それよりこわい

著者 :
  • 佼成出版社
3.11
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本棚登録 : 131
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (34ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784333028986

作品紹介・あらすじ

学校の帰り道、2人の男の子が「こわいもの」を言い合っています。病院の屋上。ドアが開かないエレベーター。それよりもっとこわいのは――? 自分の頭の中にあるものが、いちばん怖い。想像力を刺激する絵本です。

感想・レビュー・書評

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  • きょう せんせい
    むっちゃ こわかったなあ
    「いいかげんにしなさい!」ってな
    びびって からだ うごかへんかったで

    だいじょうぶ
    あれは せんせいのくちぐせだよ
    それより
    ほら あそこ

    くるよ くるよ
    さくをとびこえ こっちにやってくる
    せんせいより よっぽどこわいよぉ


     ・・・といった感じで、小学生二人がお互いに、それよりも怖いものを語り合う、自慢合戦にも近い展開には、きっと共感出来たり、自分だったらそれよりもこれだなと、あれこれ想像を巡らせたくなる要素がありつつ、それが怖くない理由にツッコミたくなったりと、様々な楽しみ方が出来る絵本です。

     試しに、一つ書いてみると、

    のぼりだけのエスカレーター
    いちどのったら 2かい 3かい……
    どんどん あがっていく
    けど、くだりはない

    だいじょうぶ
    はんたいむきに もうれつダッシュで
    かけおりたらいいさ

     いやいや、駆け下りるのも下を見ちゃうから怖いでしょと、私は思ったが、そこは人それぞれ、感じるものに程度の差はあると思うので、そこで意見を戦わせてみるのも面白いのでは。

     ちなみに、近藤薫美子さんの、どこか懐かしさの漂うタッチで描かれた絵には、昔話風のじめっとした感じがありながら、時に抽象的に感じられる点もあり(特に後半部分)、これを子どもたちがどう捉えるかで、好みが分かれそうな気もするが、お話自体は、見返しが黒から黄色へと変わっているように、最終的には、どんな怖いものだって、これさえあれば大丈夫的な終わり方に思えたものの・・・。

     そう、私が最も気になったのは、最後の、それまでの過程が無ければ、何ということもない絵なのだが・・・あれこれ想像してしまうと、それの唯一の目撃者と思われる、裏表紙の猫の後ろ姿が、いちばん怖かった。


    《余談》
     先日、買い物をする為に歩いて出掛けた時、私の少し先を歩いていた男性が、ふと右手にある、一軒家の門の先のアプローチを見ながら立ち止まったので、何かと思ったら、そこにはまさかの光景が私を待ち構えていた。

     最初は、犬と見間違えたのかと思った。
    犬ならば、人間への忠誠心を持っていて当然だと思ったからだが、どう見ても、そこにいたのは一匹の猫であり、しかもそれを取り囲むように、先程の男性と、おそらく飼い主であろう、二人の女性とが、上手いこと、猫を中心にトライアングルを描いたような等間隔でいるのに、当の猫は落ち着き払って、ちょこんとエジプト座りをしており、先程立ち止まった男性が、他の二人に声をかけながら指を近づけると、猫は全く臆せずに鼻をくっつけた後、撫でられるがままの様子には、まさに神と思わせるような、神々しさを感じられた。

     驚いた。

     これが、飼われている猫の持つ知られざる一面なのか。しかし、男性と猫が初対面であるのは、その話の内容からも察せられたのに(その現場に近付く間に聞こえてきたのだ)、この何の躊躇いもない、猫の素直さは何なのだろうか?

     そして、私があとちょっとだけ早く家を出て、あの現場に差し掛かっていたら、もしかしたら、私があの至福の体験をしていたのかもしれないのにと思うと・・・しかも、その家の前は数え切れないくらい通っているのに、そんな光景を見たのは、今回が初めてだった。

     こんな体験をさせられた世界って怖いと思った。

  • 怒る先生よりこわいのは、吼える犬
    吼える犬よりこわいのは、病院の屋上

    病院の屋上よりこわいのは、ぐらんぐらん揺れる吊り橋

    ○男の子二人が、怖いものを話ながらの帰り道
    ○ラストは読む側で変わるぽい 
     犬のいる帰り道なのか、迷い込んだ場所から犬に導かれて現世なのか、それとも…

  •  怒った先生よりも怖いのは、猛犬? 吊り橋? 暗い洞窟? いやいや、もっとそれよりも……。


     図書館本。
     2人の男の子が怖いものを挙げていく話。相手よりも怖いものを、とエスカレートしていくと、なんだこの結末……???
     他の紹介文やレビューを見ると、素直に受け取って良いらしい。うっかりホラーな想像しちまったぜ……。

     この絵本、扉が無いぞ? と思ったら、なんともユニークな方法でタイトルが仕込まれていた。
     絵柄も迫力があって、怖さの説得力の盛り上げに成功していると思う。

  • こどもはこわいものが大好き。
    何がこわいかは、人それぞれ。
    ページをめくる度、出てくるこわいもの、こわい景色。
    読み手と話しながら読むのに向いている絵本。
    自分一人で、想像しながらじっくり読むと本当にこわいかも。

    子供が一人で読んでいる時、周りの大人はくれぐれも声をかけず、集中させてあげて下さい。

  • 2人の小学生が怖いもの次々と想像をしていく。
    どれも怖いが、2人がギュッと手を繋いで立ち向かっていくと、ほら、大丈夫!

  • 情報なく読んだ方がいいです。絵がドキンとします。
    〇未就学児~

  • 絵力が強くて、怖さ倍増‼️この夏におすすめかも。

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著者プロフィール

ノートルダム清心女子大学人間生活学部児童学科教授
児童文学作家・児童文学者
保育園・幼稚園・図書館・児童養護施設・老人保健施設・刑務所など様々な場所で絵本の読みあいを続ける。
『チャーシューの月』(小峰書店)で,日本児童文学者協会賞。
「長期入院児のための絵本の読みあい」(西隆太朗と共同研究)で,日本絵本研究賞。
『あららのはたけ』(偕成社)で, 坪田譲治文学賞。『こくん』(童心社)でJBBY賞。
主な著書に、『感じあう 伝えあう ワークで学ぶ児童文化』『「こどもの本」の創作講座』(以上、金子書房)、『保育をゆたかに絵本でコミュニケーション』(かもがわ出版)、『幼児理解と保育援助』共著(建帛社)など。

「2024年 『立ちあう保育 だから「こぐま」にいる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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