資本主義から脱却せよ 貨幣を人びとの手に取り戻す (光文社新書)

  • 光文社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334045265

感想・レビュー・書評

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  •  最近この手の本が結構多く、その中でも出色なのは「人新生の資本論」だったのだが、この本も新しい社会を提言する意欲的な内容であることを期待して手に取ったものである。
     結論的には資本主義経済システムのうち「市場経済」というシステムを否定するのではなく「銀行中心の貨幣制度」を否定することを主張するものでした。そしてAIの進化によって、脱労働社会が実現するとすれば、BI(ベーシックインカム)の導入が大事だという。
     貨幣発行益を銀行が独占させずに、国民に分配するという考え方が新しいと思いました。この本の著者の一人高橋真矢氏は婚姻関係のない両親の子として生まれ、高校中退した「現役不安定ワーカー」という触れ込みであるが、この本は実質彼が書いたと言っても良いだろう。MMT論者と似ているところもあるが、新しい社会を論じている点で、MMT論者よりも深く考えていると言える。いわゆる経済学者ではない点が好感が持てる。

  • 銀行の信用創造に着目している点は、面白いと思ったが、現実的な解決策にはは至っていないと感じられた。

  • ●いったい私たちは豊かなのか貧しいのか。今は皆スマホを持っているじゃないかと言う。車、マイホーム、子供の教育費+スマートフォンの代金を賄えていると言う意味ならば確かに生活は向上したと言えるかもしれない。しかしスマートフォンの代金が賄えても、車、マイホーム、子供の教育費を賄えない人はすでに普通になっている。スマホを解約したところで、住宅ローンが組めるようになるわけではない。
    ●自分で選ぶことができる自由、それは良いことである一方で裏返すと「選ばれる」立場になると言うことである。欲望を与えられ、追いかけさせたり、常に惑わされる私たちはなんて不自由なんだろう。
    ●心理学でも考古学でも、物々交換が日常生活の中心として機能していた社会の文献や記録は不思議なほど見つかっていない。今のところ確認されているのは、交換ではなく「贈与」であり「共有」だった。収穫物を1カ所に貯蔵して、村のみんなで分け合うような経済のあり方だ。

  • 2021年末の大掃除で発掘した本です、この本は2021年の間に読む本の様ですね。読みかけになっていたために、評価は「★一つ」にしております。内容が不満足だったわけではありません。

    2021年12月29日作成

  • #flier

  • 参考図書

  • 本書は僕たちはもっと幸せになれると言っている。現在の貨幣システムを国民中心のものに変える事ができれば素晴らしいと思う。でも、本当にそんな事ができるのだろうか?

  • 東2法経図・6F開架:B1/10/1119/K

  • 2人の経済学者と不安定ワーカーによる共著。資本主義が現代になり機能不全になった問題点を指摘し、貨幣を人々の手に取り戻すことを語った本である。章ごとに各人が担当しており、3人の間に共通しないこともきちんと描かれているため、様々な視点から見れて面白い。
    思えば書店でも資本主義の限界を指摘する本は勢いを増しているように感じられる。その中でも本書は経済学的な視点から生活の視点、果ては幸福や自由といった哲学的視点まで幅広く論じられており、コストパフォーマンスに優れた一冊と言えるのではないだろうか。

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著者プロフィール

1964年、石川県生まれ。立命館大学経済学部教授。専門は理論経済学。神戸大学大学院経済学研究科博士課程修了。論文「商人道! 」で第3回河上肇賞奨励賞を受賞。著書『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)、『ケインズの逆襲 ハイエクの慧眼』(PHP新書)、『新しい左翼入門』(講談社現代新書)、編著に『「反緊縮!」宣言』、共著に『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(以上、亜紀書房)など多数。

「2022年 『コロナショック・ドクトリン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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