韓国の悲劇: 誰も書かなかった真実 (カッパ・ビジネス)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334011857

感想・レビュー・書評

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  • すごい。30年前の本なのに、今の日韓関係をも説明できる理由が述べられている。最近の嫌韓本は韓国の欠点をあげつらうものばかりだが、この本はなぜ相互理解ができないのかの理由を、歴史、宗教、血縁、経済という多面的な見方で説明している。面白い。

  •  30年前の本だが、まったく古くない。むしろ新しいと言えるくらいの本で、いまは絶版みたいなのだが、ぜひとも復刊して欲しい。
     日韓の関係改善に向けて、三つの原則を守るように提示する部分とかとても良く、その三つとは、相互性の原則。無差別の原則。合理性の原則、である。
     相互性の原則とは、国際法上の慣行として重要な、復仇の権利と同じ考え方の上に立つものだ。たとえば、軍縮交渉において、相手が我が国の軍備削減を要求してきたら、我が国も相手国に軍備削減を要求する。そうではなくて、カーターのごとく、アメリカだけが一方的に軍備削減をしてソ連にこれを要求しないとなると、平和への意欲を評価される前に、外交上失敗だと嘲笑される。カーターのやり方を見てサッチャーは、アメリカのごとき一流国の指導者が、かくも外交に無知であるとは、驚くべきことであると評した。
     無差別の原則とは、外国との付き合いの中で、ある国だけを特別扱いしない、ということだ。合理性の原則とは、もっともな要求はこれを聞き入れ、ナンセンスな要求とは断固としてこれを拒否せよ、ということである。
     この三つの原則を守れという要求を徹底するだけでも、テンプレな右翼的反応に、一つの筋道が見いだせるのではないか。
     とにかく夢中になって読んだ。復刊を強く強く希望する。

  • 刊行直後の1985年に読了。当時は日韓の文化的軋轢に実感がなく、印象に残ったのは①借金経済、②過度の貿易依存性、③日本経済への従属性という韓国経済の脆弱性だった。その後も韓国経済は急成長を続けたが、こうした構造的問題は却って増幅し、今や韓国の全負債規模はGDPの3倍に当る3,000兆ウォンに迫り、対GNIの輸出入比率は2012年で112.7%に達している。今回再読して驚くのは、約30年前に執筆された本書が、既に日韓関係のねじれの淵源を是々非々で明らかにしているということである。もちろん著者は日韓関係の改善を志向し、ねじれを正常化するための様々な提案を行っている。しかし、その後も韓国は日本に対して一方的な主張を続け、日本もこれにまともな反論をすることなくたかられるままに借款を供与しあるいは資金を提供し続けた。著者が「グロテスク」と評した日韓関係は更に混迷の度を深め、本来自己主張を苦手とする日本人が「ヘイト・スピーチ」デモまで展開するに至っている。いつも「ヘイト・スピーチ」を繰り返している国民にはわからないだろうが、これは案外深刻な事態なのである。朴大統領が宣言したように、関係改善は今後「1000年」はないものと覚悟すべきなのかも知れない。

  • 本書のまえがきに、
    「本書を繙かれる読者は、韓国人も日本人も、筆者を殺したくなるだろう。それと同時に、随喜の涙を流す。
     もし、そうでないとすると、その人は、日韓問題=韓日問題を論ずる資格がない。」
    とあります。
    そうはならなかったので、僕には日韓問題を論ずる資格はないです。
    いやあ、けどおもしろかった。
    どうにもうまくいかない日韓問題の根幹がどこにあるのかを、歴史的に、社会的に、経済的に論じてます。
    日本は昔韓国にお世話になりっぱなしだったんですね。
    忘れてはいけないです。

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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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