「次の一手」はどう決まるか: 棋士の直観と脳科学

  • 勁草書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326299294

作品紹介・あらすじ

盤面の状況を瞬時に把握し、先の先まで読んだかのような手を指す棋士たち。その背景にある人独自の直観的な思考のメカニズムとは、どのようなものなのだろうか。認知科学と人工知能の研究者による脳科学・認知科学研究、そしてプロ棋士自身によるコンピュータと人の対局分析を通じて、「次の一手」を生み出す思考の不思議を明らかに。

感想・レビュー・書評

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  • 「よく考えられる」とは、どういうことのできる人なのかが分かる本。
    プロ棋士は、盤上という有限の広がりの中で考えることを生業にしている人たちである。そんな、常人にはない能力を持つ集団の思考のしくみを、脳科学・認知科学・人工知能などの見地から解き明かそうとした研究プロジェクト「将棋思考プロセス研究プロジェクト」のことが紹介されている。

    将棋を全くしない私にとっては、次の一手を数時間も長考することも、数十人を相手に対局することも、理解の範疇を越えている。
    それを可能にしているのが“直観”であるというのが、この本の主旨だ。そして直観は、気の遠くなるような鍛錬の先にあるものだという論旨に、“プロ”の心意気を感じた。

  •  内容が将棋の話に特化し過ぎていた。

  • プロ棋士も意外と3手先くらいまでしか読んでないことや、定石から外れると記憶力が落ちること、そこがコンピューターに敵わないところなど、興味深かった

  • 著者:中谷裕教|伊藤毅志|勝又清和|川妻庸男|大熊健司
    装丁:吉田憲二

    2,500円+税
    出版年月日:2018/04/27
    9784326299294
    4-6 192ページ
    NDC:491.37

    盤面の状況を瞬時に把握し、先の先まで読んだかのような手を指す棋士たち。その背景にある人独自の直観的な思考のメカニズムとは、どのようなものなのだろうか。認知科学と人工知能の研究者による脳科学・認知科学研究、そしてプロ棋士自身によるコンピュータと人の対局分析を通じて、「次の一手」を生み出す思考の不思議を明らかに。
    http://www.keisoshobo.co.jp/smp/book/b355434.html


    【誤植】
    ・p.59、3行目。符号の間違い。
    ☓ 「黒枠で囲んだ3七の銀がどこに進むかで」
    ○「黒枠で囲んだ3八の銀がどこに進むかで」


    【目次】
    口絵 (3頁)
    目次 [i-v]

    第1章 思考の秘密を解く楽しみ 001
    1 盤上に広がる思考研究の世界 001
    2 「次の一手」を生み出す思考の不思議 003
    3 棋士の思考の特徴 006
    4 直観的判断の認知的メカニズム 008
    5 「見る」ことの認知的な特徴と直観との共通性 014
    6 直観的な思考に関する脳機能の仮説――小脳仮説 018
    7 将棋を題材にした脳研究への期待 021
    8 将棋思考プロセス研究プロジェクトの発足 024
    9 研究プロジェクトの準備と将棋会館での予備実験 028
    注 031

    第2章 「次の一手」を生み出す脳機能解明へのアプローチ 033
    1 将棋棋士の直観 033
    2 尾状核――直観的な指し手の案出に関わる脳部位 038
    3 楔前部――局面理解に関わる脳部位 042
    4 楔前部と尾状核――将棋棋士の直観の神経回路局 045
    5 駒の価値と役割――局面理解の手掛かり 047
      棋士の眼球運動――局面理解の際にどこを見ているのか
      駒の価値
      駒の価値と役割
    6 局面理解の脳内情報処理過程 060
      棋士の脳はわずか0.2秒で定跡形に反応する
      二段階の情報処理
      局面認識のための脳内役割分担
    7 残された課題 069
      小脳仮説の検証
      対局中の思考
      創造性に関わる直観
      将来への期待
    注 074

    第3章 将棋の認知科学的研究 075
    1 ゲーム情報学から見た将棋 075
    2 その他のゲームを題材とした認知研究 078
    3 将棋における局面の記憶研究 080
    4 将棋における次の一手実験 088
    5 コンピュータの思考と人間の思考 091
    6 将棋と囲碁の認知的な違いに関する研究 096
    7 十分に強くなったコンピュータ将棋の利用 099

    第4章 棋士の視点から読む将棋研究 107
    1 将棋のルーツ 107
    2 「読み」と「大局観」 108
    3 プロ棋士の鍛錬方法 111
    4 羽生世代が何故強いのか? 115
    5 コンピュータ将棋 116
    6 完全情報ゲームにおける人間とAIの対決 117
    7 プロ棋士 VS. コンピュータ将棋 121
    8 コンピュータが将棋を変える 124
    9 プロ棋士の今後 130

    第5章 コンピュータの夢 133
    1 なぜ今AIなのか 134
      あこがれの器官 脳
      研究を始めた動機
      なぜ今AIなのか
    2 AIは作れるのか 139
      コンピュータの進歩と夢の変遷
      AI研究の歴史
      AIは作れるのか
      人工生命とAI
      「弱いAI」と「強いAI」
    3 AIと協調する未来 152
      AIへの期待、夢、恐れ
      冷たいAI
      成長できるAI
      優しいAI
    4 最後に 159
    注 161

    第6章 ヒトを対象とした脳研究が向かう先 165
    1 振り返って 165
    2 マウスでなくヒトを研究対象とした脳研究 168
    3 将棋を対象にして、直観を働かせる脳の働きに関する研究への期待 172
      詰将棋の視点から思う脳の不思議さ
      直観をてくのとサイエンスの違いから考える
      「記憶、意識、無意識」「創造力」と脳の関係


    索引 [iii-v]
    執筆者紹介 [i-ii]

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著者プロフィール

中谷 裕教(なかたに ひろのり)
1973年生まれ. 東北大学大学院工学研究科博士後期課程修了. 博士(工学). 東北大学大学院助手, 理化学研究所脳科学総合研究センター研究員, ERATO岡ノ谷情動情報プロジェクト研究員を経て, 現在は東京大学大学院総合文化研究科助教, 理化学研究所脳科学総合研究センター客員研究員. 著書に『将棋と脳科学:脳を知る・創る・守る・育む』(分担執筆, 2010, クバプロ)がある.

「2018年 『「次の一手」はどう決まるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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