日本語は「空気」が決める 社会言語学入門 (光文社新書)

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  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334037468

感想・レビュー・書評

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  • 例文に古臭さを感じるという、この手の本にありがちなことはなくて、若者言葉の例文も新しい感じがするし、『トトロ』や『めぞん一刻』のシチュエーション例もあって好印象。一人称としての「こっち」や、女性が一人称として「自分」を使うことが最近増えてきているということは知らなかったので、世代差を感じた。

  • 社会言語学の入門となるようになるべく術語をたくさん入れたとのことで,聞いたことのない専門用語がけっこうあった。言語心理学とは違うんだろうなあと思いつつ,具体的にどう違うのかはこの本だけではやっぱりよくわからない。社会言語学の中に言語心理学(心理言語学?この違うもわかってないや)があるイメージ?
    やっぱりもう1冊くらいガチな専門書(といっても入門レベル)を読むのがよさそうかなあ。

  • チョムスキーはじめとする理論言語学が言語の普遍的な法則の解明しようとしていたのに対し、社会言語学が現実の物理現象を考察して法則を導き出す実験物理学と似たアプローチの学問であるとして、さまざまな事例をふんだんに紹介しながら、社会言語学初学者を導いてくれる良書。とても読みやすい。さすが社会言語学の先生だ。

  • 鈴木氏の著作よりは書き口がマイルドで読みやすい。一般的な疑問「なぜ・・・なの?」といったところから各章が展開していきその疑問が自分も抱いたことがある物だったりすると、より興味をひかれた。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2015年度第1回図書館企画展示
    「大学生に読んでほしい本」 第1弾!

    本学教員から本学学生の皆さんに「ぜひ学生時代に読んでほしい!」という図書の推薦に係る展示です。

    木下ひさし教授(教育学科)からのおすすめ図書を展示しました。
        
    開催期間:2015年4月8日(水) ~ 2015年6月13日(土)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

    ◎手軽に新書を読んでみよう
    1938年に岩波新書が創刊されたのが新書の始まりです。
    値段も分量も手ごろな新書は「軽く」見られがちなところもありますが、内容的に読み応えのあるものも多くあります。気に入った著者やテーマで探してみるとけっこう面白い本が見つかるものです。広い視野を持つために、興味や関心を広げるために新書の棚を眺めてみましょう。刊行中の新書を多様な角度から検索できるサイトもあります。(「新書マップ」)

    ◇新書で日本語を知ろう
    分かっているようで分からない日本語。まずは知ることですが、難しく考えず日本語の本を読んで親しんでみましょう。大切なのは気持ちですが、誤解を招かない表現もまた大切です。大学生として、社会人として知っておいて損がないのが日本語の知識です。

  • 『日本語は「空気」が決める――社会言語学入門 』(光文社新書 2013年)

    【版元】
    http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334037468

    【メモ】
    ・下記目次では、「節」に勝手に番号を振りました。(2014.08)
    ・下記(手打ちの)目次にミスが幾つかあったので、訂正しました。(2018.12.18)


    【目次】
    はじめに 003
    0-1. 「空気」の支配力
    0-2. 言葉選びの科学
    0-3. 文法は(もちろん)おもしろい
    0-4. 理論言語学と社会言語学――標本か、
    観察か
    0-5. 社会言語学はもっとおもしろい――しんちゃんが母を「みさえ」と呼ぶ理由

    目次 [018-026]

    第一章 社会言語学とは何か 027
    【問い】「留守番電話での名乗りが苦手です。どうしたらよいですか?」 
    1-1. 言語共同体とアイデンティティ 
    1-2. バリエーションとコード 
    1-3. 言葉の種類――五つの視点 
    1-4. 言葉の選択――肉まんか、豚まんか 
    1-5. 言葉の変化――出会いと政治 
    【第一章のまとめ】 045

    第二章 地域に根ざした言葉 047
    【問い】「方言がうらやましがられたり、馬鹿にされたりするのは何故ですか?」 
    2-1. 地域方言と社会方言 
    2-2. 標準語と共通語 
    2-3. 俗語と標準語 
    2-4. 方言の否定――「方言札」 
    2-5. 方言の誇り――アイデンティティに根ざした言葉をあえて選ぶ 
    2-6. 隠れた方言――「あとで」「えらい」「ばんそうこう」…… 
    【第二章のまとめ】 071

