- Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334036874
作品紹介・あらすじ
たとえばJR中央線と地下鉄東西線、東急線と地下鉄日比谷線、小田急線と地下鉄千代田線、阪急線と地下鉄堺筋線、近鉄線と地下鉄烏丸線…これらは相互に直通運転を行っており、いつもは何気なく乗っていて気がつかなくても、よく観察すると様相は複雑怪奇であるとともに、見事な連携プレーを披露している。実は相互直通の鉄道会社の間では、車両を貸し借りしていて、その使用料は清算しなければならなかったりする。本書では、そういった裏のカラクリを一挙公開。写真もふんだんに掲載し、読んで楽しい、電車に乗ってみたくなる一冊。
感想・レビュー・書評
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鉄道会社どうしの相互乗り入れは,全国で行われていますが,そのしくみが非常にややこしい,そのややこしさを事細かに書いている本。
地下鉄と校外の鉄道の相互乗り入れ,例えば東京近郊ではJR中央線と地下鉄東西線,小田急線と地下鉄千代田線,など,その線路や車両の貸し借りに,いろいろな約束ごとや規定があるのが実にややこしいです。
また,整備新幹線の開通により,第3セクターとなったIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道と,JR東日本の相互乗り入れなど,第3セクター化によって同語乗り入れになるケースも。
電車に乗っている人にとっては,なんとなくやり過ごしてしまうことでも,いろいろな規定や会社間のやり取りがあるのだと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鉄道の相互乗り入れの話。これだけのネタで本1冊書けるというのも凄いと思うのだが、乗り入れというのは単純なものではないということがよくわかる。
都内に住んでいると、乗り入れというのはいかにも当たり前に感じられるが、思えば幼少の頃に、時刻表を見ながら、国鉄の特急あまぎの行先が伊豆急下田になっていたり、小田急の特急あさぎりが御殿場線に登場するのを見て、どうやって他社の線路に入るのか不思議だったものである。
鉄道好きには面白い内容だと思うが、鉄オタのレベルの人には物足りないレベルかもしれない。また、普通の人には少し複雑で判りにくいかもしれない。 -
ほんとにややこしくて、ビビった。ふつうの人間には3割程度しか理解できなかった。鉄道会社の相互乗り入れは身近だからまだ頑張れたけど、乗務員交代や交代したあとどこに泊まるかとかいった部分は相当にマニアック。この辺多分1割程度も理解できてない。鉄道ファンの中でも、かなりニッチな分野をついてる。こんなことに熱くなれる人もいるのね……と、かえって新鮮だった。
それにしてもこれ、新書で出していいのか……? 単行本が相応な気が……。 -
この本は、本当のてっちゃんが、てっちゃんのために、相互運転、線路と駅の共同運用、乗員切り替えなど、複雑なことをおもしろがっている。
自分は、別のことが気になった。
(1)この複雑さの一つには、整備新幹線を無理して整備する反面でJRから切り離された第三セクターを維持するために生じたものが多い。これは、おもしろがる点というよりも、在来線を維持できないようなところに整備新幹線を整備することが、短期的には地元が喜んでも、本当に長期的に国家のために必要なことかどうか、という論点を表しているのではないか。
(2)上下分離方式も、すっかりなじんできたが、結局採算の合わない路線に税金を投入して維持するという仕組み。そういいながらも、少しずつ、上下分離の鉄道も維持できなくなるのではないか。少子高齢化、都市縮小の時代に、財政赤字の地方公共団体が維持可能な地域の足は何か、それは鉄道でなくてはいけないのか、という問題を先送りしただけのような気がする。
(3)この本には、記述はないが、国鉄改革で東海道新幹線という超ドル箱路線をもったJR東海が駅まで含めて自分で整備するといっているので誰も止められないリニア新幹線。国民の負担になった赤字のために国に黒字をかえすか、料金を下げるのが先ではないか。大規模な公共事業としてうかれている雰囲気だが、本当に国家のために必要なプロジェクトなのか。
複雑さをおもしろがるのもいいが、ほとんどが赤字路線の延命、税金の投入策、国鉄民営化からきているので、よんでいて、あまりおもしろがれなかった。
