スコ-レno.4 (光文社文庫 み 30-1)

著者 :
  • 光文社
3.86
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本棚登録 : 3614
感想 : 434
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784334746780

作品紹介・あらすじ

自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へと変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは…。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 最初の方はあまりするする読めなかった
    4つの中では靴屋で働き出した3章がよかった
    主人公がいろいろ回りくどく考えて、恋愛面などで結局踏み込めなかったりして、後からどうこう思ったりするようなところが面倒くさい…?羊と鋼の森の主人公もいろいろ考えていたけど、こちらの主人公にはあまり好感がもてず、でも共感はできた
    まだ2〜3作しか読んでいないけど表現や内面描写がほんとに素晴らしい作家さんだと思った

  • 星3.5
    正直、ストーリー自体は至って平凡。家族、姉妹、会社での人間関係、恋人との関係など色々な局面でのストーリーが読める。
    だけど、その場面場面での情景描写や表現の繊細さ、言葉選びのセンス等、宮下奈都さんにしか出来ない味付けが絶妙。羊と鋼の森を読んだ時も同じような感じを覚えた。良書。

  • 七葉との思い出を回想するたびに、何かしら事件というか大きな出来事を予想するのに、特にない。事件になるようなことは何もない。しかし麻子の心の内には深く印象に残っている。現実にそんな思い出って本当にたくさんあるなって。そういうなんでもないんだけど、自分の心の内に刻み込まれていて、誰かと共有することが難しいくらい些細なことを丁寧に回想してくれるのが印象的でした。

    人を愛すること、ものを愛すること、が語られるとき、骨董品屋の娘という生い立ちや靴屋への出向がとてもストンときた。「物に執着し過ぎること」と「ものを愛する能力」は広義で同意義なんだなと受け取りました。

  • 240314〜240322

  • 恋と家族とお仕事。
    中学から社会人までの、それぞれの時代の物語が4つの章で綴られている。
    妹との確執や母の人生への異議など家族の物語も良いのだが、ストーリーとして面白かったのはお仕事小説の体を成す3章。主人公が仕事にのめり込んでいく様と、(自分は向いていないと思っている)本人の意識とのズレがまたリアルで、この章だけで単独の作品として成立するくらい完成度が高い。
    しかし、なんと言っても素晴らしいのは1章と4章の恋に落ちる瞬間の描写。中学時代の鮮烈な一目惚れや、社会人時代のどうしようもなく恋に落ちていく描写はこちらまでドキドキするほど。
    「風が止まった」
    「もうだめだ、と思った」
    こうやって抜き出してみても何てことはない文章なのだが、読んでいてそこだけ浮かび上がって見えるような美しい表現でした。

  • 宮下さんの文体はどこまでも抽象的というか、
    例えば『好きになった』と一言で済むところを、何度も何度も言葉を重ね直接的な言葉を使わず表現しているんだなぁと感じます。

    そこが想像力を豊かにするし、細かな情景が浮かび上がると同時に、何かが起こるのか?どうなるんだ?とどんどん読み進めてしまいます。

  • 「立ち止まったり迷ったりしていたいつかの自分に読ませたい。」と思わせてくれる、一人の女性の中学生期から社会に出て何者かになるまでの成長物語。
    「羊と鋼の森」でも感じたことだけれど、宮下さんはこうした人の成長ドラマを描くのがとても上手い。しんとした静謐のなかにも心の躍動が伝わってくる。周辺の人物の描写も主人公の輪郭をはっきりさせるのにとても効果的で魅力的。
    この物語は大きく4つの章で構成されている。それぞれが絡み合って面白さを形づくっている。なかでも社会人編が特に面白い。靴を取り扱う会社にヒロイン麻子は就職することになるのだけれど、持ち前の審美眼を生かして自分にしかできないことを見つけていく。学生時代に長く続いた迷いや葛藤から解放されていく姿は爽快だ。宮本輝の「ここに地終わり海始まる」を思い出した。
    何より、どこか私の人生で体感してきたこととデジャヴしてしまうので共感しながら読みすすめてしまう。それくらい宮下さんの観察眼は優れているのだと思う。まさに王道。
    それは、仕事のこと、恋愛のことあらゆる場面に及ぶ。思春期の心の揺れから、大人の葛藤までこれだけ幅広く描けるのだから素直にすごいと思える。
    社会人編では、ちょうど私の友人が百科店で靴を取り扱う部署にいたので、とても興味深かった。よく百貨店に行って思うのが、一目見てその客にあったものを見つけてきてくれることだ。その眼力に舌を巻いていたがこういうことなのだと納得できた。
    なので私は店員さんが勧める服そのまんま全部買うファッションが面白くてすきだった。予想外の発見があったのを覚えている。
    読後感もとてもよくて、女性視点からの物語がとても新鮮だった。よい読書体験ができた。