    第三章 話し手に根ざした言葉 073
    【問い】「言葉遣いを変えたら、自分のイメージも変えられますか?」 
    3-1. 言葉とジェンダー
    3-2. 言葉と世代――①幼児語 
    3-3. 言葉と世代――②若者語 
    3-4. 言葉と世代――③老人語 
    3-5. 中年語がないのはなぜか 
    3-6. 言葉と社会階層 
    3-7. 役割語と「らしさ」――サツキとカンタの会話が示すもの 
    【第三章のまとめ】 100

    第四章 聞き手に合った言葉 101
    【問い】「人によって話し方の丁寧さを変えるのは、不公平ではないですか?」
    4-1. 親疎関係――聞き手との距離を取ったり縮めたりする
    4-2. アコモデーション理論――親しさを示すために同調する
    4-3. 上下関係――尊敬語、謙譲語、呼称
    4-4. 敬語とポライトネス理論――心理的な距離の取り方が難しい
    【第四章のまとめ】 115

    第五章 状況に合った言葉 117
    【問い】「質問が上から目線、といわれてしまいました。なぜですか?」 
    5-1. 場と場面――不思議なオトナ語、飲み会のくだけた言葉 
    5-2. 話題――事務的か、心情的か 
    5-3. 機能――役割を果たすために、言葉を尽くす
    5-4. 文末文体の切り替え 
    【第五章のまとめ】 132

    第六章 伝達方法に合った言葉 133
    【問い】「レポートではなぜ、ふだんの日本語を使っちゃだめなんですか?」 
    6-1. 談話共同体とジャンル――空気と暗黙のルールがある 
    6-2. 話し言葉と書き言葉 
    6-3. 話し言葉と書き言葉の境界線 
    【第六章のまとめ】 148

    第七章 日本語の人称表現 149
    【問い】「なぜジャイアンは『おれ』で、スネ夫は『ぼく』なのですか?」 
    7-1. 日本語の人称表現の特徴 
    7-2. 人称表現の種類が多い 
    7-3. 一人あたりの人称表現の種類は多くない 
    7-4. 話し手のアイデンティティに根ざす 
    7-5. 話し手のキャラ立て 
    7-6. 聞き手や状況に合わせる 
    7-7. ニ人称表現は失礼か 
    7-8. 時代とともに変わる一人称――「うち」「こっち」「自分」 
    7-9. 親族名称の体系と変化――家族のルールも変わってきた 
    【第七章のまとめ】 181

    第八章 言葉と言語 183
    【問い】「世界には数千もの言語があるというのは、本当ですか?」 
    8-1. 言語と方言の境界線――どこで線を引くかは極めて困難 
    8-2. ダイグロシア――異なる機能の言語を使いこなす 
    8-3. バイリンガリズムとマルチリンガリズム 
    8-4. バイリンガルもいろいろ――第一言語の重要性 
    8-5. イマージョン・プログラムとサブマージョン・プログラム 
    8-6. コード・スイッチングとコード・ミキシング――意図的か、無意識か 
    【第八章のまとめ】 200

    第九章 言葉と文化 203
    【問い】「外国語を学ぶと、発想が豊かになるというのは本当ですか?」
    9-1. 言語決定論と言語相対論――言葉が思考、認識を規定するのか?
    9-2. 言葉によって変わる言語特徴――男女、単複、有生・無生
    9-3. 政治的公正性
    9-4. 言葉によって変わる談話構造
    【第九章のまとめ】 220

    第十章 言葉の変化 221
    【問い】「『ありうる』と『ありえる』は、どちらが正しいですか?」 
    10-01. 変化の進行――言語学者は「言葉の乱れ」とは見ない 
    10-02. 敬意逓減の法則――「きさま」「おまえ」もかつては敬語だった 
    10-03. 変化の理由 
    10-04. 世代と変化 
    10-05. 時代と変化――「夜ご飯」「食感」「体幹」の出現 
    10-06. 地理と変化――年速一キロメートルで進む
    10-07. 言語の接触――ピジンやクレオールの誕生
    10-08. 言語の死――二五〇〇の言語が危機にある 
    10-09. 言語の再生――言葉は一人では残せない 
    【第十章のまとめ】 252

    第十一章 言葉と政治 253
    【問い】「日本で日本語を使うことは、法律で決まってないんですか?」 
    11-01. 国語と公用語 
    11-02. 言語設計と言語政策――公用語の決定には入念な準備がいる 
    11-03. 日本の近代化と公用語の選定――東京の「山の手言葉」を選定 
    11-04. 世界最強の言語、英語の君臨 
    11-05. 日本の言語政策――英語の公用語化をめぐって 
    11-06. 多言語主義と複言語主義――豊かさは多様性のなかに 
    11-07. ヨーロッパ言語共通参照枠――言語のステップアップを実感できるしかけ 
    11-08. コミュニケーション能力――文章は「ふさわしさ」で決まる 
    【第十一章のまとめ】 274

