相場師異聞―一攫千金に賭けた男たち

著者 :
  • 河出書房新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309905167

作品紹介・あらすじ

満天下沸かせた大物相場師群像…。

感想・レビュー・書評

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  • いつの時代も、投資に興味を持つ人がいる。中には盛大な爪あとを残している方もいる。




    今の時代なら総理大臣どころか国会議員にもなれそうにない経歴を持っていた人物がいた。それはともかく高橋是清(1854-1936)だ。




    6回も大蔵大臣を務め、総理大臣になるも、1936年の二・二六事件で暗殺された。




    是清は投機好きで、いろいろ手を出した。1889年に相場よりも10倍リスクの高い鉱山業をペルーで試した。




    アンデス山中にある鉱山で採掘を始めたが、すでに数百年掘り続けた廃坑だった。




    しかし、是清は「あんですを転げた時に富士山は はるか麓の霞なりけり」言ったそうだ。




    こういう失敗にめげないところが後につながったようだ。




    失敗をした人の評価が高いシリコンバレーなら大歓迎されるタイプの人だろう。




    著名人の親に投機好きな方がいた。それは作家で僧侶の瀬戸内寂聴の父親だ。




    かつて昭和初期の大恐慌が吹き荒れる頃、小鳥投機が全国でブームとなっていた。寂聴の父親が何とその仕掛け人だったというから驚きだ。




    実際、寂聴の家には小鳥業者や愛好家があつまって、「トリの市」が立ったそうだ。




    生き物と言えば、今では信じられないがかつてウサギが投機対象になった時代があった。




    明治5年頃にウサギ投資がまん延した。どのようなウサギが好まれたかというと、カッコいいスタイルのウサギや変わり種。人々は金をつぎ込んだそうだ。




    中には珍種を手に入れるために娘を売ってウサギを手に入れる騒ぎもあった。




    さすがに明治6年1月、東京府はウサギ会を禁止して、同年12月にウサギの売買を届出制にして、売買双方が区役所に届け出ることを義務付けた。そして、ウサギ税を課したことで、ブームはさめていった。




    オランダで起こったチューリップバブルと同じで、信じる者は救われるではないが、大金を手にしようと欲むき出しのギャンブラーが群がった歴史だな。




    2002年に発行された古本だが、今の時代でも学ぶところは大いにある。

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