- Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314001847
感想・レビュー・書評
-
ナチュラリストとして政府の野生動物の調査に携わることになった主人公は、無線も通じないようなツンドラのど真ん中に一人、オオカミの調査に送り込まれる。当時、カナダでのカリブーの大幅な減少は、オオカミによる虐殺だと人々は考えており、そのための調査であった。主人公も当初そのような考えを持っていたのだが、オオカミの観察やエスキモーの話を聞くにつれ、次第に大虐殺の原因は狩人や、富裕層による無差別のハンティングにある、ということに気づく。
主人公がオオカミに対する考えを改めていく過程が面白い。例えば、小屋の周辺にカリブーの骨が散乱していたため、オオカミの残忍さの仕業だと考えた主人公(実際にはその小屋の持ち主が殺したカリブーだった)。オオカミはカリブーしか食べず、小さな齧歯類を主食とするとは全く考えておらず、オオカミが齧歯類を上手に捕獲するところを目撃した著者は衝撃を受ける。そこで、最後には、小さな齧歯類が栄養面で足りるのか、著者自身がジリスなどの齧歯類を捕らえて調理して実証?し始めるのだった…。後半に行くにつれ、著者のオオカミに対する観察力が研ぎ澄まされていくのがよく分かった。
ところで、オオカミとメイティングさせたハスキー犬がその後、オオカミ犬を産んだのか。そこが気になった。
復刊希望。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
北極にオオカミの調査に行った著者の記録。人間の愚かさが浮き彫りになるオオカミの観察記録です。ノンフィクション。動物好きには是非読んで欲しいが、古い本なのが残念。