もうダマされないための「科学」講義 (光文社新書)

制作 : 飯田 泰之  SYNODOS 
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334036447

感想・レビュー・書評

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  • ゼロリスクというのはある種の思考停止。

    反証不能なものは科学ではない。

    科学だけでは答えを出せずに、なんらかの価値判断を伴う分野が増えてくる。そのときにどうするか。

    意思決定プロセスに携わる人を増やしたからといって解決する問題ではない。

  • 日本神経科学学会が脳神話への声明を出していることは他の教育関係の本では引用は見かけない。成績が良い児童には朝食をとっている児童が多いことから、朝食を食べると成績が上がるという間違ったマスコミの例(家庭環境が関連すると想定されるのだが)が掲載されているので、学生に関連と因果を考えさせるいい材料になるであろう。また、宝くじが当たるために、神社に祈ったか祈らなかったで本当にご利益があったかを調べるために、疫学の考えとして、以下の4マスで確率を考えるとしている。これは、学生にとってとても役に立つ道具である。例えば、電子教科書を使わなくて、成績上がった学習者をがすぐ頭に思い浮かべることができるという利点がある。1、2章は役に立つであろう。

          効果あり 効果なし
    祈った (     ) (    )
    祈らない(     ) (    )

  • 良書だと思う。
    科学のあり方について、大学の研究者やライターなど様々な人が語っていて、新書ながら内容が非常に濃かった。

    科学というと、どうしても絶対正しいものだとか、必ず答えが用意されているものと思いがちだ。しかし、実際にはそうではなくて、不確実な面もあるということを忘れてはいけないだろう。そして、不確実な面もあるけれど、それをなるべく正しい答えを導き出そうとする、方法論についてはやはり信用に足るものだと思う。

    今回の震災で、科学の見方が大きく変わった。研究者も一般市民も科学の見方について、もう一度しっかりと科学について、理解する必要があるのではないだろうか?

  •  「科学」とはなにか?  科学哲学を柱として、ニセ科学、トンデモ科学を排除しようという啓蒙書である。
     興味深かったのは4つ。
     「疫学的思考」、「内容そのものではなく態度で判断する」、「トランスサイエンス的問題」、「よくあるデマのパターン」である。
    「疫学的思考」は検証の方法について書いてある。うんうん。
    「内容そのものではなく態度で判断する」は、科学が対象そのものや性質をさすのではなく、方法論であることを再確認できる。
    「トランスサイエンス的問題」は、昔、理科系の大学にいるとき、科学の限界を議論したときに「科学は価値観を考えることはできない」と言った友人のことを思いだした。
    「よくあるデマのパターン」は、なるほどの内容である。ふむふむ。

  • 戸田山和久さんの『「科学的思考」のレッスン』を読んだ直後に、本書を読んだ。
    世に出た順序としては逆行することになったけれど。
    どうしても戸田山本がこの本を読むときのガイドラインになってしまった感がある。
    本書で菊池誠さんは、リスク評価の難しさの指摘した上で、理屈を説明することが安心につながらないと言っている。理屈と気持ちの折り合いをつけることが大事だと。
    戸田山本では、この点について、「安心」も筋道を通して議論すべき対象とすべきだという立場をとっている。
    この点について、私は戸田山説に賛同したくなってしまうのだが、それはやはり先に読んでしまったため、なのだろうか。
    正直、今の自分は科学的思考力が十分とは言えない。
    EM菌の話は、ここで始めて知ったが・・・よそで初めて触れていたら、信じてしまったかもしれない(苦笑)。

  •  トンデモ科学,似非科学など,人をダマす「科学もどき」が後を絶ちません。その内容は,「誰が見てもウソだろう」と思うものから,ちょっと見では気づかない科学っぽい話まで身の回りには実にたくさんあります。「誰が見てもウソだろう」と思うのにさえ誰かが引っかかるのは,人の弱さにつけ込むからでしょう。
     福島原発の爆発事故によって放射能が飛び散りました。放射能は確かに危険だけれども,その危険性を必要以上に煽って,金儲けにつなげようとしている人もいます。本書でもそういう事例が何例も取り上げられています。ただ,こういう例は姿・形を変えて次から次へと出てくるに違いありません。一つ一つに対処している訳にはいかないのです。
     だからこそ私たち一般人は,「科学的に考える」とはどういうことかをしっかり学んでおかなければならないのでしょう。
     100の結果のうち自分の都合のいい結果を1つだけ取り上げて宣伝しても,それは事実であることは確かですが,報道されない「あとの99はどうだったか」をしっかり見ることのできる眼を持ちたいものです。
     本書で2度も取り上げられている「2×2(4分類法)」という疫学的な見方」はとても役に立ちます。これだけでも身につけておきたいです。

  • 震災後、さまざまに出された科学っぽいもの、科学のフリをした報道について、どのように考えるべきかを示す。思考停止にならず、だからといってなんでも拒絶せず、「正しく恐れる」ことを知らなければならない。

  • 正しい科学の情報と,正しくない科学の情報が,どのようにして社会に浸透していくのかを知ることから始めたいと思い。

  • 一般向けの話と、科学者向けの話が混在。大学の講義でやって欲しかった内容である。各章の執筆者を著作をfurther readingとしたい。付録がいちばん痛快であった。

  • 五人の人がそれぞれの切り口で科学とのつきあい方について述べた本。
    具体的な事例について辛辣に偽科学やらデマやらにツッコミを入れているので分かりやすく面白い。

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著者プロフィール

大阪大学サイバーメディセンター教授。1958年生まれ、青森県出身。東北大学大学院後期博士課程修了、理学博士。専門は物理学。ほかにSFとテルミンとプログレッシブ・ロック。著書に『信じぬ者は救われる』(かもがわ出版刊、香山リカと共著)、訳書に『ニックとグリマング』(ちくま書房刊、P.K.Dick)など。星座はレティクル座(どこにあるのか知らない)、血液型はZ型。座右の銘は「明日できることは今日するな」。

「2009年 『おかしな科学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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