自閉症の現象学

著者 :
  • 勁草書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326153954

作品紹介・あらすじ

自閉症の人たちは、世界をどのように経験しているのか?フィールドワークの成果をもとに、自閉症児の発達に一貫した論理を見いだし現象学に新たな領域と概念を与える。

感想・レビュー・書評

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  • お分かりの通り現在、村上先生にダダハマり中なのだがこの本は今までの看護師の語りとは異なり自閉症を対象としてあ使っているものだ、私がなぜ村上先生の著書にハマっているかといえば、その独特のしっくりくる言葉選びである。以前紹介した著書のなかにも「『ごっこ遊び』としてのあの世」という言葉は不思議なことに、ニュアンスがとてもわかりやすく理解できる言葉であった。この著書でいうならば「間主体性」という言葉の言い回しであろうか。ただ、この著書に関しては先の2冊ほど読み込めていないので再度(先の2冊も読み返しはするが)読み返したいと考えている。

  • 自閉症として生きる経験がどのようなものなのか、興味深く読めた。たしかに理論的には現象学的方法論から書かれていて難しく感じることも多かったが、具体的な事例から理論を立ちあげようとしているので、比較的理解しやすかった。自閉症について書かれている本ではあるものの、視線恐怖、空間や時間の認識、リズム、人称代名詞の問題など、自分のこれまで生きてきた経験と照らし合わせながら理解できる部分もあった。いくつかの事例が他の章でも何回も繰り返し出てくるところがあり、筆者自身のフィールドワークで得たデータの数が少ないような気が若干した。でも、多くのことを学べてとても面白い内容だった。

  • 大変興味深い。
    定常発達児(「普通の子ども」という意味ではない!そもそも「普通」とは何だ?)と自閉症児を比較しつつ、自閉症児の世界体験を視線触発、図式、現実という3つの概念を用いて記述していく。
    自閉症児は、言葉ではなくイメージでもって思考するとか、3次元的にではなく2次元に近い形で世界を捉えるとか、心の理論の欠如あるいはそれの希薄、自閉症は哲学的な立場で言えば独我論に近い立場にあるなど非常に興味深い事例がいくつも登場する。
    本書を読むことで、自閉症がどういうものであるかも理解できるが、同時に現象学における主体と他者の関係性や条件なども何となく理解できる。

    著者はもともと現象学が専門だったそうだが、ひょんなことから精神医学やこの自閉症と向き合うようになったとか。

    何度も登場するドナ・ウィリアムズ『自閉症だった私へ』を読んでみよう。

  • 非常に読みたい。

  • 自閉症を現象学の視点から見るという試みが面白そうだと思って手に取った。
    全部は読めなかった。ざっと読んだ程度。

    知的障害者への理解を深める事が出来た。
    見かけたときには、怖い、とまず思うのではなく、あのひとはどういう世界を見ているんだろう?と好奇心をもって理解しようとするようになった。

    おぼろげなイメージはあったが詳しくは知らなかった現象学という学問への理解も同時に深める事が出来た。

  • 例えを使っての内容なのでとてもわかりやすい本。

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著者プロフィール

1970年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程満期退学。基礎精神病理学・精神分析学博士(パリ第7大学)。現在は、大阪大学人間科学研究科教授。専門は現象学、精神医学。著書に『治癒の現象学』(講談社メチエ)『レヴィナス』(河出ブックス)『摘便とお花見-看護の語りの現象学』『在宅無限大』(医学書院)『仙人と妄想デートする 看護の現象学と自由の哲学』(人文書院)などがある。

「2023年 『客観性の落とし穴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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