オイスター・ボーイの憂鬱な死

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  • Amazon.co.jp ・本 (127ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309902913

感想・レビュー・書評

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  • 『最悪にも、サンタはジェームズにテディー・ベアをプレゼントしてしまった/その年の始め、ジェームズがクマに噛まれたことも知らないで……』―『ジェームズ』

    「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の、という修飾語で表現するのが判り易い映画監督の二冊目の絵本。テイストは映画にもなった前作と同じようにちょっとグロテスクで、それでいてユーモラスなもの。

    WiKiにも絵本とあるけれど、本書はマザーグースの詩のような言葉に、シンプルながらティム・バートン的特徴に溢れた絵が添えてある一冊という作品。絵からは「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を当然連想するけれど、内容はむしろ「シザーハンズ」に近い、と言ったら判り易いか。買った訳ではない。図書館の放出本を拾ってきたもの。

    表面にこそ二十余年のくすみが溜まってはいるものの、ほとんど開かれた痕跡の無い装丁。図書館の本にありがちな手垢の全くない裁断面。ティム・バートンが記したナーサリーライムのように、それがちょっと悲しげ。

    歌われるのは皆から疎まれる子供たちのこと。ちょっと他の子と違ったところがある。それがいじめの対象となる。そんな社会派的なメッセージをティム・バートンが果たして込めていたのかは判らないけれど、彼もまた生き辛い少年時代を過ごした経験があるのだろうなぁ、きっと。まあ、そんな硬派な意図というより、弱いものの立場からの自虐的な皮肉、という感じなのかなとは思うけれど。

     Stick Boy liked Match Girl,
     he liked her a lot.
     He liked her cute figure,
     he thought she was hot.
     But could a flame ever burn
     for a match and a stick?
     It did quite literally;
     he burned up pretty quick.
      - Stick Boy and Match Girl in Love

    これは、本書の最初に置かれた「スティック・ボーイとマッチ・ガールの恋」という詩。マザーグースの謎かけみたいに、Stick(くっつく)とStick(杖)、(Match(つり合う)とMatch((火を熾す)マッチ)を掛けたり、Match GirlをHotと言ったり、二人の恋は燃え上がるのか(その後で「文字通り(燃えた)」とも)と言ったり、この一片は言葉遊び的な要素に溢れているけど、これ以外はもっとしんみりとしたものばかり。原題にある「Melancholy」は確かに邦題の「憂鬱」という意味だけど「もの悲しい」というニュアンスもあるね(原題は、THE MELANCHOLY DEATH OF OYSTER BOY & OTHER STORIES)。巻末に収められた原文も是非ご一読あれ。

  • せつない・・・
    これぞティム・バートンの世界って感じ。

  • はてさて、この本のジャンルは何になるのだろう?
    絵本?詩集?
    とにもかくにも奇妙なお話集。
    生まれつき「普通でない」姿形の子供たち。
    その不幸で数奇な短い人生。
    悲しいようであり楽しいようであり、読んでる自分の感情がよくわからなくなる奇妙な本。
    ティム・バートン展に行った時から非常に気になっていたのだがようやく読めた。
    そして購入して正解だった。
    精神が不安定になる良い本。
    クセになりそうだ。

  • 『シザーハンズ』
    『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』
    『スリーピー・ホロウ』
    『チャーリーとチョコレート工場』
    などでお馴染みの
    奇才ティム・バートンが贈る、
    切なくてブラックユーモア溢れる
    大人向け絵本♪


    いやぁ〜
    摩訶不思議な
    バートンワールド炸裂です♪

    絵本といっても
    詩にイラストがついた短編集といった感じで、
    ティム・バートンお得意の
    ダークなんだけど
    POPで、

    どこか皮肉の効いた世界観が
    ホンマに素晴らしい!!(^O^)


    ザ・燃え尽きる恋を描いた(笑)
    『スティック・ボーイとマッチ・ガールの恋』


    目玉が飛び出す様が可愛い
    『じーっと見つめる女の子』


    汚いしみを残すことだけが唯一の特技のヒーロー
    『ステイン・ボーイ』


    牡蠣の姿で生まれてしまったため、
    生臭くて親にも
    まともに名前を呼んでもらえない
    『オイスター・ボーイの憂鬱な死』


    綺麗な空気だと死んでしまう
    『有毒少年ロイ』


    スカンクみたいに臭いガラクタでできた女の子
    『ガラクタ・ガール』


    頭に針を刺しまくった
    『針やま女王』


    他に『両眼に釘がささった男の子』
    『たくさん眼のある女の子』
    などなど
    23編収められています。


    不気味でいて
    どこか可愛いキャラに、
    少し残酷な黒い笑いと、
    物悲しくて
    不条理なストーリーが
    切なく胸に残ります(>_<)


    社会の枠から
    はみ出したアウトサイダーや
    異形の者、

    見捨てられた者たちを
    好んで描くバートン。

    彼はいったい
    どんな子供時代を送ってきたんやろ…


    自分自身
    白い羊の群れの中で
    行き場のない『黒い羊』だと思って
    学生時代を過ごしてきたので、
    どこか共鳴するところがあり

    不恰好でいびつな彼や彼女らが
    どうにも愛しくなってしまいました(≧∇≦)


