残念な教員 学校教育の失敗学 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334038441

感想・レビュー・書評

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  • 著者が見聞きした「残念な教員」をこき下ろし、自身の教育実践の素晴らしさを説いた本、とでも言おうか。内容自体は頷けるところも多々存在はする。「私は、プロフェッショナルとして生徒の成長という『結果』を重んじるスタンスで教育活動を行っている(p15)」というそのスタンスは素晴らしいと思うし、生徒のことを第一に考えようとしている点も(全面的には賛同できないが)まぁ良い。
    ただ、この著者の自己陶酔っぷりに辟易としてしまうのもまた事実。自分は素晴らしい、(この本で例に挙がっているような)教師はクズだ、というような書きぶりにはすこぶる違和感が残る。国語教師たるもの、こういう他人をこき下ろす文章を書けばたとえ良い内容だったとしてもなかなか心に響いてこないものだとは分からないものなのかな、と。まぁこの本の意図かもしれないが。
    以外、本書の中で納得いかなかった点をいくつか。まずクラス全員の前で生徒を叱るという事例は納得できない(p219)。ストレス耐性を測るという名目のもとらしいが、そのような"実験的な"目的で叱ることに意味があるとも思えない。指導の目的は叱ること自体ではない。生徒の反省を促すことである。それは生徒の自尊心を傷つけるような形でなくても可能であるはずだ。
    また「『先生には全て見透かされているような気がする』と言われた」という記述が何箇所かあったが(例えばp220)、自分ならそのような教師は気持ちが悪いと感じると思う。教師に生徒理解が必要なのは言うまでもないが、すべて見透かされていると思ったらバカでもない限り本心を隠そうとするだろう。人にすべての心理を知られるのは怖い。分かっていても「自分はすべて知っている」という態度を全面的に出すというのも疑問だ。何事も適度が大事。
    そもそも自分は「熱すぎる教師」というものが苦手だ。それは小学校の頃の教師が関係していると思う(熱すぎる教師はたいてい暴走する)。だからこの著書のような熱い人が自分の先生だったら好きになれたかどうかというのも甚だ疑問。それに自身の経歴に大変な自信を持っておられるのだなぁと。この人自身、周りから彼の欠点を指摘された時にちゃんと聞く耳を持つのかな?きっと持たないんだろうな。自分を正当化しちゃったりするんだろうな。
    とはいえ、著書の「生徒のために」という頑張りには敬意を示したい。ただ生徒の言葉だけを真に受けるのもいかがかと思うが。
    最後に。中国語に「給人一杯水自己要有一桶水」という言葉がある。他人に一杯の水を与えるには自分にはバケツ一杯の水が必要だと。教師たるもの、知識を人に伝え教えるためにはその内容の何倍もの知識が必要であるものであることを肝に銘じ、日々勉学に励む必要があると思う。これは自分自身の決意です。

  • 現場にいる方だけあって、かなり的確な指摘と助言が含まれている。

  • あーいるいる。と思わせられる先生が多数(自分も含めて)。
    「残念な教員」がたくさんいることも事実であるが、「残念な教員」が「すばらしい教員」になるには、どうすればよいか、もう少し考えられるとよいと思った。

  • 読みながら浮かんだ顔が数名…

  • モンペが読んだら怖いなと思う本です。というより保護者への機嫌取りが満載。この著者の方法を実践したら、教員は過労死します。自慢話か、理想論か、わかりません。書いてあることを手抜きせず、全部実践するのは、時間的・空間的・経済的にあり得ません。
    『残念な教員』にはつい腹が立ってしまいました。
    遂にこういう保護者へのごますり教員が出たかと思いました。
    まあ昔からいるし、私の勤務していた大学もその傾向でした。

    自己撞着を突くと限りないのですが、
    自分の授業・講義のビデオを毎回見て、
    多くの作文の添削。
    これだけやるだけでどれくらい時間がかかるか。
    作文・レポートの添削は私も速い方なのですが、
    まずは物理的にあり得ない。
    教員を潰す気かと思ってしまいます。

  • 衝撃的な内容だった。「残念な教員」が、”普通”に働ける教育現場の実態が浮き彫りにされているからだ。指導技術もさることながら、教育現場で働くということに対する根本的な認識を考えさなければならないのでは…と。
    しかしながら、ここに書かれていることは、何も教育現場に限ったことではなく、多くの現場で活かせる示唆を含んでいると思う。
    筆者の的確な分析と辛辣な意見だけでなく、”成長した”教員の具体例が載っているのもいい。心を打たれると同時に、改めて本業の技術が確実に伸びる必要条件は”素直さ”なのだと痛感させられた。学び多き一冊だ。
    折にふれて読み返し、自己をチェックしていきたいと思う。

  • <目次>
    第1章  教育現場の実状
    第2章  教師の技術
    第3章  教育現場における「評価」
    第4章  教員の成長
    第5章  授業について
    第6章  教員が技術を身に付ける順序
    第7章  身に付けてほしい3つの力

    <内容>
    なかなか痛い本。って内容がおかしい、のではなく、教育業界に対し、正鵠を射ているな、という意味。教育業界内にいて、うすうす感じている問題点をしっかりと分析している。
    また、技術論以降は若い教師に読ませて、勉強させたい(著者も言う通り、役に立たない中高年教師は勉強しないし、仮に読んでも改善されることはない、悲しいけど…)。
    中学、高校の教員にとって、本職である授業にしっかり取り組むためには、やはり部活動は邪魔なんだよね…。

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