- Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334702656
感想・レビュー・書評
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うーん思ってたほど面白くない。
社会派であったり、ブラックユーモアであったりなど、良作が一つもないというわけではもちろんないのだが、純粋にミステリとして見ると面白いものは一つもない。
強いて言うならば、
佐野洋『証拠なし』、笹沢左保『海からの招待状』、土屋隆夫『加えて、消した』といったところだろうか。
だが、やはりどれも少し弱い。
著者陣は豪華なだけに残念。
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文章に若干の読みづらさがあるものの、内容的には十分に楽しめる一冊。短編のキレがそれぞれにあり、面白い。奇想天外な仕掛けはないもののミステリーだよね。と満足のできる話になっている。
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エラリー・クイーンの書誌部門、フレデリック・ダネイが選んだ日本作家の短編推理傑作集。中学入学前後に金山町の町民会館で借りて読んだから、二十数年ぶりの再読。うへぇ。最初に刊行されたのが77年で、クイーン自身が説明するように、「新社会派」が主流の時代で、驚くような緻密なトリックが仕掛けられた短編はほとんどない。リアリズムに徹している分、昭和四十年代、五十年代の香りがムンムン。
さて、二十数年ぶりの再読となったわけだが、12編の中で記憶に残っていたのは三編。戸川昌子「黄色い吸血鬼」。知的障害者を軟禁して輸血用の地を採血しまくるというとんでもない話だが、小学校出たての子供には読ませちゃダメだろと今更ながらに思うエロ描写アリ。当然その部分を中心に記憶によく残っていた。西村京太郎「優しい脅迫者」。床屋のおやじが客の頸動脈を切ってしまう話。この二十年、床屋行くとこの話をいつも思い出してしまう。記憶に残るどころの話ではない。森村誠一「魔少年」。全体は忘れていたが、エロシーンだけはよく覚えていた。
とまぁ、お恥ずかしや、エロと残虐しか記憶に残っていなかったこの短編集、三十代になって読み直してみると、クイーンを唸らせたほどの傑作が集まっているとはとても思えない。どれもパッとしない印象。そのなかで光る物があるとすれば笹川佐保「海からの招待状」。