立川談志 ---落語の革命家 (文藝別冊/KAWADE夢ムック)

  • 河出書房新社
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感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784309978048

感想・レビュー・書評

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  • 152

  • これまで各媒体で発表された談志本人の文章から対談、インタビュー、弟子たちや関係者による寄稿まで立川談志を徹底解剖。読み応え十分。

  • 立川雲黒斎家元勝手居士。もう三回忌か。
    ということでこの本を読む。
    立川談志という落語家がいろいろなことを考えながら、落語を革命しようとした、そのエッセンスに何となく触れたような気分になれる、内容の濃い一冊。

  • 思いもよらず、「談志に恋する夏」になりました。昨夜は「一周忌追善プロジェクト『映画 立川談志』―ディレクターズ・カット―」を視聴。で、今度は本書を読了。まあ、日課にしているジョギングでは飽きもせず、しょっちゅう談志の落語を聴いていますので、年がら年中、恋をしているわけですが…。
    で、本書ですが、思い入れがあり過ぎて、何をどう書いたらいいのか、戸惑っています。私は本を読んで「ここは面白い」「後で読み返したい」という個所を発見すると、ページの下の角っこを折る習慣があるのですが、ほぼ2ページに1回は折るという始末。つまり再読するということですな。
    もっとも、本書に書いてあることは、談志の著作や高座及び高座のCD・DVDなどで既に見聞きしていることが大半(全く同じということではありません。バリエーションだという意味です)。それでも、新鮮な感動を覚えるというのは何なのだろう。真理とか本質を突いているということなのか。
    あ、そうだ。これを記録しておこう。本書を読みながら、つい最近読んだ、内田樹著「修業論」で紹介されている、中島敦の短編「名人伝」が何度も胸に去来しました。
    趙の時代、天下一の名人たらんとした紀昌という若者がいました。彼はその技術を試そうと、師である飛衛に挑みます。二人で弓を射ると、矢はそのたびに真ん中で相当たって共に地に落ちたそうです。
    師はもはや伝えるべきものはないとして、さらに道を究めたいと臨むなら―と、深山に住む齢100歳を超えた老師の元へ向かわせます。老師はもう弓も矢も使わない「不射之射」(ふしゃのしゃ)の至芸を見せて紀昌の度肝を抜きます。
    9年経って山を下りてきた時、人々は紀昌の顔つきを見て驚いた。以前の負けず嫌いな精悍な面魂は影をひそめ、何の表情もない、木偶のごとく愚者のごとき容貌に変わっている。飛衛は「これでこそ初めて天下の名人」だと喜んだそうです。
    紀昌はその後、弓の妙技を全く見せようとしませんでした。弓さえ手に執ろうとしない。でも、その名声は日ごとに高まり、空飛ぶ鳥さえ、その射を恐れて紀昌の家の上空を避けたほどだったといいます。
    私は、談志があと10年、健康で生きていたら、もしかしたらこういう境地に立ったかもしれないと夢想しました。
    いや、大いに反論はあるでしょう。あれだけ落語を愛し、落語の神様に愛されていた談志だから、恥をさらしてでも未練たらしく最期まで落語をやる。恐らく、そちらの見解の方が正しいと思います。でも、晩年は「落語なんてどうでもいい」と、敢えて「落語」を捨てようとしていた部分もあると思うのです。
    それより、紀昌のような、「技芸の高み」という表現では全く足りないほどの未踏の領域にまで達してほしい―という一ファンとしての希望があります。「談志と紀昌」―。これは存外、面白いテーマではないかと愚考した次第です。以上。ペコリ。

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