ぶたぶたの食卓 (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 95
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334739058

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりのぶたぶたさん。今回は"食卓"がテーマですが
    ぶたぶたさんはなんといっぱしの料理人となっての登場です。

    しかしながらぶたぶたさんはやっぱり不思議なお人。(人~??...笑)

    4つのお話の中で、小学生と幼稚園生のお父さんだったぶたぶたさんが
    一気に年頃の娘の父親になっており、しかもその娘さんは
    もう嫁がれてしまっているのです。飛躍し過ぎ。(笑)

    だけどおかげで
    こんなぶたぶたさんのような家族がどうして成立したのかという
    真相が明らかにもなりました。^^

  • あいかわらず素敵な、
    しかも今回はさらにしみじみと、
    胸が痛くなるような切ない温かさを滲ませた、ぶたぶたさん♪

    チャーハン、あさりの酒蒸し、キャラメルソースのガレット、
    よりどりみどりのトッピングを添えたかき氷、と
    食いしん坊にはあまりにも魅力的な、ぶたぶたさん手作りの料理やお菓子が
    誰かの思い出の扉を開いたり、
    踏み出せなかった一歩を踏み出させたり
    「変わっていく自分」を受け入れる余裕をくれたり
    心にわだかまっていた後悔をやわらかく解いたり。

    「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」どころか
    「パンがあってもお菓子を食べたい」私の琴線に触れたのが
    ぶたぶたさんの作るキャラメルソースのガレットを口にした美澄さんの描写で、

    初めて食べたのに、思い出の中の味。。。
    華やかなハリウッド映画に影響を受けた古き良き少女マンガや
    『赤毛のアン』・『少女パレアナ』・『若草物語』・『小公女』などの
    外国の少女小説の中に出てきて、どんな味かと想像をふくらませていた味

    という文章に、憧れと懐かしさを包み込んだ甘さが本当に口の中に広がって
    お嫁にいく近所のお姉さんから貰い受けた
    『赤毛のアン』シリーズの10冊が宝物だった少女時代に
    一瞬でタイプスリップしたかのようでした。

    4つめのお話では、ほぼ20年ぶりに再会するぶたぶたさんは
    色褪せ、毛羽立っていて、
    独立したふたりの娘さんとの経緯も明かされて切なさがこみ上げるけれど
    その切なさの中には
    変わっていくものも、変わらないものも、変われないものも
    おおらかに受け止める温かさがしっかりと存在していて、
    小さいけれど、実は大きなぶたぶたさんに、想いはどんどん募るのでした♪

  • 今回は「食卓」ということで、お店やおうちの食卓でぶたぶたさんが料理を振る舞ったりレシピを教えたり、レシピを残そうと奮闘したりする話が主だった。しかしそれだけではなく、「変わるものと変わらないもの」というテーマがどの話にも共通して見られた気がする。心の病やリストラ、不景気…物語を取り巻く環境も中々シビアでぶたぶたさんも含め、苦しい最中もがきながら生きている人が多かった。
    特に印象的だったのは『ここにいてくれる人』だ。
    心を患ってしまうと、好きだったものをなんとも思えなくなった自分の姿を人に見せたくなくなる。そんな時
    「元の自分に戻ることばかり考えていたら繰り返しになるだけなんだよ。少しでもいいから、自分を変えるの」
    「本当に好きなものはきっとずっと好き」
    という言葉を思い出すと少しでも気持ちがほっとする、肩の力が抜けるのではないだろうか。
    無理に元に戻そうとするのではなく、少しずつ形を変えつつ元に近い状態になるようにするというのはいい心構えになると思った。
    まさかぬいぐるみ警部の作者の西澤先生が解説を書いていると思わなくてビックリしたのだが、さらに矢崎先生からすごく大きいぶたぶたさんをもらっていて、しかもぬいぐるみの写真もあってさらにビックリした!
    解説でぶたぶたさんについて深く考察されていて、さすが西澤先生だと思った。
    「『メビウスの輪』を共にさ迷うぶたぶたさんとの交流から生まれる物語が私たちの贈り物となっているとすれば、しんどいと思う人生も誰かからの贈り物だと考えても差し支えがないだろう。」ぶたぶたさんの物語から与えられる「癒し」は厳しい現実を生きていることを踏まえてのものだとすれば、頑張って厳しい世の中を生きているからこそぶたぶたさんの物語に癒されるということ。それがぶたぶたシリーズの根底にあるメッセージじゃないかと夢想せずにいられなかった。

  • しんみりだが、暖かい短編集。
    ぶたぶたの家族構成と大人になった子供達のはなしもほんの少し。
    傷つき疲れた人たちに勇気を与える源となる食べ物って素晴らしい。最後に哀愁…を感じてしまった。