    三日月型に切り抜かれたカバーケースが凝っていて
    プレゼントにも最適だし、
    巻末には
    簡単な短い英語の原文も載っているので、
    キュートなオリジナルの雰囲気にも浸れます。


    マザーグースや
    エドワード・ゴーリーや
    ティム・バートンの作る
    毒のある映画世界が好きなら
    必ずハマる絵本です♪


    彼の脳内覗いてみませんか?(笑)

  • 映画監督ティム・バートン著作の絵本。
    その独特な世界観から「鬼才」と称されたりするティム・バートンですが、この絵本はかなり振り切れているように感じます。
    表題作の『オイスター・ボーイの憂鬱な死』を含め23編の物語が収録されているのですが、そのどれもがとことん憂鬱な気分になるような結末。
    代表作である映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』とは比べものにならない程、ブラックで不幸なお話ばかりなので、ティム・バートンの映画が好きだという方もある程度の心構えが必要かもしれない。
    エドワード・ゴーリーの絵本が好きな方は、気に入るような気がします。
    しかし、ゴーリー作品よりもずっと、理不尽で鬱な内容だと思います。

    挿絵と共に掲載されている本文は日本語訳されたものですが、巻末に原文が纏めて掲載されているのが嬉しい。
    原文と日本語訳を読み比べてみるのも面白いのではないかと思います。
    挿絵は、ものによってはカラーで掲載されています。

    私のブクログ本棚において唯一、この本だけは所有しておらず、友人に借りたもの。
    憂鬱な内容にどうしようもなく惹かれてしまうのと、装丁が堪らなく好きなので、いつか絶対に手に入れたい。

  • 『シザーハンズ』
    『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』
    『スリーピー・ホロウ』
    『ビッグ・フィッシュ』
    『チャーリーとチョコレート工場』
    『アリス・イン・ワンダーランド』でお馴染みの
    奇才ティム・バートンが贈る
    切なくてブラックユーモア溢れる
    大人向け絵本。



    いやぁ〜
    摩訶不思議なバートンワールド炸裂です(笑)♪


    絵本といっても
    詩にイラストがついた短編集といった感じで、
    ティム・バートンお得意のダークなんだけどPOPで
    どこか皮肉の効いた世界観が
    ホンマに素晴らしい!!



    ザ・燃え尽きる恋を描いた(笑)
    『スティック・ボーイとマッチ・ガールの恋』


    スミス夫妻の間に生まれたブリキの男の子は
    両親にもゴミ箱と間違えられながら成長していく
    『ロボット・ボーイ』


    目玉が飛び出す様が可愛い
    『じーっと見つめる女の子』


    汚いしみを残すことだけが唯一の特技のヒーロー
    『ステイン・ボーイ』

    牡蠣の姿で生まれてしまったため
    生臭くて
    親にもまともに名前を呼んでもらえない
    『オイスター・ボーイの憂鬱な死』


    綺麗な空気だと死んでしまう
    『有毒少年ロイ』


    ゴミ処理場に身投げした
    スカンクみたいに臭い
    ガラクタでできた女の子
    『ガラクタ・ガール』


    頭に針を刺しまくった『針やま女王』


    他に『両眼に釘がささった男の子』
    『たくさん眼のある女の子』
    『ジミー、みにくいペンギンのこ』
    などなど
    23編収められています。



    不気味でいて
    どこか可愛いキャラに、
    少し残酷な黒い笑いと、
    物悲しくて不条理なストーリーが
    切なく胸に残ります。


    社会の枠からはみ出したアウトサイダーや
    異形の者、
    見捨てられた者たちを好んで描くバートン。

    彼はどんな子供時代を送ってきたんやろ?


    自分自身
    白い羊の群れの中で
    行き場のない『黒い羊』だと思って学生時代を過ごしてきたので
    どこか共鳴するところがあり
    不恰好でいびつな彼や彼女らが
    どうにも愛しくなってしまいました(>_<)


    三日月型に切り抜かれたカバーケースが凝っていて
    プレゼントにも最適やし
    巻末には簡単な短い英語の原文も載っているので
    キュートなオリジナルの雰囲気にも浸れます。

    マザーグースや
    エドワード・ゴーリーや
    ティム・バートンの作る毒のある映画世界が好きなら
    必ずハマる絵本です♪

  • 岸本佐和子推薦(絶版本より)

  • 書店で偶然見かけて一目惚れ買い。
    やがて部屋の整理で処分したものの、ふと思い出して数年後に再び入手するという不思議な魅力のある絵本。
    死と憂鬱と不条理で不当な扱いに包まれているが、何故かそれは不幸ではなく、愛に包まれている。
    シュールでブラックな大人の短編集。
    ティム・バートン作。

  • 大人向けの少しブラックな絵本または詩集?のような本。

  • この作品は小説というよりも絵本という感じ。
    The ティム・バートンという絵と文章であるので、ティム・バートン監督の映画が好きな人にはおすすめ。
    不思議で不憫でどこか可愛げもある子供たちの短編集であった。

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ティム・バートンの作品

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