日本サッカー辛航紀 愛と憎しみの100年史 (光文社新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (358ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334043520

感想・レビュー・書評

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  • 副題の「愛と憎しみの100年史」が示している通り、本書は、日本サッカーの通史を語った本だ。
    オールド・ファンなら知っているが、日本サッカーは1968年のメキシコオリンピックで銅メダルを獲得し、一時的なピークを迎える。しかし、そこから長い低迷の時期を過ごすことになる。オリンピックやW杯などの国際舞台に出場することがかなわず(要するに予選を勝ち抜けないほど弱かったということ)、国内のリーグ戦は人気がなく(当時の日本リーグは、時に観客数が3桁であった)、弱いから関心をもたれず、関心をもたれないから代表の強化も進まずという悪循環に陥っていた。
    そういった状況を変えたのがJリーグの発足だった。Jリーグのスタートは、1993年。日本はバブルがはじけていたのだが、国民はバブルがはじけていることにまだ気がつかず、バブル気分を引きずったまま、新しいコンテンツに熱狂した。Jリーグ、特にヴェルディのチケットはプラチナチケットであり、サッカーは急に国民的な人気スポーツになった。そして、それと同時に代表チームの強化も進む。1994年のアメリカW杯予選は、惜しくも「ドーハの悲劇」により敗れたが、1998年のフランスW杯予選を勝ち抜き、日本はW杯に初出場する。以降、2002年の自国開催を含めて、昨年のカタールでのW杯まで全ての大会に出場している。今では参加するだけでは国民の納得を得ることは出来ず、予選リーグを勝ち抜き、決勝トーナメントで良い試合をすること(2018年のベルギー戦、2022年のクロアチア戦のレベル)が、国民の納得の判断基準となっている。オリンピックの方も、1996年のアトランタオリンピックに28年ぶりに出場、以降の大会は必ず出場資格を得ている。
    私は、1971年に中学校の部活でサッカーをはじめ、以降、40代後半でシニアチームを引退するまで、断続的にプレイを続けていたこともあり、サッカーにはずっと関心を持っていた。そのようなオールド・ファンからすれば、昨年のW杯で日本代表がドイツ代表ばかりではなくスペイン代表にも勝ってしまい、クロアチアとも引き分ける(PK負けは引き分けとカウントするのが通例)ようなことが起きるとは隔世の感がある出来事だ(コスタリカに負けるところは"らしい"とも思うが)。
    本書で筆者は、特に日本サッカー協会に対して批判的なスタンスで歴史を記述している。筆者はジャーナリストであり、間近で日本サッカーを見て来られた人なので、そういう負の側面もよく見えるのだろう。そういう「内幕」を知らない私などからすれば、日本サッカーの歴史は否定すべきものではない。

  • 日本サッカーの歴史を紐解くタイトルの100年史に偽りのないものですね。Jリーグ前、そしてそのバブル。その後の日本代表が世界の舞台に出ていく中でのオモテウラ。批評的な文書を定期的に世に送り出してきた著者の愛と憎しみのってのもまさにそのとおりで、そんなコト言わないでよって思っちゃう記述もチラホラ。「得失点差を意識していない知力を疑うシーン」ってそりゃそうですけど。とは言え、そのサッカーへの愛も十二分に感じられる圧巻のボリュームです。こういう歴史の一面も知っておくべきである。

  • サッカーファンでない人が読んだらホシひとつでしょうか?
    試合のデータや事件の記録やらの客観的な記述に古今の名著?を引用する大仰な台詞回しが絡み合う文章について行くのはかなりの難行苦行。
    本人が創設したらしいサッカー本大賞ではどう評価される?

  • 回りくどいクセのある言い回しで、日本サッカーの変遷を辿る。体系的にサッカー史を網羅するというよりは、その時その人に対し、自分がどう感じてきたかが書かれているエッセイ、もしくは繰り言に近い印象。スポーツの記録に愛と憎しみを主題にしても仕方がない。

  • 東2法経図・6F開架 B1/10/946/K

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