むしろ、不合理を隠して、無理矢理延命しているのであって、少しずつ、、無理している路線は消滅しているのではないか。 -
鉄道会社はややこしい
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鉄道
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[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
日々の生活で当たり前と思っていた相互直通運転がこのように複雑な仕組みの上に成り立っているとは思っていなかったので鉄道会社に頭が下がる思いだ。
それにしても電車は自動車と異なり、自分が走る場所を整備する必要があるためか競合している会社でもある程度の協力が発生しているのは読んでいて面白かった。
これからは電車にのったり、駅を歩いている時はこの本で読んだことを少し気にするだけでも毎日の生活が楽しくできそうだ。 -
鉄道マニアによる、鉄道会社の話。相互直通運転や駅の共同使用など、複数の鉄道会社に関わる事項について、実例を交えて紹介している。相互乗り入れには、それぞれの鉄道会社の思惑や事情があり、問題も多く、なかなか難しいことが理解できた。興味深い内容が多かった。
「地下鉄と郊外鉄道の相互直通は、日本ならではの特異な都市鉄道整備の手段・文化ということができよう。東京名物いろいろあれど、地下鉄の相互直通もその一派なりで、新幹線同様、世界にもっと誇っていいと思う」p29
「東武伊勢崎線内を東京メトロ車が走っているときは、東武は東京メトロから車両を借りていることになり、同様に、日比谷線内を東武車が走っているときは、東京メトロは東武から車両を借りていることになる。この概念が肝である。すなわち、相互直通運転では当該事業者間に車両使用料の債権・債務が発生するということ。当然、東武は東京メトロに車両使用料を支払い、東京メトロも東武にそれを支払わなければならない」p78
「今は見違えるような改善を見たものの、昔は地下鉄へ直通する私鉄電車の車内に地下鉄全体の路線図などは掲出されていなかったものである。まさに他人の関係で、国鉄の地下鉄東西線直通車両にいたっては、中央線東京~高尾間の路線図のみを掲げ、「特別快速」の停車駅などを地下鉄の乗客にご案内していた」p105
「有名なのが寝台特急「北斗星」の客車で、JR北海道車6両とJR東日本車6両を連結して12両編成を組んでいる」p148
「(整備新幹線)人の動きが大して多くないところに無理矢理、新幹線をこしらえるのだから、それができてしまえば、並行する在来線などひとたまりもない。きっと閑古鳥が泣いてお荷物となるだろう。へたをすれば、運営するJR旅客会社の経営をも圧迫しかねない。大赤字に転落し、JRが第二の国鉄と化す恐れすらある。そこで、政府・自民党はJR保護のために奇策を編み出した。なんと、整備新幹線の開業時に、並行在来線をJRの経営から切り離すというもの。当然、廃止も想定に入っていよう。しかるに、並行在来線は地域の通勤・通学輸送を担っており、それをすべて新幹線に代替させるのは困難だ。貨物輸送の問題もある。だから、簡単には廃止などできない。けれども、並行在来線のJRからの分離を地元が合意しなければ、整備新幹線は着工に至らない。結局、板挟み状態の地方公共団体は、自ら第三セクターを設立し、並行在来線を引き受けるしか道は残されていないのである」p195
「(八丁畷駅)京急の下り線ホームと上り線ホームを繋ぐ跨線橋が、JR線のホームを兼ねている」p209 -
やっと読み終えた、という義務達成感と疲労感だけが残った。複数の会社線に跨って列車を直通運転させる際の「ややこしさ」を、ややこしい文体で遠回りしながら上梓したとしか思えない。オタクの悪ふざけと言っては酷だが「浅草線一座」「他社線内でアルバイト」などの擬人化表現には抵抗を感じた。
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知らないこともたくさんあった。相互乗り入れについて、著者の見識が高いことはよく知ることが出来た。都営浅草線は京浜急行電鉄、都営浅草線、京成線、芝山鉄道、北総鉄道が乗り入れるおもしろい路線であることに触れつつ、それ以外のJRの境界駅、神戸高速鉄道、都営浅草線以外の東京の地下鉄を例示しながら論を進めていた。
内容については非常に豊富で含蓄に富み、とても勉強になった。しかし語法や文章の書き方について、違和感と幼稚さが垣間見えた。話し言葉がそのまま本になっている印象を受けた。これはあまりいただけないと思えた。