ソフトウェア品質の経済的側面

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  • / ISBN・EAN: 9784320097629

作品紹介・あらすじ

本書は,ソフトウェアの計画,見積り,利用,保守に関係する管理者,経営者,品質保証担当者を対象としている。新しいアプリケーションを計画し,開発する際に,また,既存アプリケーションを機能強化したり保守したりする際に,管理者と関係者はソフトウェア品質の経済性を理解しなければならない。 本書の目標は,ソフトウェア品質に影響する要因を定量化し,プロジェクトとアプリケーションの品質レベルを予測し,測定できる十分な情報を読者に提供することである。
 この目標のために,ソフトウェア品質データ─構造的品質,ソフトウェア品質保証プロセスと技術,ソフトウェア品質改善の限界コストと収益─を包括して示す。本書は,高品質と低品質がプロジェクトスケジュール,要員,開発コストおよび保守コストに与える影響を定量的に示している。このような情報をもとに,ソフトウェア管理者は品質目標に向けて進捗を管理し,市場投入とビジネスリスクの間の適切なトレードオフを行うことができるであろう。
 ソフトウェア品質の正の経済的価値と貧弱なソフトウェア品質が高コストになることを,官民の多くの組織からのデータをもとに定量的に示す。ただし,本書はハウツーの書籍ではない。テスト,インスペクション,静的解析などの品質にかかわる話題についての優れたハウツー書籍は数多くある。我々が期待することは,実アプリケーションからの膨大なソフトウェア品質データを加えることで,ハウツー書籍を補完し,IT管理者がこれらの技術の相対的効用と経済的価値を定量化できることである。

[原書名:The Economics of Software Quality]
(株)構造計画研究所発行/共立出版(株)発売

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  • 【書誌情報】
    『ソフトウェア品質の経済的側面』
    原題:The Economics of Software Quality
    著者:Capers Jones
    著者:Olivier Bonsignour
    監訳:小坂 恭一
    分野:コンピュータ > ソフトウェア工学
    発売日:2013/12/11
    ISBN:9784320097629
    体裁:菊判・460頁
    定価:5,500円 (本体5,000円 + 税10%)

     本書は、ソフトウェアの計画、見積り、利用、保守に関係する管理者、経営者、品質保証担当者を対象としている。新しいアプリケーションを計画し、開発する際に、また、既存アプリケーションを機能強化したり保守したりする際に、管理者と関係者はソフトウェア品質の経済性を理解しなければならない。 本書の目標は、ソフトウェア品質に影響する要因を定量化し、プロジェクトとアプリケーションの品質レベルを予測し、測定できる十分な情報を読者に提供することである。
     この目標のために、ソフトウェア品質データ─構造的品質、ソフトウェア品質保証プロセスと技術、ソフトウェア品質改善の限界コストと収益─を包括して示す。本書は、高品質と低品質がプロジェクトスケジュール、要員、開発コストおよび保守コストに与える影響を定量的に示している。このような情報をもとに、ソフトウェア管理者は品質目標に向けて進捗を管理し、市場投入とビジネスリスクの間の適切なトレードオフを行うことができるであろう。
     ソフトウェア品質の正の経済的価値と貧弱なソフトウェア品質が高コストになることを、官民の多くの組織からのデータをもとに定量的に示す。ただし、本書はハウツーの書籍ではない。テスト、インスペクション、静的解析などの品質にかかわる話題についての優れたハウツー書籍は数多くある。我々が期待することは、実アプリケーションからの膨大なソフトウェア品質データを加えることで、ハウツー書籍を補完し、IT管理者がこれらの技術の相対的効用と経済的価値を定量化できることである。
    [https://www.kyoritsu-pub.co.jp/book/b10005101.html]

    【簡易目次】
    第1章 ソフトウェア品質と経済的価値
    第2章 ソフトウェア品質の見積りと測定
    第3章 ソフトウェアの欠陥予防
    第4章 テスト前欠陥除去
    第5章 ソフトウェアテスト
    第6章 リリース後の欠陥除去
    第7章 ソフトウェア品質の経済性分析

