- Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
- / ISBN・EAN: 9784322123463
作品紹介・あらすじ
金融リスク管理は、さまざまな経験に対する不断の改善の賜物。すべてを目撃してきた実務家が、その歴史と教訓を紐解く。
感想・レビュー・書評
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非常にタメになる本だが、特に章末の自省コメントが秀逸。
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バーゼル規制など現在の業界の規制の枠組みがどのような背景で導入されたものかが理解出来る。金融業界の近現代史。
著者が実際に見聞きしてきたことを書いているコラムも読み応えがある。 -
金融業は規制業界。様々な規制がありそれを読むだけでは何が何のことか分からないしその背景も見出しにくい。
この本は金融リスク管理や規制を変えた事件を取り上げながら実にうまく今ある規制等の背景を書いている。分かりやすくて面白くて良書。
金融機関に勤めない人でもスラスラ頭に入ってくる内容だと思うし、金融機関に勤める人は深い知識の前提として頭に留めるのにいい本だと思う。 -
そのタイトルの通り,金融の,主にフロントのリスクの管理をする上でその契機となった事件を取り上げ,何がリスクとなったのか,その結果どのような制度や規制が生まれたのかを解説している.
(そもそも,この本の序盤では金融部門の「ミドル」は存在しない.)
全編にわたって,著者が実務に関わっている中で目撃してきた事件であるため,臨場感のある記述になっている.
特に印象的だったのは,ベアリングス事件と不正トレーダーの章,9.11の章,そしてサブプライムローンとリーマンショックの辺り.
ベアリングス事件は,フロント部門とは別にリスク管理を行うミドル部門の必要性を市場が痛感した事件.
現在はそこまででも無いかもしれないが,実業務でフロントとミドルの空気感や性格が正反対である由来がよく分かる.
9.11 がこの本で取り上げられていると知ったときは,市場が止まることへの対応かと思ったが,実際にはそもそものビジネスが継続できるかというリスクの問題を指している.
全編を通して,「危機が起きた時の中央の暫定対応」を適切に実施し,「二度とその危機を起こさないための恒久対応」を懸命に検討するという努力を積み重ねてきたという金融リスク界の歴史がよく分かる. -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:338.5//F57
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他の方のレビューが優れてて言うことはないのだが、、良書!事件それぞれについて臨場感があって読み物としても優れているし、なんというか、「いま前線」で働いてる人なら誰でも共感できる苦悩が含まれている。リーマンショックということば、聞いたことあるなぁ~というような方にこそ読んでいただきたい。
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事件の経緯、官民がどのように動いたか、業界がどのように変わっていったか、という紹介だけでなく、今においても与え続けているリスクに対する考え方や、著者自身が実際に体験した“生の声”がとても面白かった。はじめににも書かれているけど、自分もLTCMは知らない世代なので、このような臨場感のある金融リスク関連の本は非常に有用で助かる。
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良書、と推薦したい。金融機関の市場部門やリスク管理部門に身を置く方ならこれくらいの知識と背景があるのかもしれないが、その世界を外側から窺い知るには、この本のように、歴史的事件に沿って理解する方が早道だろう。
適合性という概念を生む契機となった、FRBショック。
フロントとミドルの分離を業界標準とした、ベアリングス事件。
BCPを強く意識づけた、NY同時多発テロ。
etc...
最近でも「ストレステスト」が檜舞台に登ったきっかけはサブプライム問題とそれに続くリーマンショックだった。金融リスク管理の進化に終わりはない。実際の現場では様々な試行錯誤があり、また当局と規制される側とのせめぎ合いがあって、この本で述べられた10のストーリーのように綺麗に進むわけではない。そのようにいろいろ思いながら最近のボルカールールに関する報道を読めば、理解が深まるのではないだろうか。
最後に、10のストーリーを端正に等分に近い形で取りまとめた筆者に、知性を感じた。