ライブ・合理的選択論―投票行動のパラドクスから考える

著者 :
  • 勁草書房
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784326550630

作品紹介・あらすじ

大体なんでぼくらは選挙に行かなきゃならないのか?その理由を経済学で分析するって?そんなことできるわけ…、あるかも!そうだ、「合理的選択論」勉強してみよう。

感想・レビュー・書評

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  • 投票行動における合理的選択論について、
    非常に分かりやすく書いてあります。

    ダウンズモデルからゲーム理論へ(ナッシュ均衡論)
    展開していくところは政治学の教科書には
    なかった点なので興味を持ちました。

    経済学の計算が出てきますが、その点は
    理解しようとはせず、そうなるんだと思って読んでも
    問題ないです。

    何よりも政治学に経済学的アプローチ(私的な損得を追求する)
    の方法が面白いです。

  • 政治現象を経済現象をシームレスな理論によって説明する合理的選択論の考え方を、投票行動の具体的な例にそくしてわかりやすく解説している本です。

    大学生の堀江昆(ほりえ・こん)とフランス人学生のカミーユ・オダナが登場する小説仕立ての「ラノベ編」と、それにつづく著者の説明で構成されていますが、「ラノベ編だけ、あるいは説明編だけ読んでも、大体わかるようにはしてあるつもりだ」と著者が述べるように、合理的選択論がどのような考え方なのかということをおおまかに知るためには「ラノベ編」だけでも十分だと思います。

    興味深い構成だとは思いますが、「ラノベ編」と説明の両方を読むばあいには、すこし説明の重複が気になってしまいます。

    ちなみにライトノベルの出来ばえにかんしては、哲学者の冨田恭彦による「科学哲学者柏木達彦シリーズ」(角川文庫)に軍配があがります。

  •  素晴らしい本だが、「ラノベ」部分だけは外注した方が良かったと思う。『経済学私小説〈定常〉の中の豊かさ』のラノベ部分と同じくらい読むのがつらい。

    【目次】
    まえがき [i-iii]
    目次 [v-xiii]

    序章 大体なんでぼくらは選挙に行かなきゃならないのか 001
    【選択のメカニズム】
    【大体なんでぼくらは選挙に行かなぎやならないのか】

    第1章 合理的選択論 013
    1・1 【ラノベ編】昆くん、勉強する。
    1・2 合理的選択論とはなにか
    1・3 中位投票者仮説
    1・4 【ラノベ編】昆くん、選挙(とカミーユ)に悩む。
    1・5 ダウンズ・モデル

    第2章 第一のパラドクス 095
    2・1 【ラノベ編】昆くん、悩みが深まる。
    2・2 第一のパラドクス
    2・3 微調整をくわえる
    2・4 【ラノベ編】昆くん、動揺する。
    2・5 ゲームのルールを変更する

    補論 有権者選択理論 161

    第3章 第二のパラドクス 173
    3・1 【ラノベ編】昆くん、腹をくくる。
    3・2 第二のパラドクス
    3・3 参加者の視野をひろげて考える。

    終章 大体なんでぼくらは合理的選択論を勉強しなきゃいけないのか 207
    【投票行動モデルに対する評価】
    【合理的選択論に対する批判】
    【合理的選択論に対する評価】
    【ラノベ編】エピローグ

    あとがき [235-237]
    文献 [iv-ix]
    事項索引 [ii-iii]
    人名索引 [i]

  • なんで投票にいかなくちゃいけないの?というコンセプトの本だったらしい。
    結局は、公共選択理論やゲーム理論を使って「なんで投票に行ってるんだろう」という現状分析のツールを概説してくれてます。
    ちなみにラノベ編は楽しく読ませていただきました。

  • 独特の軽妙な小田中節が、とうとう「ラノベ」を書くまでになってしまった。とはいえ、僕はラノベを読んだことないので、ラノベとしての質が高いかどうかはよくわからない。けれど、全体的に読みやすい雰囲気が出たことは、言えると思う。個人的には、わかりやすくするための努力をしてるという点で、好きだ。

    「大体なんでぼくらは選挙に行かなきゃならないのか?」という表紙の問いに、実は本書では必ずしも明確に答えを出しているわけではない。そのことを理解するためのツールとして「合理的選択論」が、選択的に用いられるべきだという、行ってみれば真っ当な(それゆえに歯切れの悪い)結論になっている。

    でも、世の中そんなもんかなと思う。「大体なんでぼくらは選挙に行かなきゃならないのか?」という答えの無いような問いを、「そもそも投票はなすべき善き行為」であるとか、「人びとが苦労して勝ち取ってきた権利だから」と一言で答えることなく、考察していく。この態度こそが、答えの無いような問いを前にした、学問的に誠実な態度のかもしれない。そして、それは、学問的にだけに限らず、日常生活においても「選択的に有効」なのかもしれない。

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著者プロフィール

1963年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科単位取得退学、博士(経済学、東京大学)。東京大学社会科学研究所助手などを経て、現在、東北大学大学院経済学研究科教授。専門はフランス社会経済史、歴史関連諸科学。著書に『フランス7つの謎』(文春新書)、『フランス現代史』(岩波新書)『歴史学ってなんだ?』(PHP新書) 『歴史学のアポリア――ヨーロッパ近代社会史再読』(山川出版社)などがある。

「2022年 『歴史学のトリセツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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