マインド・コントロ-ルとは何か

著者 :
  • 紀伊國屋書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784314007139

作品紹介・あらすじ

破壊的カルトの誘いのテクニックから、組織内での心理操作、脱マインド・コントロールまで、豊富な実例と心理的実験をあげながら、その原理を明快に解き明かす。防衛と抵抗のために、すべての人がいま実学として知るべきマインド・コントロールのすべて。

感想・レビュー・書評

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  • ・マインドコントロールの先駆である「洗脳」は、生理学や精神医学の応用技術であるということ、それに対して、現代の破壊的カルトのマインドコントロールは心理学や社会心理学の応用技術だ、ということである。そして、マインドコントロールがいかに巧妙であるかを説明し、その社会的影響力に対してどのように戦いどう身を守るかについて考えていく内容。
    マインドコントロールとは。常に行為者が自ら考えたように感じさせ、選択の自由があったかのっごとく思わせるのがマインドコントロールであるマインドコントロールそれ自体は、我々の社会において何ら取沙汰するべきところではないが、その操作的技術が用いられる目的や方法が議論の対象となる。『マインドコントロールへの抵抗』(9章)は非常に参考になるまとめとなっている。
    つまり誰が何のために誰の了解のもとにおいて行っているかが議論の対象になる。・マインドコントロールにどう対処するか考えていくうえで、長期的な展望に立って検討していくべきである私たちの社会に潜む根本的な問題点がある。私たちの社会に何が足りないのかを考えなければならないという視点も必要。

  • 表向きは、宗教組織、政治組織、商業ビジネス組織、教育や治療組織

    活動メンバーは、これらの合法的で、ときには崇高ともいえるような表向きの集団の目標をただただ一生懸命に遂行しているつもりだけの純粋で誠実な人びとによって大部分が占められている。

    グループ・ダイナミクス
    群衆心理 ドイツ大衆をマインド・コントロールしようと試みたアドルフ・ヒトラーの例にみる。彼はナチの正当性を大衆にアピールするために、集会の部屋をいつも狭すぎるようにして熱狂と興奮をつくり出し、聴衆の三分の一をナチの党員で埋めさせ、しかも熱心な支持者を最前列に配置。



    心の操作は、究極的には情報の操作によっておこなわれるといえよう。

    人は帰属という意思決定をおこなう際、弁別性、一貫性、合意性のそれぞれの高い情報を選択的に重視する。つまりそれらは、注目度が高く、処理されやすい情報になる。

    弁別性の高い情報とは、何か突出した目立つ情報。
    一貫性とは、多くの人びとが見た、皆が聞いた、皆が認めているという情報である。

    操作者がマーケットの中で鯛を選ばせるには、ひときり目立つ位置にそれを並べて、大声で呼び込んで、しかも毎日ずっときらさず並べて、他のみんなにもそれを買わせる。

    どんなに強い確信であっても、それは個人的な経験や推論によってなんとなく感じているリアリティ感覚によって支えられているにすぎない。

    ビリーフ、スキーマ

    教育にも通ずるところが多い。応用できる。

    ○好意性
    類似性、接触頻度、相互性(お世辞)

    第5章 人間が変わることの理解のらための社会心理学研究から

  • 洗脳とマインドコントロールの違いから始まり、豊富な実践例をもとにマインドコントロールを多方面から説明している。
    一時的なマインドコントロールから永続に至るまでのプロセスが綿密に考えられていることを知ると恐ろしく感じる。ビリーフシステムの変化を部屋の家具に置き換えた例はわかりやすい。
    本当に恐ろしいマインドコントロールはきっかけさえも認知させず、いつのまにかビリーフ群であるスキーマを置き換えていること。

  • 洗脳とマインドコントロールの違いなど、よくわかった。
    人って怖いなぁと思った。

  • 破壊的カルトがどのような手順で人々をマインド・コントロールし、支配下においていくのか簡易に説明されていた。
    心理学に関する様々な実験内容も記載されており、読んでいて飽きない構成となっていた。
    特に後半では複数の脱カルト信者の方々のマインド・コントロールから抜け出した後の苦悩がまとめられており、マインド・コントロールから解放された後のケアも必要であることを改めて感じさせる内容になっていた。
    マインド・コントロールの全般的な内容を一から勉強してみたい方にはおススメの一冊。

  • 洗脳とマインド・コントロールを区別して書いている。読みやすくて分かりやすいが目新しさはないかな。

  • 社会心理学から人間の心がいかにコントロールされやすいかを分析した名著。
    破壊的カルトに取り込まれるのは敷居が低い。返報性、コミットメントと一貫性、好意性、希少性、権威性は、何かを誘うさいの小さなマインドコントロールとして日常でもごくありふれている。
    しかし、脱会してからは自責や恐怖に苛まれる。特に何も信じるべきものがないという神からの断絶を経験し、ひたすら裁きに怯えるか、無に向かう観念を覚える。あるいは形而上学に対して攻撃的になる。
    自分にも何かを信じることが出来ずに絶望的に苦しい時期があった。
    人を騙すカルトの影響でこの国から「信じる」ことが排除されがちだが、信じることなしには人生は地獄なんじゃないかと思う。
    この本を頭に入れつつ、自分の頭で考えることと、他人を信じる勇気を持ちたい。
    カルトのマインドコントロールのために人間が真に大切にすべきものまでも踏みにじられている。

    実は、本書に描かれている親切やビリーフシステムは決して悪いものではなく、結果を出すサラリーマンやスポーツ選手はほとんどそのように自分に言い聞かせているもので決して悪ではない。むしろ積極的に使うべきだ。
    それが自分のためか、組織や教祖の私利私欲になるかで全く違うのである。

  • 洗脳とマインドコントロールの違い、みんな時と場合によってマインドコントロールにかかってしまうことなど勉強になった。

  • 説明不足な箇所やわかりにくい表現もあったが、頁数のわりに取り扱ってる範囲が広くてよろしいんじゃないかと。読書案内的にも。しかしこの手の本を書くのは難しかろうな。

  • 洗脳とマインド・コントロールの違いを踏まえながらわかりやすく説明されている。破壊的カルトについて、決して他人事ではなく身近に存在していることを強く意識させられた。
    脱会カウンセリングの出来る人材の育成などの必要性も認識した。

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著者プロフィール

1960年、徳島県に生まれる。立正大学心理学部教授。博士(社会学)。国際連合安全保障理事会テロ対策研究パートナー。日本脱カルト協会代表理事。1984年、関西大学社会学部を卒業し、同大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。スタンフォード大学客員研究員などを経て現職。カルト宗教のマインド・コントロールの研究や、詐欺・悪質商法の心理学研究の第一人者として、新聞やテレビなどでも活躍。オウム真理教事件や統一教会、尼崎連続変死事件など多数の裁判で、鑑定人および法廷証人として召喚される。
著書には『マインド・コントロールとは何か』(紀伊國屋書店)、『「信じるこころ」の科学』(サイエンス社)、『だましの手口』(PHP新書)、『マンガでわかる! 高齢者詐欺対策マニュアル』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

「2019年 『なぜ、人は操られ支配されるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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