- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334043513
感想・レビュー・書評
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日本社会の分断について、学歴、性別、年齢を軸にあぶりだす。接しないカテゴリーの人の存在に気づかされる。
同時に、子供を育てやすくという政策に、例えば大卒若年カップルの一人目と非大卒カップルの3人目、どちらを優先すべきか、はっきり別の狙いとして分けるべきとの指摘、もっとも頷く。
政治参画、文化参画しない、若年非大卒男子の利益を抑圧する仕組みになっていなるとの指摘も思い当たる。
社会の中で果たす役割に合った利益を得られていないカテゴリーのグループを考えると、それが分断なのだと理解できる。
考えるきっかけに。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
これは実感が伴う納得でした。どこの大学を出たかという差別は、学歴差別ではなく、「学校歴」差別という指摘、そもそも大学を目指さない若者が一定数いるのだという現実、非大卒男性の幸福度、自己肯定感が非常に低いという問題、アメリカのラストベルトさながらのマジョリティだけど決して優遇されていない層が日本にも存在しているのだということなどなど、学ぶことが多かった。
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日本の労働人口を性別、年齢、大卒・非大卒で8つに分けると、人口規模がだいたい等しい8つのグループができる。これを、幸福感、将来への展望などのアンケート結果に基づいて分析すると、若年非大卒のグループ、それも若年非大卒男性のグループが特異に将来性の乏しい状況に押し込められているという現状認識。しかも、大卒・非大卒は世代間で継承されるという傾向があるし、大卒より被大卒の方が子供が多い傾向がある。すなわち、このグループは、これからも、日本の人口の大きな部分を占めることになる。なので、このグループを切り捨てることはできず、このグループの幸福感を高め、非大卒男女が経済活動に積極的に参加してくれるような政策を取っていく必要がある、という内容。
現状認識は正しいが、そんな政策は、難しいよね。国際競争を考えると、高度知的労働人口に富が集中するのは、不可避だと思う。 -
●流動性が高まった格差世界で、不平等が固定化していく、と言う一見矛盾しているように聞こえるプロセス。現代の日本社会では、固定的な人生の「受け皿」の収容力の違いが大きくなっており、流動性を高めた人生の要素が、そこに次から次へと振り分けられる。個人の人生に、克服しがたい不均等が生じるのはそのためなのだ。
● 20世紀近代と言うのは、日本で言えば、戦後復興から高度経済成長を経てバブル経済まで。新しいメンバーはこの20世紀を知らない。
●昭和育つと平成育ち。昭和40年代以前の生まれと昭和50年代以降の生まれと言う区別は、団塊ジュニア以上の世代とその下の世代を切り分ける切れ目。
●宮台真司。「終わりなき日常」と戯れた若者たち。古市。右肩上がりの近代を知らない「幸福な若者たち」
●今から40年前、高校は全員が入る。その後大学進学率は50%台と言うところで一段落。
●現代日本は、大学に進学するかしないかの選択が、その後の人生を分断していく社会なのであり、それが世代を超えて繰り返され始めている。
●学歴と言うものが、変更することができない上に無視することもできない、日本人にとって重要なアイデンティティーになっているから。
●学校教育は、平等なルールの自由競争に基づいて人材に序列をつけて、社会に効率よく配分する「格差生成措置」なのです。
●スポンジケーキの上にミルフィーユが載っているようなイメージ。下半分にはほぼ均質な非大卒層がいて、その上に薄いパイ生地が幾重にもなったように、入試偏差値では切りにされた大学の学校歴が乗ったような形状になっている。
●地域のコミュニティーを支えている主力は非大卒層です。地方残っているレッグスたちは日本社会で最も必要とされる役割を担ってくれると言う意味で、現代の金の卵。 -
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大卒・非大卒、年齢できれいに区切れるところが怖いと感じた。自身の視点は各自「偏り」があることに注意したい。
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府大生のみなさん、高卒の友人と近頃遊びましたか? 本書は、現代日本における学歴による社会の分断を、データを通して明らかにしている。突っ込みどころもいろいろと多いけれど、現代日本の一断面を、鮮やかに示している。
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日本社会の実態が大学進学と居住場所でここまで説明されるとは思わなかった。
これまで私は日本における大学進学は本人の能力・意思・家庭状況によって決定されているという認識に留まっていた。しかし本書を読むと社会のあり方がかなりの程度影響しているということが分かる。
こうした大規模な社会調査データから導かれる事実に基づいた政策を期待したい。