    【目次】
    はじめに [v-vi]
    序文 [vii-xi]
    謝辞 [xiii-xv]
    著者について [xvii-xviii]
    監訳者のことば [xix-xx]
    目次 [xxi-xxviii]

    第1章 ソフトウェア品質と経済的価値 001
    はじめに 001
      なぜソフトウェア品質が重要なのか 001
    ソフトウェアの品質とは何か 007
    「経済的価値」と「ソフトウェア品質の価値」 013
      社内開発におけるソフトウェアと品質の経済的価値 014
      社内ユーザにとってのソフトウェア品質の経済的価値 017
      市販ソフトウェアベンダにとってのソフトウェアと品質の経済的価値 018
      COTS ユーザや顧客にとってのソフトウェアと品質の経済的価値 020
      組込みソフトウェア企業にとってのソフトウェアと品質の経済的価値 022
      組込み機器ユーザにとってのソフトウェアと品質の経済的価値 023
      その他のビジネス分野にとってのソフトウェアの品質と経済的価値 024
      同時に発生する複数の業務 025

    要約と結論 025


    第2章 ソフトウェア品質の見積りと測定 027
    はじめに 027
    FP を利用して潜在欠陥を測る 030
    ソフトウェアの潜在欠陥 031
      ソフトウェア要求の特性 035
      誰がソフトウェア要件をつくるのか 039
      ソフトウェア要件の規模,構造,完全性 041
      ソフトウェア要求定義欠陥の最小化 043
      ソフトウェアの要求定義欠陥についての結論 051
      コーディング欠陥の特性 051
    ソフトウェア欠陥予防の見積り 056
    ソフトウェアの欠陥検出と欠陥除去の要因 058
    アプリケーションの構造的品質を測定する 061
      信頼性の測定 061
      性能効率の測定 064
      セキュリティの測定 064
      保守性の測定 065
      規模の測定 067
    アプリケーションの構造的品質測定特性のまとめ 067
    構造的品質評価の例 070
      アーキテクチャの無視 070
      処理量の制御の失敗 073
      アプリケーション資源の不均衡 073
      セキュリティの弱点 074
      自衛メカニズムの不備 075
      構造的品質評価システムの必須条件 076
    ソフトウェアの経済分析を妨げる 3つの問題 077
      開発データの記録漏れ 078
      LOC 尺度の経済的問題 083
      欠陥あたりのコストの経済的問題 086
      ケース A:品質が悪い場合 087
      ケース B:品質が良い場合 087
      ケース C:ゼロ欠陥 089
      ソフトウェア潜在欠陥を予測する経験則 089
    要約と結論 090

    第 3 章 ソフトウェアの欠陥予防 093
    はじめに 093
      1970 年代に IBM で行われた欠陥予防研究 094
      欠陥予防手法の相乗効果が期待できる組合せ 098
      潜在欠陥と欠陥発生源 100
      欠陥予防パターンおよび品質保証された再利用可能な成果物の利用 104
      欠陥予防とアプリケーション規模 105
    欠陥予防結果の分析 106
      アジャイル手法(ユーザ参加) 107
      自動品質予測 107
      ソフトウェア品質データのベンチマーク 108
      能力成熟度統合型モデル(CMMI) 109
      認証プログラム 110
      欠陥あたりのコスト尺度 112
      品質コスト(COQ) 115
      循環的複雑度尺度(関連複雑度尺度) 117
      欠陥測定と欠陥追跡 120
      正規のインスペクション 122
      FP 品質尺度 126
      ISO 品質規格,IEEE 品質規格,その他の産業規格 131
      品質機能展開(QFD) 134
      リスク分析 136
      シックスシグマ 142
      静的解析 143
    要約と結論 145

    第4章 テスト前欠陥除去 147
    はじめに 147
    小規模プロジェクトのテスト前欠陥除去 151
    大規模システムのテスト前欠陥除去 156
    テスト前欠陥除去アクティビティの分析 161
       個人による机上チェック 161
       非公式のピアレビュー 162
       文書の自動テキストチェック 163
       正当性の証明 167
       スクラムセッション 169
       ポカヨケ 170
       カイゼン 172
       ペアプログラミング 175
       仕様の顧客レビュー 177
       第三者による検証と確認 179
       ソフトウェア品質保証(SQA)レビュー 181
       フェーズレビュー 186
       インスペクション(要求定義,アーキテクチャ,設計,コート,他の成果物) 188
       ユーザ文書の校正と査読 198
       ソースコードの静的解析 200
    要約と結論 207


