プルジェワルスキーの描写はたまに武勇伝を挟み込む程度で冷静、客観的に感じられる。西洋人の傲慢さがプンプンするヘディンの著作と比べると特にそう思う。
巻末に訳者である加藤九祚によるプルジェワルスキーの伝記が載っているが、こちらも必読である。
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