「言語技術」が日本のサッカーを変える (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334034269

感想・レビュー・書評

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  • サッカーだけでなく日本教育や会社の人材育成にも通ずる考えがつまっている。
    すべての教育のバイブルにしたい。

  • 昨日は、試合が久しぶりに休校日にあたったので、大分トリニータのホームゲームを観戦してきました。対戦相手は、コンサドーレ札幌。結果は0-1…。札幌の攻撃陣の質の高さが目立った試合でした。しかし、トリニータの選手にも、何人か光る選手がいました。中でも光っていたのは、背番号33番。オレンジのスパイクの選手です。
    それは、幸野志有人選手。後半途中から出場した彼のプレイは、18歳(高校3年生!)とは、思えないほど落ち着いていて、守備を攻撃をつなぐために常に最適のポジションを選択し、決定的な見事なパスを供給し、時には自ら敵陣深く切り込んでいました。彼のプレイは、そのすべてが考えられており、危機意識の低さ、相手のプレッシャーにあわてる動き、ただがむしゃらな無駄な動きはありません。よく首を振って、周囲の状況を常に把握し、チームメイトに対して、まず自分にボールを寄越せと要求する。そして、周囲の選手にもポジションを指示するなど、その高度な動きとリーダーシップは、世界水準を感じさせるものでした。彼は、この本の著者が創設した「JFAアカデミー福島」の1期生です。◆海外の選手に比べ、日本の選手は、自分で考え自分で決断することが苦手だとよく言われます。逆に、なぜ外国の選手たちは、重要な場面で、ベンチの監督を見なくとも自分だちで判断することができるのか。それは「言語技術」の違いにあると、JFAアカデミーのスクール・マスターである著者は力説します。そして、身体運動としての側面と「精神論」ばかりを重視してしまい、思考力や判断力、また、コミュニケーション能力を養成することが、日本のスポーツ教育に欠けているためだと言うのです。◆このことは、サッカーだけでなく、日本人全般に言えることです。知識偏重の「学力」ばかりを追い求め、現実社会が求める力、必要な力を養成することに未だ目覚めない、そういう教育が大半を占める中にあって、この本の示唆するところは大きいはずです。(K)

    紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2008年4月号掲載

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    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00248235

  • 著者は往年の日本代表FWであり、ユースの代表監督であり、JFAアカデミー福島の初代スクールマスターであり、現・日本サッカー協会の専務理事であり、要するに日本サッカーのエライ人なんですね。

    先日読んだオシム氏の本が“外から見た日本(サッカー)の問題点と課題”を鋭く指摘したものだとすれば、これは日本人が内から(と言ってもドイツへの留学体験が色濃く反映されているが)観た自己分析の書である。ただし、興味深いことに論点はほとんど一致している。例えば、自ら考え、決断し、伝達・説得する能力の不足である。

    著者は、指導する中で子どもたち(選手)の次のような姿を目撃する。

    待ちの姿勢。
    プレーに対する考えのなさ。
    生活面のだらしなさ。etc。

    そしてこれらは一人サッカーのみの問題ではなく、リーダーが不在である、判断力が不足している、社会的責任感が欠如している、といった日本の問題点とどこか通底しているのではないか、という。

    これらの要因のひとつとして著者が考えるのが、「言語技術」の不足である。

    もちろん、言葉のできる/できないが問題なのではなく、明解に言語化できるほど考え、論理化しているか、できるか、ということである。

    ある局面でどのような判断をするか、なぜそのプレーを選択するのか、どのように相手(チームメイトや教えている子どもたち)に伝えていくか…。
    子どもたちのみならず、指導者にも、その原因・理由・根拠などを明確に言語化し、伝達する能力が必要である、とする。

    JFAアカデミーでの実践例を交えつつ、そのことの重要性と解決へのステップを示したのがこの本である。

    学校サッカーやトーナメント戦など、日本のサッカーにとっての弊害に触れている点なども含めて、面白い本だった。

  • 「言語技術」に挑戦するJFAアカデミー福島◆実践!ことばを鍛えるトレーニング◆論理でパスするドイツ・サッカー―なぜいま「言語技術」か(1)◆世界との差は、判断力―なぜいま「言語技術」か(2)◆監督のことばが、選手を伸ばす◆論理プラス非論理―日本流サッカーの夢へ

    著者:田嶋幸三、1957熊本県出身、日本サッカー協会副会長、筑波大学卒

  • Vol.76
    監督の言葉が選手を伸ばす!?言葉を鍛えるトレーニング。
    http://www.shirayu.com/letter/2010/000147.html

  • 新書

  • サッカー

  • 「06ドイツW杯準決勝イタリアvsドイツでイタリアが1人退場になったとき,誰一人イタリアの選手はベンチを見なかった.」という報告から自己決定力の必要性を説いてた良書.JFAアカデミー福島での取り組みの紹介.意味あるプレーに自覚的に取り組むことが大事.ひとつひとつのプレーが失敗したか,成功したか自分で感じ,考え,判断させることが重要.意味あるプレーとは何か?サッカーに限った事じゃないけどね.

  • S783.47-コウ-325
    200024677

    著者は現在日本サッカー協会の会長で、本書執筆当時は専務理事という要職にありました。そもそも「スポーツの競技力向上」になぜ、「言語能力」が必要なのでしょうか。著者は、日本の子どもたちは、指導者に言われたことに従順に従うのみで、なぜそのプレーを行うのか、という問いに対し自分の考えを説明できない子どもが多い。そのことから、「子どもたちに足りないのは自己決定力で、その基盤となるのが論理力と言語力だ」と説き、「競技力向上」に「言語能力」の必要性を強調しています。折しも現行学習指導要領で「言語活動の充実」が求められています。ただ反復練習を繰り返し技能習得することだけでなく、スポーツにおける言語能力の大切さを考えさせる本です。

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著者プロフィール

田嶋幸三
日本サッカー協会(JFA)会長。1957年熊本県生まれ。筑波大在学中にサッカー日本代表に。卒業後、古河電工入社。83~86年ケルンスポーツ大学に留学し西ドイツサッカー指導者B級ライセンス取得。筑波大学大学院修士課程体育研究科修了。2001年U-17日本代表監督として世界大会出場。JFA技術委員会委員長として日本代表の強化、JFAアカデミー福島スクールマスターとして若年層の育成に取り組んできた。15年よりFIFA理事(カウンシルメンバー)。16年よりJFA会長。19~21年日本オリンピック委員会副会長。主著に『「言語技術」が日本のサッカーを変える』(光文社新書)。

「2022年 『批判覚悟のリーダーシップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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