    第5章 ソフトウェアテスト 209
    はじめに 209
      ブラックボックステストとホワイトボックステスト 218
      機能テストと非機能テスト 219
      自動テストと人手によるテスト 220
      一般的な形式のソフトウェアテストについての検討 220
      サブルーチンテスト 221
      PSP/TSP の単体テスト 221
      エクストリームプログラミング(XP)の単体テスト 222
      単体テスト 222
      新規機能テスト 223
      リグレッションテスト 224
      統合テスト 225
      システムテスト 226
      特化した形式のテスト 228
      ストレスあるいは容量テスト 228
      性能テスト 229
      ウイルス防御テスト 229
      侵入テスト 233
      セキュリティテスト 234
      プラットホームテスト 235
      サプライチェーンテスト 236
      クリーンルームテスト 236
      訴訟テスト 237
      クラウドテスト 237
      サービス指向アーキテクチャ(SOA)テスト 238
      第三者テスト 239
      ナショナライゼーションテスト 240
      ケーススタディテスト 240
      ユーザあるいはクライアントが参加するテスト      241
      アジャイルテスト 241
      ユーザビリティテスト 242
      フィールドテスト(ベータテスト) 242
      研究室テスト 243
      顧客受入れテスト 244
      テスト計画 244
      テストケース作成手法 245
      テストケースの誤りや欠陥 247
      ソフトウェアプロジェクトにおけるテスト段階の数      248
      産業およびソフトウェアタイプによるテストパターンの変化 249
      アプリケーション規模によるテストパターンの変化 252
      品質不良にかかわる訴訟に見られるテスト段階 254
      FP 法を利用したテストケース数の見積り 255
      テスト要員数見積りへの FP 値の利用 257
      テスト工数とコスト見積りへの FP の利用 259
      開発者によるテストとスペシャリストによるテスト 263
    要約と結論 265


    第 6 章 リリース後の欠陥除去 267
    はじめに 267
      リリース後の欠陥重度レベル 269
      構造的品質の面からみた重度レベル 270
      ソフトウェアの保守性 275
      アプリケーションユーザによる欠陥の発見 278
      無効欠陥 279
      固有の状況で発生する一時留保欠陥 281
      多くの顧客によって報告される重複欠陥 281
      初年度の欠陥発見率 283
      欠陥発見率(DDE)と欠陥除去率(DRE)の測定 284
      リリース後の欠陥報告 285
      ソフトウェア欠陥報告 289
      欠陥は報告された後,誰が修復するのか 292
      ケーススタディ 1:開発要員による欠陥修正 293
      ケーススタディ 2:保守スペシャリストによる欠陥修正 294
      スタディの比較 295
      低品質による訴訟 295
      リリース後の欠陥修復のコストパターン 298
      欠陥修正に関与するソフトウェア職種グループ 299
      リリース後の欠陥修復の独立変動要因の検討 304
      FP でのアプリケーション規模 305
      ソフトウェアアプリケーションの欠陥多発モジュール 311
    リリース後欠陥によるユーザおよび産業にとってのコスト 313
      企業および政府機関に対するセキュリティ欠陥の影響 317
      欠陥報告および修正インストールのための顧客後方支援 318
      ケーススタディ 1:小企業が提供する小規模アプリケーション 320
      ケーススタディ 2:大企業が提供する大規模アプリケーション 322
      保守とリリース後欠陥修復の測定の課題 325
    要約と結論 329


