メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」 (光文社新書 1179)
- 光文社 (2022年1月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334045845
感想・レビュー・書評
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SF好きだったり、パソコンやゲーム好きだったりするので、最近のメタバースの話題に関しては楽しそうと思う反面、あくまでエンターテインメントとか仮想オフィスなどの利用に留まるのではないか、という印象がこれまで強かったです。
しかしこの本を読んでいると、メタバースは人間の生活のより深いところまで入りこむ可能性を感じました。ただそれをもろ手を挙げて歓迎できるかというと、人によって差があるかも。
本の内容としてはメタバースについての現状を技術や歴史的なポイントから解説のほかに、最近のゲームの潮流、フォートナイトやどうぶつの森との関連、そしてGAFAMといったアメリカ巨大IT企業のメタバースをめぐる動向などを紹介したりと、様々な観点から考察されています。
最近のゲームについてある程度知っていないと、序盤はやや想像しづらいかなと思いましたが、メタバースを可能にした技術の進歩や、社名をMetaに変えたFace Bookの野望に他のIT大手の今の取り組みなど、ニュースを表層的に見るだけでは分からないところが見えてきて満足しました。
著者曰くメタバースの世界はSNSのように現実世界のいやな部分を排し、なおかつアバターや3D技術などを介し、SNS以上に没入感の高い、もう一つの現実世界になりうるとして、様々な未来予測をします。
著者の現実に対する厭世観というかコンプレックスというか、そういうところは共感できる部分はありましたが、だからメタバースでずっと過ごすというのは、個人的に違和感が強かった。ディストピア系のSFを少し思い浮かべてしまいます。
でも、最近の分断されたSNSを見ているとそういう世界もあり得るのかな、とも思ってしまう。
メタバースが現実世界をどこまで侵食するか、いまの時点ではまだ想像するのが難しいけれども、インターネットやスマホ、SNSが社会に浸透し世界を動かしたということを考えると、メタバースについても無関心を貫いたり、無知のままではいられないのだと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトル通りの本。著者自身がデジタル世界をこよなく愛するオタクと自負しており、そのオタクぶりが存分に活かされて書かれている本。
メタバースと聞くと、ヘッドマウントディスプレイを付けてデジタル世界に…といったイメージだが、フォートナイトなどのゲームがメタバースであるといった内容が大変面白かった。 -
▼メタバースの意義
・SNSは、自分と合わない人を排除して気の合う小集団を構成する「フィルターバブル」の文化を形成した
・メタバースは、そのフィリターバブルを加速させる
・今、社会では多様性が謳われているが、同性愛は肯定されるのに二次元への愛はオタクとして気持ち悪がられるという不思議な状態が発生している。本当に多様性を認めるということは、決して綺麗なことではなく、汚らしい人間の欲求も肯定すること。
・メタバースでは、そんな極めて個人的で綺麗ではない価値観も含めた多様性を見た目、そんな人同士がつながる小集団を形成できる(リアルよりも美しく、都合の良い世界)
・究極的には、メタバース内に自分と、自分にとって都合の良いAI(デジタルヒューマン)だけで構成される空間が作られるかもしれない
▼インターネットの特性
・インターネットは議論には向いていない。インターネットは個々にカスタマイズされた快適で都合の良い空間を作ることに向いている。
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・メタバースは、リアルでは認められない「偏愛」をもっと人にこそ相性が良いのかもしれない。特にメタバース系のSNSなど。
・反対に、リアルの仕事や人間関係、資産周りが充実している人にとってのメタバースは、ゲームなどのエンタメ要素、そしてVR教材で学ぶなどのユーティリティ要素、サンドボックスなどの投資要素がメインになるのかもしれないと感じた -
メタバースに関して学びたく購入。
メタバースという概念について、これまでのメタバース史について書かれた後、GAFA各社のメタバースの取り組みが紹介される
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【きょうの一冊】
『メタバースとは何か』
岡嶋裕史/光文社新書
次のキラーサービス「メタバース」
覇権を握った企業は次の10年を統べることになると予想される
・メタバースとは何か、何ができるのか
・なぜメタバースなのか
・GAFAMの動向は
「リアルで生きるのが苦手」「仮想現実に救われている」という研究者がメタバースを解説、その可能性をさぐる
〈SNSは友だちとつながるサービスではなく、合わない人を切り捨てるサービス〉
〈メタバースが平等というのは幻想〉
と喝破したのは慧眼
キーワードは“フィルターバブル”にあり
《これからの社会を生きる人々にとって必読の入門書だろう。》──「神奈川新聞」書評(2022.2.27)
著者は富士総研勤務、関東学院大学準教授を経て中央大学国際情報学部教授 -
リアルに似てるけど、心地良く調整された、テックジャイアントに支配された世界。それを甘んじて受け入れるのか。
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マツコ会議で取り上げられてから興味を持った「メタバース」。のみならずに、インターネット界隈に疎い自分には社会・世界勉強としてもとても役に立った。
言葉の意味が解らずに調べながら読み進めたけれども。
なるほどと思ったポイントは、
インターネットが個人の力を増長させたのではなく、Googleが作った枠組みを上手く使えた人間が利益を得ている
ということと
SNSは友達と繋がるサービスではなく、合わない人を切り捨てるサービスであると言う点である。
生きたい場所で生きられて、愛したい対象を愛せる権利が当然という世界を望む。 -
・あくまで著者の定義ではあるが、メタバース、ミラーワールドなど混同されがちな概念を整理し、今なぜ勃興しているかなどの歴史的背景を紹介し、今後のGAFAMの動向なども掴める?入門書
・後半は著者の思いというか、これが書きたいんだなぁというオタクっぽいアツい内容で、読む人を選びそうではある
・個人的にはメタバース自体に特別の関心があるわけではないが、自分が望もうが拒もうがメタバース時代はいずれやってくると思っているし(技術とはそういうもの)、スマホが普及した時のように周りの様子を眺めつつ順応していけばいいかな〜というスタンス
・メタバースとは直接関係ないが、SNSは「繋がるもの」ではなく「(不快な人間関係を)断ち切るもの」という文言にハッとした
確かにその通りで、日頃感じていたものを綺麗に言語化してくれたという感覚 -
メタバースについて深く知ることができる好著
この本では、Web3やNFTやDAOなどについては軽くしか触れていない。それによりメタバースをより分かりやすくしているといえるだろう。
特に
第3章 なぜ今メタバースなのか?
第4章 GAFAMのメタバースへの取り組み
エピローグ
の章は重要かと感じた。メタバースを理解するにはこの部分が重要かも。 -
Vivyや電脳コイルなど、知っている作品が本書にでてきた。vivyは本当によかった、特に歌が。
メタバースの世界でのビジネスがこれからどんどん広がっていきそう