- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784314011204
作品紹介・あらすじ
子守唄のあの哀調はなぜか? 旋律の裏に込められたものは何なのか?――眠らぬ幼子に手を焼くのはいつの世も同じだが、時代をさかのぼって、子守を生業とした女性たちの生活を見ると、そこには厳しい現実があった。背景にある故郷への慕情、出稼ぎ、人身売買、風刺、エロスなどから、民俗学的なアプローチで唄い継いだ女性たちの心情を探る。
感想・レビュー・書評
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その名の通り子守唄についての本。元々は1964年の刊行と古い本ですが、今読んでも刺激的で発見に満ちた好著です。
日本全国で歌われるたくさんの子守唄の歌詞を実際に引用しているのが興味深いのはもちろん、「眠らせ唄/遊ばせ唄」の区別や、「わらべうた」との微妙な違いなど、子守唄を考えるためのポイントを解説しています。
さらにこの本で注目すべきは、子守唄を唄った子守娘たちの境遇への着目です。明治時代、貧しい農村などから裕福な家に出稼ぎした子守娘たちの姿を、著者は同時代の紡績女工や女郎たちと同じ酷使された労働者と捉え、子守唄を彼女たちの労働歌として読んでいきます。当時の農村の様子や子守娘たちの生活の実態など、データも詳しく記述されています。
丁寧な民俗学的/社会学的アプローチと、詩人でもある著者らしい子守唄のテクスト読解が融合した興味深い一冊と言えるでしょう。
(文科三類・2年)(4)
【学内URL】
https://web.s.ebscohost.com/ehost/detail/detail?vid=0&sid=3fbd7e3b-5112-497b-8af4-c39535c3cebf%2540redis
【学外からの利用方法】
https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/literacy/user-guide/campus/offcampus詳細をみるコメント0件をすべて表示