- Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326000340
感想・レビュー・書評
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論文の型を説明した本。もしかしたらリサーチ・デザインを学ぶ前に読んでおくべき本だったかもしれない。今後、論文指導で指導されるであろうことが、予め示されている。とても助かる。いわばお話作りの手続きが簡潔に書かれているのだ。修論執筆期間は実質1年。やはり時間との戦いだ、と本書でもいっている。さあ、M1は早速自分のレジュメと向き合おう。
<ノート>
■論文の要件
(1)目的 (2)中心命題(≒主張・結論、リサーチクエスチョンの答え) (3)「問題と解決」の枠組み(≒リサーチデザイン) (4)中心命題が持つ含意:間接的な貢献。
■目的
(1)概念の検討・整理 (2)仮説検証 (3)仮説創設 (4)新事実の提示
■中心命題
証拠を積み上げる、反論を取り扱う、選択を正当化する(例:なぜこの手法・事例・分析方法を選んだのか)。
■概念の検討・整理
ある抽象概念・論理的構造は、当然視されているものの、体系的に解明されていない。→解明することが解決策
ある概念が論者により意味が異なる。→それぞれの意味を明確化することが解決策
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「先行研究の不備・限界を指摘しない論文、ましてや先行研究のレビューなしで進む論文は学術論文では有り得ない」これすらできていない論文が氾濫しています。。
自らが書くものがそうならないようにしっかり進めていこうと思っています。
執筆の際にはまた読み返したい一冊です。 -
タイトルには「作成術」とあるが,この本を早い段階で読んでおけば,他の人が書いた(「型」に沿った)論文を効率的に読むことにも貢献すると思われます。卒論から査読論文まで各段階で求められる内容についても詳細に記されており,これからも長い付き合いをしていく本になるかと思います。
学部上級生で,これから本格的な論文を書くという人には必携の本です。 -
社会科学系若手研究者(志望者、院生、学部生)のための論文作成方法についてわかりやすく記載してある本。
書いてある事は、8−9割型、まともな博士研究者であれば、知っている事だが、あらためてその重要性や意味を確認できるという意味でも非常に優れた本で、やる気をもらい、勇気づけられる。
学部生には少々難しいので、修士課程以上の院生向けではあるとは思うが、買っておいて手元においてまず損はない本である。
ただ修論や卒論、特に後者に関しては、必ずしも方法論や進むべき道を限定する必要もないと思う。紆余曲折しながら、それでも研究したい事を見つけるのが多くの研究者であり、学部生の頃ぐらいは大冒険をしても評者は良いと思う(自分自身がそういう経験をして非常にぷらすになったので)。もちろん、修士や博士はこれとは質が違うし、博士となれば、もういっぱしの研究者なので、型を理解していない冒険心に基づく論文などを書いていれば、研究者として失格になる訳だが。
こういう印象もあって、出来れば学部生以降の人たちにこれを読んでほしいと思った。もちろん、学部生もこの本を読むべきだと思うが、読んだ後、マニュアル本として全てこの本の指示に従うのではなく、この本自体も批判的精神で読み、研究を発展させる気持ちを持ってほしいものである。