おとなの発達障害 診断・治療・支援の最前線 (光文社新書)

  • 光文社
3.50
  • (3)
  • (4)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 113
感想 : 10
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334044916

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 現状から治療、就労と2020時点の最新の知見が詰まっている。診断には検査だけでなく生育歴など複数の角度から継続的に観察し判断をくださなければならない。簡単な質問をして、薬を出して…では誤診を招きかねないことがよくわかった。

  • ADHDやADHは、他の障害を含めて互いに関連していて、とくに幼児期の診断においては、これらを区別することは困難であることを学んだ。
    それを含めた様々な理由により、診断を下すのが困難である。血液検査のような測定できる指標がないのも、医師の大変さが想像できる。

    成人期ADHDの特徴も挙げられていて、私もそれなりに合致しそうな感じがする。遺伝性もそれなりにあり、両親の様子もしっかりヒアリングする必要があるとのこと。すべての担当医師がじっくり対応してくれていることを望む。

    成人の発達障害の患者さんは、受診先に困っているようで、医師数の増加と、患者が探しやすい(担当分野を明示する)ように、業界として対応してくれるとよい。

    第5章の薬物療法では、薬の種類や量により、人ごとに効果が大きく異る。合う合わないがある。調整が大変なことがよくわかった。もし私や家族が必要になったら、根気強く対応しようと思う。

    患者がお互いに思いや悩みを共有し、新しいスキルを習得する取り組みがある。マクドナルドでの段階的な技術習得のように、よく整備されているプログラムだと思った。
    プログラムに参加することで、自分の居場所ができ、自閉症的な行動が減少するとのこと。

    プログラム終了後、自主的なグループで集まってゲームやハイキングをするなど、ピアサポートが機能している。仕組みを作るのは大変だったと思う。

    自己理解、職業訓練、就職活動、定着支援の取り組みの紹介もある。
    得意不得意を理解しているので、なにをサポートしたらよいかがわかり、定着ができやすい。
    HTML、CSS、RPAといったことまで職業訓練が用意されているのに驚いた。サポートすれば多くのことができる。

  • 発達障害の特性をよく言い表していた。感情の制御に関する記述が少なく物足りなさを感じたが読みやすく障害を見直す良いきっかけになった。

  • 【書誌情報】
    『おとなの発達障害――診断・治療・支援の最前線』
    監修:岩波明 
    著者:小野和哉 林寧哲 柏淳 本田秀夫 松岡孝裕 横井英樹 鈴木慶太 高山恵子
    発売:2020年8月19日
    定価:902円(税込み)
    ISBN:978-4-334-04491-6
    光文社新書
    判型:新書判ソフト

     ADHD、ASD、ADHDとASDの併存、愛着障害との関連、二次障害、就職・仕事。臨床医・支援者が、最新の知見に基づき、皆さんの困りごとに答えます。
    https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334044916

    【簡易目次】
    はじめに
    第1章 成人期発達障害とは何か
    第2章 成人期発達障害診断の現在地と課題
    第3章 成人期発達障害診断の実際
    第4章 子どもから大人への発達障害診断
    第5章 薬物療法の現状と課題
    第6章 成人期発達障害の心理社会的治療
    第7章 民間における就労支援の現状と今後の予想
    第8章 えじそんくらぶの活動

  • 流行りに乗って、モノ申したくなった

  • タイトル通り「おとなの発達障害」という視点で経験豊かな執筆陣による豪華な一冊。
    成人期の方に対する支援や課題について、とても分かりやすくまとめられていた。

  • おとなの発達障害の現状が知りたいと思って読み始めたが、どちらかというと医療の現場や支援の状況についての話で、具体的なケースについての説明が少なかった。Aさんの場合・・・という感じの構成になっているのを期待していたので。まあ、書店で自分の目で見て買っているので文句は言えない。教育の現場にいると、とにかく保護者に問題ありと思えるケースは多い。しかし、それを直接言うことははばかられる。子どもに期待をかけすぎるケースも多い。親が期待しなくなったらおしまいだ、とも言えるかもしれないが、期待のかけ過ぎで子どもがつぶれることがある。その子なりの頑張りを認めてあげて欲しい。子どもが発達障害である場合、そのことに気づかずに2次障害を起こしてしまうのも恐い。分かってあげて、それなりの対応をしてあげると、良い面を伸ばすこともできるのに、と思えることも多い。もっとも、自分の子育てを振り返ると、まったくえらそうなことは言えない。まあでも、高校中退しようと、家出をしようと、いずれなんとかなるようにはなる。最終章の筆者が盛んに書いているが、専門家にはもっともっと教育現場や子育て中の保護者に対して、研究の成果なり、いろいろな症例について話しをしてほしい。自分自身も機会があれば勉強したい。

  • 東2法経図・6F開架:B1/10/1084/K

全10件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

平成2年3月,香川大学医学部医学科卒業。同年4月,東京慈恵会医科大学精紳医学講座入局,平成4年,成増厚生病院勤務,平成5年,東京慈恵会医科大学精紳医学講座助手,平成17年3月同大学専任講師,平成26年6月,東京慈恵会医科大学精紳医学講座准教授,平成29年7月,聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室特任教授,平成29年9月,東京慈恵会医科大学精神医学講座客員教授(兼任)。医学博士,精神保健指定医,日本精神神経学会認定指導医・認定専門医,小児精神医療委員会委員,日本児童青年精神医学会理事・代議員・認定医・認定審査会担当理事,教育に関する委員会担当理事,子どものこころ専門医,日本ADHD学会理事長,社団法人全国幼児教育研究協会理事,日本成人期発達障害臨床医学会理事,日本サイコセラーピー学会理事 認定 日欧共通サイコセラピスト,東京児童臨床精神医学会世話人,東京子どもメンタルヘルス研究会世話人,児童精神薬物治療研究会世話人,川崎市児童福祉審議委員会部会長。
専門は,児童思春期精神医学,精神療法学,精神病理学。
主な著書は,『マスコミ精紳医学』(星和書店,2001),『家庭医学』(法研)以上共著,『失われし自己を求めて(ロロ・メイ)』(誠信書房,1995)、『弁証法的行動療法実践マニュアル――境界性パーソナリティ障害への新しいアプローチ(マーシャ・リネハン)』(金剛出版,2007)以上共訳,『最新図解大人の発達障害サポートブック(発達障害を考える心をつなぐ)』(ナツメ社,2017),『図解よくわかる思春期の発達障害』(ナツメ社、2012)など。

「2023年 『児童期・青年期のADHD評価スケール ADHD-RS-5【DSM-5準拠】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小野和哉の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宇佐見りん
山崎 聡一郎
朝井 リョウ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×