    第7章 ソフトウェア品質の経済性分析 331
    はじめに 331
    ソフトウェアの経済的価値 333
      価値を測る手法 333
      投資承認とアプリケーション規模 339
      ソフトウェア開発の難易度がソフトウェア品質に与える影響 341
      ソフトウェアからの収入 345
      ソフトウェア産業と他の産業との差異 348
      ソフトウェアによるコスト削減 350
    低品質ソフトウェアと高品質ソフトウェアの経済的影響 355
      ソフトウェア開発と保守にとって 356
      販売商品としてのソフトウェアにとって 356
      工数削減の手法として 357
      ソフトウェアと革新的な新しい製品 357
      技術的負債――ソフトウェアコストへのソフトウェア品質の影響の尺度 359
      ビジネス価値の定量化の枠組み 363
      機能的品質を越えて 368
      ソフトウェア構造が品質に与える影響 369
      要員訓練が品質に与える影響 369
      専門的認証が品質に与える影響 370
      技術投資が品質に与える影響 371
      プロジェクト管理が品質に与える影響 372
      品質管理手法とツールが品質に与える影響 373
      品質がソフトウェアスケジュールに与える影響 375
      品質がソフトウェアプロジェクトの要員配置に与える影響 376
      品質がソフトウェアの開発工数に与える影響 376
      品質が開発生産性に与える影響 377
      品質がソフトウェアの開発コストに与える影響 377
      品質が FP あたりの開発コストに与える影響 378
      品質がプロジェクトキャンセルに与える影響 378
      品質がプロジェクトをキャンセルする時期に与える影響 379
      品質がキャンセルプロジェクトの工数に与える影響 380
      品質がキャンセルプロジェクトの工数に与える影響─平均的プロジェクトと比較 380
      品質がソフトウェアのテスト段階に与える影響 381
      品質がテストに与える影響─開発工数比率でみて 382
      品質がテストケースに与える影響 383
      品質がテストケース数に与える影響 383
      品質がテストカバレッジに与える影響 384
      品質がテスト専任者に与える影響 384
      品質が潜在欠陥に与える影響 386
      品質がソフトウェアの欠陥総量に与える影響 386
      品質が欠陥発見率(DDE)に与える影響 387
      品質が欠陥除去率(DRE)に与える影響 388
      品質が欠陥除去総量に与える影響 388
      品質がリリース後に残留する欠陥に与える影響 389
      品質がリリース後に残留する FP あたりの欠陥に与える影響 389
      品質が残留欠陥の重度レベルに与える影響 390
      品質が FP あたりの高重度欠陥に与える影響 390
      品質がソフトウェアの信頼性に与える影響 391
      品質が保守とサポートに与える影響 391
      品質が保守とサポートコストに与える影響 392
      品質が保守における欠陥量に与える影響 392
      品質が機能拡張に与える影響 393
      品質が機能拡張コストに与える影響 394
      品質が保守と機能拡張の要員配置に与える影響 394
      品質が 5 年間の全工数に与える影響 395
      品質がトータルコストオブオーナシップ(TCO)に与える影響 397
      品質が品質コスト(COQ)に与える影響 397
      品質が FP あたりの TCO および COQ に与える影響      399
      品質がアプリケーションの有効寿命に与える影響      401
      品質がソフトウェアアプリケーションの有形資産価値に与える影響 402
      品質が ROI に与える影響 402
      品質がキャンセルプロジェクトのコストに与える影響 403
      品質がキャンセルコストの差異に与える影響 404
      ソフトウェアプロジェクトの品質分布 404

    要約と結論 405
      10,000FP 規模の高品質プロジェクトの結果 406
      10,000FP 規模の低品質プロジェクトの結果 407


    参考文献 [409-422]
    索引 [423-428]
    訳者紹介 [429-430]

  • ソフトウェア品質のQAを考えたときに、優先的に検証するためのレバレッジの効かせ方はあるのか、と思い悩んでいた際にこの本を見つけ購入しました。
    まず、品質保証がうまくできない場合のリスクにどのようなものがあるか、といったところから始まり、どのタイミングでどのようなアクティビティを行うか、や、様々なテストについて触れられていました。
    メトリクスの取得はFP法を用いているようです。

    個人的には、率先して取り入れよう、というよりは、一つの意見として頭に入れておこう、くらいの内容でした。
    文章が少し固めですので、人によっては挫折する本かもしれません。

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