- Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334037598
感想・レビュー・書評
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日本の抗生物質は「効かなくてもいいから副作用だけは起こすな」という考えで少量でバンバン処方して、バンバン耐性菌を作っている。
かぜと抗生物質が必要な肺炎などの境目はグレーで、グレーであれば「待てる状態」なので、抗生物質は処方しない。
抗生物質は命にかかわる感染症に、点滴で大量投与する大事な切り札。少量投与は耐性菌を生み出し切り札を使えなくしている。
歯科・皮膚科で出る抗生物質の多くも誤用。
とびひは抗生物質を処方しなくても殆どが治る。
各専門医は感染症をやっつけ仕事で対応されているが、感染症のプロに任せた方がいい。楽。
検査・薬を足していく「足し算の医療」から卒業すべし。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
99.9%が誤用というのはまあ、ちょっと大げさかな、と。最近の若いドクターは結構勉強しているというか、若干画一的だけど原理原則に従った投与をしていると思う。ただ、小さな病院やクリニックが多い日本の医療では「念のため」医療はなかなかなくならないのでは。国産の良質なエビデンスが望まれます。
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専門的でない人に向けた、感染症治療に対する啓蒙書。
・風邪に抗生剤はいらない。
まさにこれですね。多剤耐性の菌に、免疫グロブリンを使うと抗生剤のMICは下がるし、臨床でも確かめられてるいるので、悲観はしてないですが。 -
オススメしない。抗生物質を濫用する医学界はダメだ、、という筆者の愚痴から一般読者が得るものは少ない。タイトル通り、抗生物質に関する知識を期待したが、それに関しての文量は少ないと感じた。
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抗生物質4つのリスク
①副作用②耐性菌発生③費用④ロジスティック
とりあえず風邪に抗生物質はやめよう。
下痢は思う以上に危険
風邪、気管支炎、肺炎、厳密に区別出来ない。
日本では経口の第三世代のセファロスポリンがよく使われている。貴重な切り札を、効果のない経口で使用するのはやめにしてほしい。
ポリファーマシー多薬剤処方をやめよう -
読みやすかった
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抗生物質を考えるの巻。
医者という仕事は「医療行為の判断に足るおおざっぱな構造定義をしつつ、個別の病状の経緯を観察していく」という内容が印象的だった。
ひとつとして同じ病気はない、
ただし医療行為をするには大雑把なまとめをしたうえで、細かく病状をウォッチし見直しをはかっていくと。
言われてみればそのとおりだけど、そういう見方はしたことなかった。
各論としては、かぜに抗生物質は不要(そうだよね)、副鼻腔炎に抗生物質は不要(そうなの?驚)あたりはメモメモ。
また、基礎医学(理論)と現場医療(実践)をつなぐ臨床医学(理論と実践の橋渡し)が軽んじられている現状、
本来わびさびなど引き算の文化をもつ日本ではこと足し算の医療で必要以上の薬を処方している、という記述が興味深かった◎ -
リスクと利益を秤にかける思考・判断は、他人に丸投げする楽な生き方よりも疲れるが、それを出来るのが大人。
この本に学会の偉いさんが圧力をかけるのであれば、それはやはり、利権か、メンツか、あるいはその両方が関係していると勘ぐらざるを得ない。作者の他書と比べてやや舌鋒は鋭いし細かな用語や数値についてはわからないが、誤りがあれば蓋をするのではなく、指摘して議論するべきだろう。 -
かなり面白かった。
個人的に抗生物質の耐性は患者として気にしているが、医者が気にしていない理由が分かった気がする。
感染症の専門家が少なく、CRPを大事にするとか、もう完全に日常のトレースの様。
この抗生物質は予防なのかと、非常に納得出来た。
ただ、日本の医療のレベルの低さは患者と医者のせいとあるが、厚労省の責任も大きい。
低賃金の医療関係者は景気が良くなると貧困層の仲間入りレベル。
勝手に世間に合わせられる公務員とは違う。 -
抗生物質に関する書。
医療における抗生物質使用の現状と、あるべき姿について、歯に衣を着せぬ(そしてかなりコミカルな)語り口で説明しておられて、楽しく学ぶことができた。
理学療法士の僕としては、薬剤に関わる知識に乏しくこんがらがるところと、理解の足りないところが多かったのだけども、かなり柔らかい説明だったと思う。
著者の哲学における造詣も深く、勉強になった。
書中に多数ある引用については、それぞれモトとなった論文や情報を文章中に掲載しておられるので、嬉しい。
著者は島根県出身(島根医科大学卒業)と言うことで、島根の病院に勤める僕としては、勝手に親近感を抱くことができた。
抗生物質(だけ)に留まらず、医療のあるべき姿について熱く語っておられて、刺激を受けた。
もっと勉強したいとおもって、この方の本を検索したら、かなりの量だったのでビックリした。
でも、楽しそうなので、また読んでみたいと思う。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
抗生物質は多くの国で間違った使い方をされているが、日本においてその間違い方は顕著であり、ほとんどが誤用である。必要のない症状に漫然と処方されているために、耐性菌が増え、抗生物質を治療の切り札とする、命を奪う肺炎や、急性喉頭蓋炎、髄膜炎などの感染症治療の際に使用できず、患者(子どもを含む)が亡くなるようなことも起きている。また心臓への副作用などリスクも報告されているが、知らない医者・患者も多い。「よくなってほしい」「誤診が怖い」と、つい足し算の医療をしてしまう医師、そして医師まかせにして病院ブランドや薬にしがみつく患者の双方の態度に警鐘を鳴らしつつ、「微妙な状態をビクビクしながら待ち、時間を活用しながら薬が必要かを判断する」という、臨床医学のよりリッチな世界観へと読者を導く。医者と患者と薬、その関係を問い直す一冊。
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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
岩田/健太郎
1971年島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。1997年島根医科大学(現・島根大学)卒業。沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科などで研修後、中国で医師として働く。NYで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時の臨床を経験。2004年帰国し、亀田総合病院(千葉県)に勤務。感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任し、現職
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【目次】
はじめに
第1章 かぜに抗生物質は必要ない
第2章 21世紀の感染症の世界
第3章 「診断」という知的営為――臨床医、リッチな世界観を持つべし
第4章 臨床をなめんなよ――現場の医療レベルが上がらない、その理由
第5章 経口三世代セファロスポリンは、99・9%が誤用
第6章 日本感染症界の「黒歴史」
第7章 もっと「感染症のプロ」を――日本の感染症専門医、その信頼性について
最終章 さらば、「足し算」の医療――ポリファーマシー(多薬剤処方)の問題
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