- Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
- / ISBN・EAN: 9784326050161
作品紹介・あらすじ
日本の図書館を取り巻く状況は、歴史的なうねりのなかで激変しており、いま新たな図書館政策論・図書館思想が必要とされている。そこで日本の歴史のなかでも、特に明治期から現在までを中心に、従来の図書館論で見過ごされてきた、図書館が果たしてきた役割や機能を記述する。重要事項を検証し、今後のあるべき図書館像を検討する。
感想・レビュー・書評
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日本における図書館とそれに類する組織の変遷を追い、今現在とこれからの図書館を考察している一冊。
近世まであった文庫や戦前戦中の活動、そして戦後占領下での欧化を中心に解説されています。
図書館史を学ぶに適していることは当然ですが、今後の見通しについて“機械化図書館”と“電子図書館”の構想が綴られています。
前者は紙媒体を主体にした情報を機械仕掛けで管理するもので、現在実現している自動書庫などが最たるものだろうと感じました。
後者は紙を廃してデジタル媒体に特化した姿であり、現状それだけでは全ての情報を保存できません。
同じ情報を複数の媒体で保存するのが安全であり、機械化図書館と電子図書館の間の子のような形が望ましいのではないか…と司書として考えます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1970年代までの業績を振り返ることによって近代以降の日本の図書館の発展過程を考えていくことを目的とした図書。
日本の図書館の歴史を検証し、図書館がどのように受容されたのか、発展したのかが述べられている。現代に通じる図書館の課題を指摘しており、勉強不足の自分にとっては、なるほどと思う部分も多い。司書の専門性や養成について明確な社会的コンセンサスが形成されていないことも述べられておりドキッとした。長い事思考停止状態に陥っているのか…。
記述には図書館業務の外部委託が多く述べられている印象も。外部化の方が職員は自治体採用よりも雇用が安定し、研修も多くなっているとのこと。自治体の経費削減が目に見えているなかでどうしていくか…