見えないドアと鶴の空 (光文社文庫 し 30-3)

著者 :
  • 光文社
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334742751

感想・レビュー・書評

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  • ベタな三角関係とか、クレイジーな超常現象とかが一見目につくが、とことん内省的な井戸掘る系(廃坑もぐる系)の良さがある。

  • 不倫と超能力。なんともアンバランスな取り合わせ。
    なぜ、こんなややこしいことになってしまったのか。納得出来る点もあれば出来ない点もある。
    だいたい、私があまり由香里のような女の人が好きではないのでしょう。そして、色々ひっくるめて納得する昴一。もう、勝手にやってください。
    でも、内容的には嫌いな話ではないので、良しとします。

  • 響く言葉はあったものの話自体は意味不明でした。



    親子にしろ夫婦にしろ親友同士にしろ、人間関係というのは軽く見はじめると際限なく軽く見られるようになってくる。

    「昴一さんもやっぱり男なのねえ」
    「なんで?」
    「肝心なことは自分で決めないのよねえ。ほんとずるいんだから」

    「B型の人って、何か自分に都合の悪いことはや、真剣に考えなきゃいけないことが起きたときに限って、すぐ寝てしまうのよね」

    自分を愛するとは、人に愛される力を備えた自らを信頼するというにすぎない。

  • 超能力が入ってきたせいであまり面白くなく感じた

  • うーん、欲張りすぎじゃないか?恋愛、オカルト、アクション、サイコ、…盛り込み過ぎで全部が薄いというか、例えば恋愛(不倫)だけに絞ってたら、もうちょっとメッセージも届きやすかったのかも。

    親しい人間のことはもっと知っておきたい、という気持ちはわかる。しかし、知りすぎても良くないのではないかと思う。
    触れて欲しくない過去や、今は考えないことにしてる弱点なんかを「親しいなら全て知っておきたい、知っておくべきだ」という善性をまとったヤジ馬根性で掘り返したいという欲求。三流マスコミなんかがその欲を金儲けの材料に使うのだが、それって非常にはしたいないものだと思う。

    この本の主人公も、失職して専業主夫として暮らしていること(本人はヒモ同然と自嘲しているが)自体は全然恥ずかしくないが、妻の事も愛人の事も「親しいなら知っておきたい」と何でも掘り下げてしまうあたりの品性が残念に思う。

  • 生々しい生き方の物語なのに、超能力が介在すると骨格を失う気がするなぁ。

  • 【あらすじ】
    結婚して六年。繁村昂一は、二年前に出版社を辞め、失業中の身。いまは大手代理店に勤める妻の絹子が家計を支えている。ある日、昂一が、絹子の幼なじみ由香里の出産に立ち会ったことから際どい三角関係が始まる。やがて由香里の不思議な「能力」に気づいた昂一は、二人の故郷へと飛ぶ。そこには想像を絶する事態が待っていた―。物語の可能性をおし拡げる傑作長編。

    【感想】

  • 全ての命は、互いの相互作用の中で初めて生きる。合う、ということ。愛は、合い、なのだ。

  • 白石さん、どうしたんだ?超能力の話を使うなんて。。ちょっと物足りない。今回も美女がでてきます。

  • これまで少なからず読破してきた白石作品の中では、SFタッチで異質な作品でした。
    霊的な能力を媒介とさせながらもこれまでの白石作品と同様に生きる事や愛すること、生きる意味を問いかけるような文節は、何故か私の琴線に触れてくる。
    社会的に責任のある成熟した大人が仕事、恋愛、家族、病気、死など誰もがどこかで真摯に向き合わなくてはならない命題に対する接し方や捉え方を明示してくれているような…そんなところが私をざらりと撫で上げるのが白石一文なのだとそんな気がしてならない。彼の作品を読むほどに次が読みたいと渇きのような感情が湧き上がってくる。
    これまでにもたくさんの書き手に夢中になってきたがいい大人になってそろそろ老いを感じ始めた近年、私に「生きる」「愛する」を考えさせる稀有な作者である。
    早く次に読む彼の作品を探しに行かなきゃいけないなぁ
    本作も面白かったですが、作者が訴えていることは変わりないですが、作風としてはいつもとちょっと違っていて面白かったです。これが意欲作なのかどうかは分かりませんけどね…

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著者プロフィール

1958年、福岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。文藝春秋に勤務していた2000年、『一瞬の光』を刊行。各紙誌で絶賛され、鮮烈なデビューを飾る。09年『この胸に深々と突き刺さる矢を抜け』で山本周五郎賞を、翌10年には『ほかならぬ人へ』で直木賞を受賞。巧みなストーリーテリングと生きる意味を真摯に問いかける思索的な作風で、現代日本文学シーンにおいて唯一無二の存在感を放っている。『不自由な心』『すぐそばの彼方』『私という運命について』など著作多数。

「2023年 『松雪先生は空を飛んだ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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