食人宴席: 抹殺された中国現代史 (カッパ・ブックス)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334005436

作品紹介・あらすじ

中国共産党秘密文書が暴く「狂気」と「凄惨」。

感想・レビュー・書評

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  • 人肉食と言えば、中国に限らず、飢餓を理由にやむ無くその手段が取られる事もある。とりわけ中国では、三国志において劉備が劉安から妻の肉を振る舞われ、曹操が美談とした話が有名な位、特に否定する必要もない程、そうした事実はあっただろう。しかし、この食人行為は文革時代だから、割と最近の話だ。私からすると、食人以上に、文革の私刑、集団狂気の方が余程恐ろしいが。

    嗜好品、飢餓状態、それなりに理由があったのだろうと読んでみたが、どうも群衆心理における同調圧力。クラス抗争、あるいは健康の為などが理由。思えば、死者の骨を食べるなんていう風習は日本にもあった。やはり、怖いのは、カニバリズム以上に殺人であり、生きたまま食すような凌遅刑のような狂気。怖いよりも、人肉食は本能的に気持ち悪い。

    よく書いたな、書けたな、という感想。そしてこの食人行為を中国共産党がきちんと裁いている事実。刑の内容は別としても、これは驚きである。

  • 文化大革命時に中国南部において行われた食人を含む虐殺行為を取材した本。

    以下、注意を引いた点を挙げる:

    文革時、紅衛兵は3人いればその場で人民裁判を開き、死刑を実行できた。

    人肉を食べたのは薬になると信じられていたから。

    文革は共産党上層部の権力闘争で、それに動かされた人々は利用されていた。

    人肉を食べるのにも作法(階級?)があり、権力のあるものはまず心臓、内蔵、を最初にとる。残りを人民が奪い合う。

    親孝行のために人肉をもちかえる人もいた。(つまりそれほど人肉食が知識として(文化的にも?)浸透していたらしい。

    文革時のこのような食人は当時の人々の中にも問題視していた人があり、一部では糾弾してさえもいた。(その糾弾を受けていた指導者はどうやら“おぞましく恥ずかしい行為をしている”と言う感覚は無かったようだ。ゆえに糾弾していた人々も、この本の読者が感じるようなおぞましさから糾弾していたのではなさそう。)

    中国南部のこの食人行為は、鄧小平にも届き、「やめさせるべき」と発言が記録されている。

    マルクス主義と儒教は一見相反するが、儒教が抑圧していたものをマルクス主義が開放し、儒教的な隷属支配がマルクス主義によって継続した一面もあり、両者は実は似通った面をもつ。

  • 中国なら有り得る話ではあるが、酷い話である。前半では人を食う話が延々と続く。登場人物が多いので誰が誰だったかピンとこない場面がしばしば。後半中国の思想の話になるのだが、飲み込むのに時間が掛かる。アカのせいだと言うのは良く分かりました。

  • これはウソかまことか?人を食べる?前半はあまりにも耐えがたい記述が続きます。大躍進、文革がひどかったのはよく耳にするがここまで?恥ずかしながら知りませんでした。

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