  • フォローしている方の本棚で見つけた「ぶたぶた」シリーズ。
    どこから読んでも大丈夫という言葉も見かけたので、古本屋で見つけたこちらをさっそく購入。
    ぶたぶたさんの作る料理が、出会った人たちの心を解きほぐしていく短篇が4編収録されている。

    うーん。
    ぶたぶたさんの生態がすごく気になってページを繰る手が止まらない(笑
    いったい、仕組みはどうなってるんだろうか。
    バレーボールぐらいの大きさの、桃色のぶたのぬいぐるみ。それが「ぶたぶたさん」こと山崎ぶたぶた。しかも中身は中年男性だそうで(笑
    手触りの良さそうなぬいぐるみ。(モデルは実在するぬいぐるみのようです)
    ぎゅーっとしたいけど、それってセクハラになっちゃうのかな?(笑
    ぶたぶたさんの口調は見た目同様、とても柔らかで優しそう。
    ぶたぶたさんが動くさまを見ているだけで癒されてしまうのに、つぶらなビーズの目で見つめられたら、悩みもすんなり打ち明けてしまう気持ち、わかるなぁ。
    悩みって人に打ち明けたら、ラクになるものね。

    それから出てくる料理のおいしそうな描写にお腹の虫も良い反応を示す。
    おいしそうな料理は、須らく人の心を温かな気持ちにさせてくれるなぁ、と再確認。
    読んでいると本当にお腹が減ってくる(食べたくなっちゃう)から、空腹のときに読むのは危険な本だけど、でもやめられない。

    どうやら、私もぶたぶたさんのとりこになってしまったらしい。
    他のシリーズもきっと、ぶたぶたさんの中身のように、とても素敵でふわふわした時間が詰まっているはず。

    • まろんさん
      わーい!永遠ニ馨ルさんも、ついにぶたぶたさんデビューされたんですね♪
      しかも気に入っていただけたみたいで、ぶたぶたさんを愛する仲間が増えて、...
      わーい!永遠ニ馨ルさんも、ついにぶたぶたさんデビューされたんですね♪
      しかも気に入っていただけたみたいで、ぶたぶたさんを愛する仲間が増えて、うれしいです。

      愛らしい姿と、渋い声と、分別ある態度のギャップが素敵なぶたぶたさん。
      何冊か買いだめした中に、この『ぶたぶたの食卓』もあるので
      私も3冊目は、この本を読もうかな♪
      2012/07/28
    • 永遠ニ馨ルさん
      遅ればせながら、ぶたぶたさんデビューです(笑
      まろんさんのおっしゃるとおり、
      愛らしい姿に反する分別ある態度のギャップが素敵なんですよね。
      ...
      遅ればせながら、ぶたぶたさんデビューです(笑
      まろんさんのおっしゃるとおり、
      愛らしい姿に反する分別ある態度のギャップが素敵なんですよね。
      深追いせず、さりとて決して逃げたりしない…
      ある意味理想的な男性像です(笑

      ぜひぜひこちら、読んでください♪
      あっ、料理の描写がとてもおいしそうですから、
      空腹時を避ける、もしくは何かつまめるものをご準備の上でお読みくださいね。
      2012/07/28
  • 今回はぶたぶたさんがシェフになったり主夫?になったり。
    美味しいものをたくさん作ってくれています。
    読んでいるだけで食べたくなる!
    そしていつものようにほんわかとなりました。

  • 今回もとっても美味しそうな料理がたくさん出てきました!
    貝類は苦手なのですが、ぶたぶたの作る料理なら美味しく食べられそう!
    『ここにいてくれる人』が印象的でした。
    気分が沈んだ時に読み返したい話です。

  • とても優しい存在のぶたぶた。癒される小説であるが、少し切なかったり、心が痛むような想いも思い出される。全てぶたぶたが解決してくれる、という単純なファンタジーではないところがいい。手助けはしてくれるが、その先は自分次第なのだ。

  • 今回もほろりとしてしまった。
    ぶたぶたさん、本当に癒されます。

    全部の話がよくて、どれがいいとはいえない。
    いつも、大切なことを思い出させてくれる。
    おばあちゃんのこと、小さいころのこと、家族のこと、自分のこれからのこと。
    本当にこのシリーズは好き。

  • ★3ですが、3.5です。
    どの話の主人公も、一歩間違えば自分がその立場(病気とか失業とか)になってもおかしくない。
    ぬいぐるみが…というのはありえないけれど、それ以外は結構身近な問題だった。

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著者プロフィール

一九六四年、埼玉県生まれ。八五年、矢崎麗夜名義で星新一ショートショートコンテスト優秀賞を受賞し、八九年『ありのままなら純情ボーイ』で作家デビュー。主な著書に「ぶたぶた」シリーズ、「食堂つばめ」シリーズ、「NNNからの使者」シリーズ、『あなたのための時空のはざま』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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