  • この前読んだ宮下さんのエッセイが面白かったので、今度は小説を読んでみた。

    これは、女の子から女の人になる時期を描いた作品かな。色々なことに対して初めて挑戦することもあり、人に対しても家族に対しても気持ちが1番揺れ動く時ですよね。この時期は、自分でも自身の扱いに困ることだってある。

    でもね、その時期を抜けると、意外に見通しが良くなってくるんですよ。おばちゃんは知っている。
    そしてまた、次から次へと結婚、出産、介護などなど人生のフェーズは変化するのです。その流れに乗りながら、自分を見失わず...。難易度高っ。

    ずっと、女の人目線で感想を書いてますが、逆に男の人目線のスコーレNo.4とかあっても面白そう。興味あるかも〜。いや、朝井さん辺りがもう書いてそう〜。

    余談ですが、うちの家族が全員次々コロナに罹患していく中、意気揚々と元気にお世話している自分が怖いんですけど。逆に読書が進む〜(^^;)

    • へぶたんさん
      K村さん!初めまして!

      お心遣い、ありがとうございます!
      まさか同じ体験をされているとは…f(^_^;
      自分だけかからないって、ある意味こ...
      K村さん!初めまして!

      お心遣い、ありがとうございます!
      まさか同じ体験をされているとは…f(^_^;
      自分だけかからないって、ある意味こわいですよね。もう精神論で「私はならない!」と強く願ってます。

      まあ、いままでリスのようにためてた積読本はこの時のためだったということで(笑)
      お互いどんどん読書して、レビューしましょうo(^o^)o
      コメント、ありがとうございます!
      2024/02/12
    • ハッピーアワーをキメたK村さん
      へぶたんさん

      お返事ありがとうございます♪
      まだコロナ禍だった頃で、何度も家族と一緒に医者に行って検査をしましたが陰性でした
      理由はよくわ...
      へぶたんさん

      お返事ありがとうございます♪
      まだコロナ禍だった頃で、何度も家族と一緒に医者に行って検査をしましたが陰性でした
      理由はよくわかりませんが、たまにそういう人もいるみたいですよ笑

      そうです、積読本消化のチャンスですよね〜

      これからもよろしくお願いします(๑>◡<๑)
      2024/02/12
    • へぶたんさん
      K村さん

      コロナ禍だったんですか!!
      それは心配だったし、大変だったでしょう…。今とは心配の度合いが違いますよ。

      うちの家族は皆、何事に...
      K村さん

      コロナ禍だったんですか!!
      それは心配だったし、大変だったでしょう…。今とは心配の度合いが違いますよ。

      うちの家族は皆、何事に対しても流行の波にのれないという特性があり、今頃…(^-^;

      こちらこそこれからもよろしくお願いします!
      レビュー楽しみにしてます♪
      2024/02/12

  • どんなに嫌なことも、関係がなさそうなことも、今も、きっと無駄では無い
    まだ気付いてないだけ

  • 「自由奔放な妹・七葉に比べて自分は平凡だと思っている女の子・津川麻子。そんな彼女も、中学、高校、大学、就職を通して4つのスコーレ(学校)と出会い、少女から女性へと変わっていく。そして、彼女が遅まきながらやっと気づいた自分のいちばん大切なものとは…。ひとりの女性が悩み苦しみながらも成長する姿を淡く切なく美しく描きあげた傑作。」

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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