日本資本主義崩壊の論理: 山本七平日本学の預言 (カッパ・ビジネス)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334012656

感想・レビュー・書評

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  • 崩壊の理論と銘打ってますが、大半は近代資本主義が特殊な状況でしか発生しない事の説明と日本資本主義が如何にそれと相似形を為しているかの説明です。入門テキストとして最適です。
    そして、キャピタリズムの中心が片や絶対者である『唯一神』と、片や悟ることが(奇跡的にとは言え)出来れば誰にでもなれる『仏』である事が、結末を異なるものにしていくのを説明してくれます。
    現代人の必読書!

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    スターリン主義の根本的誤りとは何か。資本と技術とによって資本主義が建設されると誤認したことである。

    技術と資本だけが、いくらあっても、資本主義は発生しえない。21
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    アメリカの自動車産業は競争力を恢復して、ひとたびは、巨大な利益をあげた。それなのに何か。その巨額な利益を設備投資にまわさないで、会長やら社長やらで山分けしてしまった。28
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    労働は人間の自然状態(ナチュラル・ステート)ではない。人間は、ほっておいても勤勉に働くものではない。31
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    釈迦が語りかける相手は、少なくとも彼の意識の中枢を占めた者は、特権的上層階層であった。

    ああ、これでわかった。仏教の思想的欠陥事項がどこから来たか、が。72
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    俗人は、精神的には、絶対的に地主に服する十八六一年以前のロシアの農奴的存在にならざるをえない。

    農民は、救済を、自らの力で生産することができるようになった。93
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    物欲がわるい理由は、目的としての富を追求することになるからである。所有そのものをもとめるようになるからである。

    結果としての富は神の恩恵であるが、目的としての富は呪いである。147
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    資本主義らしきものは人類史上いくたびとなく発生した。が、ついにこれが発育することはなかった。その理由は、労働者と経営者とを獲得(リクルート)できないからである。155
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    戦争をすること自体が自己目的になってしまう。

    支那事変も大東亜戦争も、なんのために戦うのか、戦争の目的がなかった。196
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    労働それ自体が自己目的となる日本企業。

    企業の要請が、日本全体の要請よりも、社会全体の要請よりも、圧倒的に優先するという事実。

    暴走する企業を止める手だても全くない。197
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著者プロフィール

1932年、東京生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治学研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『戦争と国際法を知らない日本人へ』他多数。渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』『封印の昭和史』がある。

「2023年 『「天皇」の原理』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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