    おわりに [275-277]
    参考文献 [278-284]
    索引 [285-293]

  • 「はじめに」のところで、日本語ネィティブに向けて書かれる本は「正しさ」より「ふさわしさ」の問題であるべきだ、と書かれている。例えばクレヨンしんちゃんが母親のことを「みさえ」と呼ぶのは「正しい」けど「ふさわしい」か?など。なるほど、と思って読み始めたけど、副題が示すようにこの本は「社会言語学入門」で、社会言語学というのはかなり広い範囲をカバーしているようなのでどうしても網羅的になり、タイトルから期待したような内容が深められている、という感じではなかった。

    いくつかおもしろいと思ったことを書き留めておく。
    *ポライトネスは日本語の「丁寧」と似た意味を持った言葉だが、「友好性」という意味が含まれている点が違う。ポジティブポライトネスは相手との距離を縮め、相手に親愛の情を伝えようと努める。一方、ネガティブポライトネスは相手との距離を取り、相手を尊重するという態度である。行き過ぎたポジティブポライトネスはなれなれしく映り、行き過ぎたネガティブポライトネスはよそよそしく映る。適度な距離はその人の性格により、また状況によって異なる。(p.111-113) … 確かに。
    *「あなた」という表現がなぜ失礼と感じられることがあるのかという説明にも納得。(p.169-172)
    *ツッコミの機会は逃さず、かならずツッコむ。それが大阪弁の会話のお約束。(p.218) … うん、これはニフティの英会話フォーラムで話題になったことがあったなぁ。「大阪ではボケとツッコミができひんかったら生きていかれへん」と。
    *「言語の喪失」の可能性について(p.248)。 …日本ではアイヌ語を始めいくつかの言語が消滅の危機にさらされているとユネスコにより指定されているとのこと。しかし日本政府、世論などはそれに無関心であることが指摘されている(p.249)。… 著者の言っておられることはもっともだと思うけど、現実の生活で使用頻度の少ない言語を維持していくのはやはりとても大変なことだとは思う…

  • 自分の話す言葉が自分の感覚とイコールの関係になっているか自信がなかったので、手に取った。
    まるで授業終わりのような読後感覚。
    社会言語学という学問についての入門書。

    <はじめに>のなかで、言葉選びには「正しさ」のほかに「ふさわしさ」という基準もある、と書かれていて信頼できる本だなと感じた。
    いまだにアイデンティティが確立できてないのかもなー。

  • 社会言語学は、言葉選びの科学、と一言で言ってのける明快さが魅力。
    社会言語学という、おそろしくその扱う領域が広い学問が、何となく一冊で概観できるような気になる。
    最近話題の方言コスプレの話や、方言漢字、バイリンガル教育、危機言語のことまで、本当に幅広い。

    社会言語学は、まだ日本では緒に着いたばかりの学問領域なのだとか。
    この先、どのように進展していくのだろうか。

  • サブタイトルにあるように学問の入門書。非常に読み易く学問に大変関心を感じる。なぜ言葉づかいが場面により変わるのか。敬語だけではなく、環境(社会)との関係、相手との親疎、距離感により言葉が変わるとは毎日のように感じること。それをポライトネス理論というという解き明しは痛快!。「俺、僕、わたし・・・」などの一人称の使い分けなどをドラえもんの登場人物のキャラから説明するのが楽しい。若者語の特徴①断定を避けるぼかし表現が多い、②強調する程度副詞の発達、③気持ちを伝える形容詞の多用、④テンポを速める略語が多い、⑤共感を持って相手の話を受け止める表現の豊富さなどの解説は確かに!と納得。「言葉選びの科学」という表現、その場「空気」に合わせた適切な言葉選びのセンスを磨く!というお奨めはぴったり。

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著者プロフィール

横浜市出身。1993年一橋大学社会学部卒業。1999年早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。国立国語研究所教授。一橋大学大学院言語社会研究科連携教授。著書に、『「接続詞」の技術』(実務教育出版)、『段落論』(光文社新書)、『よくわかる文章表現の技術』Ⅰ~Ⅴ(明治書院)など多数。明治書院教科書編集委員。

「2021年 『よくわかる文章表現の技術 Ⅳ 発想編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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