ねこの結婚式 (大人になっても忘れたくないいもとようこ名作絵本)

著者 :
  • 金の星社
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感想 : 7
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  • / ISBN・EAN: 9784323048024

感想・レビュー・書評

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  • 一昨日行った、いつもの図書館の特設コーナー(児童書)では、ひな祭りと猫の日が同時展開されており、ちょうど間隔の空いた私には嬉しくて、この適当感・・じゃなかった、どちらも等しく愛するその精神が素晴らしい上に、そのチョイスが渋かったので、猫の日は過ぎてしまいましたが、何冊か借りてきました。

    本書はその一冊で、『童話集 遠い野ばらの村』(筑摩書房・1981年刊)掲載「猫の結婚式」を底本として、用字用語、読点などは読みやすさを考慮しており、作品の雰囲気を変える可能性のある言葉などについては、底本のままとのこと。

    物語は、のらねこの「ギン」が、以前世話になった、「ぼく」のところに、彼の結婚式の招待状を届けてくれる場面から始まる、安房さんならではのファンタジックなお話で、ぼくには、とても大切にしている、きれいな白ねこ「チイ子」がいて、招待状をもらった今も、ぼくの膝の上ですやすやと眠っている。

    そして、その後の展開には、他の方々も書かれているように、共感出来る方には、とてもやり切れないものがあるのだろうなと感じさせられて(娘さんを送り出す時のお父さんの気持ちって…)、幻想的な場面において、現実的な共感を抱かせてくれる、それらの繋がりの美しさと寂しさには、人生の素晴らしさを違った視点から、見せてくれているようにも思われて、胸が締め付けられるようでした。

    それから、いもとさんの絵柄を見るのは初めてで、その手作り感に溢れた、下町風の温かみある雰囲気(手書きのはがき等)は良いと思ったのですが、もう少し、猫それぞれの姿に個性が欲しかったのと、少し立体感の薄い、のっぺりとした感じに物足りなさを感じました。

    しかし、愛嬌があって親しみやすく、安房さんの物語の魅力を初めて知るには、最適なのかもしれず、本書を通して、もっと安房さんの世界に触れて欲しいと感じました。ただ、字数は結構多いので、絵本というよりは児童書で、小さいお子さんには読み聞かせでも飽きやすいかもしれないので、そこだけ、ご注意下さい(内容もどちらかというと大人向けなだけに)。小学校高学年くらいからなら、自分で読んでみるのには、いいかも。

    私は、原書の方も読んで、文章だけの世界から立ち上るものを、改めて感じ取りたいと思いました。

  • 猫の絵がいいんです。
    猫の目が何か訴えているのです。

    ねこの結婚式 
    2019.09発行。字の大きさは…中。
    図書館の新刊コーナーで目にしました。

    手に取ってページを捲ると、花婿の猫のギンが赤い招待状をもって、どんとA4用紙の大きさの本の真ん中に1人で、茶目っ気一杯で立っています。次のページを開けると、ギンが嬉しさを噛みこらしたような顔で、猫の結婚式の招待状を花嫁・チイ子の父(チイ子の飼い主の人間)に渡す場面が有ります。ここまで見て、これは読みたい(見たい)と思って借りて来ました。

    私は、帰って来て見ていて、猫の絵が素晴らしいです、文章もいいです。これはお勧めです。
    いもとようこさんの絵を見るのも、安房直子さんの文書を読むのも始めてです。

    この本は、1981年に発行された「童話集 遠い野ばらの村」の味戸ケイコさんの絵を、いもとようこさんが新たに描いたものです。文章は、安房直子さんで同じです。
    2020.07.16読了

    • nejidonさん
      やまさん、こんにちは(^^♪
      安房直子さん、いいですよね。
      私は全集を持っていますが、単行本化されて今ずいぶん出ています。
      これもその...
      やまさん、こんにちは(^^♪
      安房直子さん、いいですよね。
      私は全集を持っていますが、単行本化されて今ずいぶん出ています。
      これもそのひとつですね。
      「きつねの窓」が一番好きなので、ぜひ機会があればお読みくださいな!(^^)!
      ちょっと切ない名作です。
      2020/07/17
    • やまさん
      nejidonさん♪こんにちは(^-^)
      「ねこの結婚式」は、いもとようこさんの絵も、安房直子さんの文書もいいですね。
      お勧めいただきま...
      nejidonさん♪こんにちは(^-^)
      「ねこの結婚式」は、いもとようこさんの絵も、安房直子さんの文書もいいですね。
      お勧めいただきました、「きつねの窓(おはなし名作絵本 27) 出版年月1977年 安房直子/文 織茂恭子/絵」を図書館に予約しました。
      ありがとうございます(⌒-⌒)ニコニコ…
      読むのが楽しみです。
      2020/07/17
  • 不思議な物語だなぁ。のらねこのギンが男の所へ結婚式の招待状を持ってくる、参加してみると、男の可愛がっている飼い猫のチイ子が新婦だった!チイ子は飼い主よりギンを選んだってこと?なんともユーモラスな絵本。

  • 子供が自立して、親元を離れるときの気持ちが味わえる本。最後の、ちいこの手紙にほっこり。ねこの結婚式にお呼ばれしたい。

  • 毎朝ていねいにブラシをかけられて、ビロ-ドのような毛並みの〝白ねこのチイ子〟は、飼い主の膝のうえでスヤスヤと眠っています。そこに〝野良猫のギン〟が訪ねてきて「こんど結婚することになりまして。普段着で結構ですので、ぼくの門出を祝福してください」と言い、結婚式の招待状を手渡すのでした。 その当日「ギンの結婚式に出かけてくるから、遅くなったら先に寝てなさい」とチイ子に声をかけ、どしゃ降りの雨のなか<ホテルニュ-ガレ-ジ>へと向かうと・・・。 「チイ子! おまえは、騙されてるんだ」 花嫁の父としての第一声でした。

  • 大人のための絵本だわー

  • あれ?これ読んだことあるな…
    でも覚えてない…
    ちょっとうだつの上がらん感じのヘタレ男が飼い猫に嫁の心配されるみたいなパターンの話あったよな。
    どれに載ってたんだろか。安房直子は手当り次第読んでてよく覚えてない。ブクログのメモに収録作品も書いておくべきだったな…

    安房直子のヘタレ男はまあまあ好きなよ。純文学のヘタレ男みたいに見てて(まだそこまで)痛々しくないし、動物と交流できてるとこからして、他の文学作品のヘタレ男よりも一段上のヘタレ男ですわ。
    しかしいもとようこの男の絵…あそこまでみすぼらしくせんでもよくない?そんなにみすぼらしい??ちょっとわろた。

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著者プロフィール

安房直子(あわ・なおこ)
1943年、東京都生まれ。日本女子大学国文科卒業。在学中より山室静氏に師事、「目白児童文学」「海賊」を中心に、かずかずの美しい物語を発表。『さんしょっ子』第3回日本児童文学者協会新人賞、『北風のわすれたハンカチ』第19回サンケイ児童出版文化賞推薦、『風と木の歌』第22回小学館文学賞、『遠い野ばらの村』第20回野間児童文芸賞、『山の童話 風のローラースケート』第3回新見南吉児童文学賞、『花豆の煮えるまで―小夜の物語』赤い鳥文学賞特別賞、受賞作多数。1993年永眠。

「2022年 『春の窓 安房直子ファンタジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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