1985年の無条件降伏 プラザ合意とバブル (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334043339

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  • 日本経済が絶頂期に向かっていた中で起こった「日航ジャンボ機墜落」の1985年は、その他にもグリコ・森永事件、つくば博開催、そして阪神が初の日本一など大きなニュースが飛び交った1年だった。読売新聞ニューヨーク特派員として当時の日米経済関係を担当した著者が特筆するのは1ドル=240円という「行き過ぎた円安」を是正するために日本が受け入れた「プラザ合意」という名の無条件降伏である。本書はその経緯を紐解き、さらにその直後に起こったバブル経済と「失われた20年」という日本経済の興亡を辿って行く。

  • 良くまとめられた内容です。
    出版された2018年からその後を2024年に振り返ると、著者が取り上げなかった部分、内需がその後も国民の“大多数”には好影響とはならず、円安による既存大企業による「好景気」が株価に反映して、株を買って収入を得る「不労所得」層や大企業中心の正規雇用層などへの限定した所得拡大だけが行なわれ階層格差の顕著化が進みました。
    この部分を経済の主流と見て論じるのか、アベノミクス第三の矢を既存企業が放つ事ができずに一部階層だけへの所得配分だけで済ませて、構造改革などされていないではないかと、埋もれている多数の国民層への大企業中心ではない内需拡大政策を望むのかで話は違ってくるのですが、著者はあくまでも既存大企業“復活”論調で終わっているのが残念ですね。
    アベノミクスってゆとり教育と似ているなと思うのは、一部アッパークラスを念頭に置いた場合に効果があったと言えるんだけど、それ以外の階層では実質放置されてしまったと言える部分です。でも実はその放置された部分をいかに活かすかが国民の幸福度を高める事につながるのだと思うのですが、そういう「転換」には話は行かないようです。

  • 消費増税を皮切りに現代経済を調べて行く中で見つけた一冊。30年前のプラザ合意からの円高、ブラックマンデーを発端とした日本国内の金融緩和からバブルが起きたと言う流れが細かく書いてある。国際協調に対する日本と先進諸国との認識違いから煮湯を飲まされた日本人としてのお人好し性格も相まって、プラザ合意は結果無条件降伏となってしまった。アベノミクスによってボロボロになっていた日本経済は何とか取り戻したが、円高で工場を海外に移し空洞化した日本経済、個人消費は簡単には戻らないと言うのもなるほどと感じた。長いデフレにより、明日は今日より良くなると言う思いを国民が持てないことが1番の問題であると最後にあったが、30代の自分としては生まれてからデフレしか見ていないので、平成世代は好景気を想像することが難しかったりするとも思う。反面これからどうなって行くのかが楽しみとも言える。

  • 東2法経図・開架 B1/10/927/K

  • 日本と日本人が失ってしまった一番大きなものは、「明日は今日よりいい」という素朴な思い

  • バブル発生とその原因は一体何だったのか。

    経済学上のからくりとか、そういうことではなく、
    発端とされる“プラザ合意”から時系列的に今日に至るまで、
    何が生じてきているのかが、とてもわかりやすくまとめられている。

    もっとも、“無条件降伏”というのは、違うようにも思えるし、
    それを書名に付すだけでミスリードしているようにも思えなくないが・・・

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