告白と呪詛

  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314006941

感想・レビュー・書評

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  • 大厭世哲学者シオランの、邦訳では一番新しい本。アフォリズム集。この人の本は全部おんなじようなことを言ってるらしいから、買うのはどれでもいいらしい。でも、こういう人がいるから、元気が出るんだ!!!!!!

  • 断章。痛切なユーモア、毒舌、呪い祈り、そして全てを収束して果てること。いつかこの身が亡くなろうとなんのこともない、無から膨大な無へ、その怖さ。
    「神とのあいだにいざこざを起こす好機を、いったい何度、私はむざむざ逸してしまったことか」訳者後記も良かった

  • 悲観のアフォリズム
    箇条書きなのでつまみ食いできます。

    読書家な雰囲気

    ・何ひとつ達成できなかった。それでいて、過労で死んだ。

    ・一冊また一冊と、伝記物をむさぼり読む。いかなる企ても、どんな運命も、なんの役にも立ちはしないことを、いっそう深く納得するために。

    ・心の慰めになる本の目録を作ってみたとて、なんの足しにもなるまい。そうした本はごまんとある上に、読むに足るものといえばせいぜい二、三点なのだから。

  • 何がきっかけだったか、エミール・シオランという、'95年に84歳で亡くなるまでニヒルな箴言を書きつけたルーマニア出身の思想家がいたということを知り、一冊読んでみた。
    この本は晩年、76歳の頃に書かれたものだが、吐き散らかされるとても老人とは思えない中二病な毒が面白く、音楽が好きでブラームスを特に好むらしいところには勝手にシンパシーを感じた。とはいえ、実際、近くにこんなおじいさんがいたら鬱陶しくて近くにはいたくないけれど。
    特に「ほんとうだなあ」と感じた3つの断章を引用。

    ・宗教も、そのさまざまな欠陥をそっくり引き継いだ各種のイデオロギーも、とどのつまりは、ユーモア撲滅のキャンペーンにすぎない。

    ・レースが最高潮に達したとき、こんなことになんの意味がある、と自問しつつ、立ちどまってしまうランナーのような。熟考するとは、息切れを自白することだ。

    ・ある作家が哲学者の仮装であらわれたら、ただちに、才能枯渇のカムフラージュだと考えるべきだ。理念というついたては、何も隠せない。

    おまけにとどめの一つ。こんなこと言われたら、おちおち浮かれることも落ち込むこともできやしない。
    ・成功の頂点で、また失敗のどん底で、自分という人間がどんな形で懐妊されたか、それを思い描いてみることだ。過度な幸福感や不平不満を抑えこむのに、これ以上の便法はあるまい。

  • 初めてシオランの著作を手に取った。彼の人生や神に対する姿勢に本当にそうだと思う言葉もあった。「この世界で生きるべきでは無い人」という印象が強く残った。彼の世界観に嵌り過ぎては大変だなあ。

  • 一時期、嵌った。
    そして持っていることが恥ずかしくなって捨てた。

    腐れ30男。に教えてもらった。

  • 老境に達しながらも、最後まで辛口なシオランが綴る最後の書。この世に生まれる前の状態になる時期に書かれたとは思えないほど、鋭く、残酷な言葉が印象的だ。

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著者プロフィール

E.M.シオラン(E. M. Cioran)
1911年、ルーマニアに生まれる。1931年、ブカレスト大学文学部卒業。哲学教授資格を取得後、1937年、パリに留学。以降パリに定住してフランス語で著作を発表。孤独な無国籍者(自称「穴居人」)として、イデオロギーや教義で正当化された文明の虚妄と幻想を徹底的に告発し、人間存在の深奥から、ラディカルな懐疑思想を断章のかたちで展開する。『歴史とユートピア』でコンバ賞受賞。1995年6月20日死去。著書:『涙と聖者』(1937)、『崩壊概論』(1949)、『苦渋の三段論法』(1952)、『時間への失墜』(1964)、『生誕の災厄』(1973)、『告白と呪詛』(1987)ほか。

「2023年 『四つ裂きの刑〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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