明治・大正・昭和 軍隊マニュアル (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (217ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334032579

作品紹介・あらすじ

明治期から太平洋戦争期にかけて、軍隊にまつわる「決まり文句」の数々を収録した軍隊「マニュアル」とも呼ぶべき本が多数出版された。これらは、出征する兵士が住んでいる村の幹部たちが行った激励の演説、それに応えて彼ら入営者が行う挨拶などを収録したもので、当時の書店でふつうに売られていた。この軍隊「マニュアル」を読むと、軍隊という巨大な存在に対する当時の人々の迷いや不安、反抗心といった心のひだが透けて見える。本書は、徴兵・戦争という巨大な経験に、近代の人々がどう向かい合ってきたのかを、建前と本音の両面から、ひとつの通史として描く試みである。

感想・レビュー・書評

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  • 新書文庫

  • [ 内容 ]
    明治期から太平洋戦争期にかけて、軍隊にまつわる「決まり文句」の数々を収録した軍隊「マニュアル」とも呼ぶべき本が多数出版された。
    これらは、出征する兵士が住んでいる村の幹部たちが行った激励の演説、それに応えて彼ら入営者が行う挨拶などを収録したもので、当時の書店でふつうに売られていた。
    この軍隊「マニュアル」を読むと、軍隊という巨大な存在に対する当時の人々の迷いや不安、反抗心といった心のひだが透けて見える。
    本書は、徴兵・戦争という巨大な経験に、近代の人々がどう向かい合ってきたのかを、建前と本音の両面から、ひとつの通史として描く試みである。

    [ 目次 ]
    第1章 軍隊「マニュアル」の出現―明治一〇年代~日清戦争期(徴兵令の通俗解説書 教科書による兵士教育 ほか)
    第2章 発達・多様化する「マニュアル」―日露戦争期(英露に対する敵愾心の昂揚 朝鮮人に対する根深い猜疑心 ほか)
    第3章 平和な時代の「マニュアル」―日露戦後~大正期(なぜロシアに勝てたのか 「捕虜になるくらいなら死ね」 ほか)
    第4章 どろ沼の戦争と「マニュアル」―日中・太平洋戦争期(なぜアメリカと戦争をしなければならないのか 戦争に勝つ見込みはどう説明されていたのか ほか)

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    [ 参考となる書評 ]

  • 本の帯にあった、「気持ちよくお国のために戦っていただくためのあの手この手の懐柔策」はちょっと違う気が…。

    日本人であるなら、こういう流れになってしまうのではなかろうか、と思った。

  • 出征時の挨拶、出征先からの手紙、軍隊生活の送り方など、兵士向けに書かれた「マニュアル」本を史料として通史的に読み解いていく、という内容。「マニュアル」本であるだけに史料の内容は陳腐だが、その陳腐な言葉を個々の兵士がいかに「自己のもの」として消化していったか、という視点から読み解かれています。「強圧的な権力に、イヤイヤながら従わされた純朴な国民」という一面的な見方ではなく、「マニュアル」の言説を自分の〈身体〉で消化しながら「納得」していった、というとらえ方は、ある意味でフーコー的権力?みたいなものを思わせます。もうちょっと長い感想文を書きたくなった本。(20070130)

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著者プロフィール

一ノ瀬 俊也(いちのせ・としや) 1971年福岡県生まれ。九州大学大学院比較社会文化研究科博士課程中途退学。専門は、日本近現代史。博士(比較社会文化)。現在埼玉大学教養学部教授。著書に、『近代日本の徴兵制と社会』(吉川弘文館、2004)、『銃後の社会史』(吉川弘文館、2005)、『皇軍兵士の日常生活』(講談社現代新書、2009)、『米軍が恐れた「卑怯な日本軍」』(文藝春秋、2012)、『日本軍と日本兵 米国報告書は語る』(講談社現代新書、2014)、『戦艦大和講義』(人文書院、2015)、『戦艦武蔵』(中公新書、2016)、『飛行機の戦争 1914-1945』(講談社現代新書、2017)など多数。

「2018年 『昭和戦争史講義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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