- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784331515563
感想・レビュー・書評
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現在の日本の財政状況から将来財政破綻、超円安、スタグフレーション、ハイパーインフレから国民生活破綻の可能性を提示し、それに個人レベルで備えられることが書かれています。内容はいたって真面目であり、現在40~50歳代の方は一読する価値があると思いますが、できればある程度は資産運用の基本的な知識があった方が良いと思います。
その国民生活破綻に至る道筋は私なりに読み取るとざっと以下のような流れですが、実際にはこうは単純でなくてもっと複雑であろうとも言っています。また国債暴落のトリガーになるのはリスクマネーとのことです。
少子高齢化、災害復興
↓←───────────────┐
財政赤字拡大 │
├────────┐ │
↓ ↓ │
国債暴落 増税 国債発行増加
↓ ↓ ↑
長期金利高騰 可処分所得低下 税収落ち込み
┌───────────┤ │ ↑
↓ ↓←───────┘ │
財政破綻 景気低迷 │
│ ├────────────────┘
├──────────→↓
│ 株式、国債、為替トリプル安
└──────────→↓
超円高進行
├────────┐
↓ ↓
ハイパーインフレ スタグフレーション
↓←───────┘
国民生活破綻
自分の備忘録のためにも、本書に書かれている対策を下に書いておきます。個人的にはこれはどうかなと思うものもありますが、概ねはうなずけるものです。
・円預金はできるだけ減らして、国際分散投資を心がける。(→「できるだけ」をどの程度と考えるかにもよるが、これは資産運用の基本ですね。)
-外貨預金は保護されないので、別勘定になっている外貨建てMMFの方がよい。
-分散投資ETFもおすすめだが、国内経済が混乱すると国内の取引所が閉じてしまうかもしれないので、海外ETFの方がよい。(→VTのようなものを指しているのだと思いますが、具体的には書かれていません。)
・日本国債が下がると上がるETFがあれば良いが、今のところはそういうのはない。投資信託ならばそのようなもの(ベア型)があるが、ただし短期型と長期型があり、短期型にすること。例えば、野村證券のスーパーボンドベアオープン」、T&Dの「日本債券ベア」など。
・資産を海外口座に移す。
・金は年々積み立てるよりも、国債暴落時に金も一時的に大幅に下がるはずなのでそれを狙う。ただしこの時は円安がかなり進んでいる可能性もあり、そうすると円換算ではそれほど安くないかもしれない。比率的には全金融資産の5%程度。(→素人的にはこういう時に金が下がるのは解せなかったのですが、金の先物市場にリスクマネーが入り込んでいたのが一時的に逃避するために起こるそうで、リーマンショックの時には一時的に\2200まで下がったそうです。ちなみに現在は4000円台の後半。)
・インフレに強い不動産、それも収入のある不動産(賃貸マンションや商業用不動産)に投資する。(→現物不動産に投資するのは一般の人では難しいので、そういうJ-REITになるのでしょうか。)
・FX、先物、オプションで保有金融資産のリスクを回避する。(→いやぁ、これは素人が下手に手を出したらやけどするだけなのではないかと思いますが。)
・国際分散投資のエース「通貨選択型ファンド」を買う。(→確かに海外ですが、これでは国産分散投資にならないような気がしますが。)
・最後には、海外逃避や自給自足も選択肢になる。
・銀行を選ぶ際には日本国債の保有高が少ない方が安全。比率的には、ゆうちょ銀行 >> 三菱UFJ銀行 > みずほ銀行 > 三井住友銀行。セブン銀行のようにATM収入だけでやっているところや、ソニー銀行のように外貨に強いところも面白い。
最後にご参考ですが、IMFが2005年に出した日本救済プログラムというのが書かれていて、これを見るとまさに驚愕の内容が紹介されています。これを見ると、今の消費税10%増税に賛成とか反対とかとは次元の違う話です。
(1)公務員総数30%カット、給与30%カット、ボーナス100%カット
(2)公務員の退職金100%カット
(3)年金一律30%カット
(4)国債利払い5~10年停止
(5)消費税率20%に引き上げ
(6)課税最低限引き上げ(年収100万円以上)
(7)資産税導入(不動産:公示価格の5%、債権・社債:5~10%、株式:取得金額の1%)
(8)預金30~40%カット
ただネットではこれはおかしい、ありえないという記事もあって、素人の私にはどちらが正しいとか間違っているとかはわかりません。(本書でもこれは紹介にとどめているだけです。)詳細をみるコメント0件をすべて表示