防災格言 いのちを守る百の戒め

著者 :
  • ぎょうせい
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  • Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784324086001

感想・レビュー・書評

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  • 防災

  • 著者は防災システム研究所所長。東日本大震災以降、マスコミで見かけることが多く、行政側というよりは住民側からのとらえ方をする人だと思っていたところ、やはり公務員ではなくボランティア畑の人だとわかりました。

    TVなどでは時間が限られているため、著者の主義主張を知りたいと、著書を読んでみました。
    3.11以前の本ながらも、来りくる大地震へ警鐘を鳴らしている内容となっており、震災後に読み返すと、「ああ、すでに危険を唱えていたのに、生かされなかった」と残念に思う箇所が多々見受けられます。

    端的にまとめられた百の格言と、その解説が載っており、わかりやすい作りになっています。

    「地震が起こったら、机の下に隠れなさい」とは、子供のうちから言われ続けて、身体にしみこんだ教えとなっていますが、真実ではあるものの、うのみにしてはならないことだそう。
    地震が起こったら、初期微動のP波のうちに、ドアを開けて逃げ道を確保し、ガラスなどから離れておかないと、大揺れのS波がきてからだと動けなくなり、逃げるタイミングを失ってしまうからというのがその理由です。

    確かにそれは真実です。まだ身体のバランスが取れるうちに、避難経路の確保をするのは大切。
    深刻な揺れであればあるほど、少し先の行動を考えておく必要があるものです。

    ただ、とっさにそうした行動を取れない人も多いだろうことを見越して、一般的には避難第一とうたっているのではないかと思います。

    「非常用のローソクは、ガス漏れの心配もあるので、地震直後に停電しても使ってはいけない」というのも、(あっそうか!)と言われて気付いた点でした。
    むやみに火を起こすのは危険極まりない状態ですが、ただ暗くて不便なところにいると、そういった用心を忘れてしまいそうです。

    田老町の防災対策に対し、大堤防の海側に民家が立ち始めていることに注意喚起している点にも、胸が締め付けられました。
    海側どころか、町側にも津波が押し寄せて、すべて流されてしまった田老町。
    最後に津波災害が発生してからすでに75年がたち、当時の悲惨な記憶は風化しているとの懸念が、実際のものとなってしまったわけです。
    「心の堤防が低くなってしまったのが原因」と著者は表現しています。

    また、雨降りの時に自分の家の周りを歩いて状況確認する「雨降り散歩」を勧めています。
    そうすると、水がまとまってどこへ流れ込むのか、どの辺りに水がたまるのか、知ることができます。
    災害時、水はどんな猛威をふるうのか予想がつかないため、知識として知っておくことは大切だとわかります。

    「人は自己(対策)の過大評価と、敵(災害)の過小評価で失敗を繰り返す」とする著者。
    「誰かがやるだろう」とは「誰も何もやらない」ことと同義だとして、「自分だけは大丈夫」という根拠のない安全神話に繋がれないこと、「悲観的に準備して、楽観的に行動する」ことの大切さを語っていました。

    「防災とは、被害者、加害者、傍観者にならないためのモラルである」とまとめられているのは、まさしく格言的な端的な言述。
    「一人が百歩行くよりも、百人が一歩ずつ進まなければ真の安全は得られない」という気持ちを、パニックの時も忘れずにいられれば、それだけでも落ちつけて、かなり不幸な事故は抑えられるし、普段の時も心得ていれば、住民の危機管理意識の底上げがのぞめることでしょう。

    当たり前のようなことがまとめられていますが、小さいことながらも繰り返し意識的に考えていないと、防災につながらないことばかりがまとめられています。

  • 資料ID: C0030906
    請求記号: 369.3||Y 32
    配置場所: 本館2F書架

  • ガラスに飛散防止フィルムを貼る。
    災害緊急ダイヤル
    地震時に持ち出すものは命だけ
    避難時は火の元、ガス栓、ブレーカー
    地震時はハザードランプをすぐつける
    ドアをロックせずキーを付けたまま連絡先のメモを残し
    車検証を持って避難

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著者プロフィール

防災システム研究所所長。報道番組での解説や、執筆・講演活動を行いながら、企業や自治体のアドバイザーを歴任し、防災意識啓発に取り組む。主な著書は『南三陸町 屋上の円陣』『互近助の力 ~隣人と仲良くする勇気~』(以上ぎょうせい)、『台風防災の新常識 災害激甚化時代を生き抜く防災虎の巻』(戎光祥出版)など。

「2022年 『ぼうさい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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