- Amazon.co.jp ・本 (536ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334751845
作品紹介・あらすじ
殺人を犯した者の詳細な運命がつづられる最終巻。ラスコーリニコフをはじめ、母、妹、友人、そして娼婦ソーニャなど、あらゆる「主人公たち」が渦巻きながら生き生きと歩き、涙し、愛を語る。ペテルブルグの暑い夏の狂気は、ここに終わりを告げる…。
感想・レビュー・書評
-
150年以上前の作品だが、古典的名作として読み継がれ、いまなお色褪せないのは本作品は人間の本質を描いているからであろう。ルージンがソーニャを責問する場面やカテリーナが狂乱し召される場面は心がきゅっとなる。犯した罪を軽視しながらも罪の意識に苛まれ強迫観念に駆られ続けたラスコーリニコフ。最後の終わり方が緩やかな光と希望に包まれたものであるもの良い。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み終わるまで何度も中断しながら数年かけてなんとか読了。面白いのはたしかで、読みかけのところを読んでいるうちにそれまでの話がありありと浮かんでくる。
とはいえ細かいところを読み込んでいく楽しさは2周目以降なのかなと思う。
亀山さんの読者ガイドがかなりありがたい。またそれを手がかりに読み直したい、今度は中断せずに読み切れる気がする。
個々の話に入り込みすぎでしんどかったので今度は主人公の物語としての動きを俯瞰したいのと、周囲の人間の主義主張に耳を傾けながら全体像の把握に努めたい。 -
5よりの★4つです!
もー、あれやこれや事件が多く起きすぎます!
ただ③巻は「あっ!」という間に読み終えてしまいました。。咀嚼できるだろうか。
『罪と罰』通してのヒットワードは“しらみ”です。 -
ドスト氏が重すぎて、当分は軽めの本を読みます。
-
やっと罪と罰読み終わった!なんか女キャラばっか優しくて、というか自己犠牲に快感を覚えていて、宗教性の違いなのかなと思った。ソーニャ母が葬式にて貴族の娘である自分に相応しいもてなしや客を望むのにあまりにもひどい客人ばっかで混乱に満ちたシーンが気に入った。
-
ようやく読了。長かったけど最後の方は展開が早く一気に読んだ。面白かった。ラスコーリニコフの心情描写の細かさはまさに芸術的。ポルフィーリとのにらみ合い、腹の探り合いが味があって面白い。
ラスコーリニコフの狂信的な信念からの犯罪、自白という泥沼状態からソフィアとの愛によって浄化される様は圧巻。ラズミーヒンとドゥーニャの兄に対する愛もまた暖かい。
それにしても世の中を変えてきた革命者が多くの死者を生み出しても罰せられず歴史に名を残してきたのに、凡人は罪を犯したら必ず罰せられるという理不尽な世界の有り様を問題提議している。罪とは一体なんなのか?愛する人を悲しませる行為をずっと心の底から涌き出てくる後悔という形で抱えてきたラスコーリニコフの描写が一つの答えなのかもしれない。 -
1巻と2巻は2週間くらいかけて何とか読み終えたけど、この3巻は朝から晩までかけて1日で読み終えてしまった。
今さっき読み終え、まだ虚無感が残っている。今まで読んだ本の中でトップクラスに心にズシンと来る1冊だった。
色んな知識人がこの作品をべた褒めしてるから、そのバイアスがかかってるとは思うけど。
登場人物が全員好きだった。
ルージンも勿論悪役で性格も悪いんだろうけど、動機はどうであれ、主人公と揉めなければいい人で終わりそう。現実世界でいい人だと思われてる人でも、ルージンみたいな人沢山いるんだろうな。心では相手を見下してる人。
スヴィドリガイロフもいいキャラしてた。突然現れた謎の人物。心の魂胆を見抜かれ主人公と対立するけど、最終的にはドゥーニャに拒絶され自殺。小さい子を助けたりしてる描写から、ルージンみたいな心からの悪人では無いんだろうね。
本当に妻を毒殺したのかどうか、彼の自殺に至るまで心理プロセスなど、まだまだ読み取れてない部分も沢山あるので、時間と気力があればまた考察してみたい。多分しないと思うけど。
結局ナポレオン主義は間違ってたのかな?それとも間違ってる間違ってないとかの次元の問題じゃないのかな?
エピローグの疫病の話から読み取れるように、みんなが皆ラスコーリニコフみたいな考えになったら世界は崩壊する。
選ばれた人間というものが神様によって明確に教えられていれば、このシステムは正しく働く。
でも功利主義的な考えが常に正しいとは限らないし難しいね。
ラスコーリニコフが警察署で自首するシーンが自分の中でピークだったから、エピローグは個人的に蛇足だった気がする。自首するシーンで心臓バクバクだったのに、心が安らかになっちゃった。
まあ主人公の再生のの気持ちが見れたのは嬉しいし、あった方が作品として綺麗に終わるのは分かるけど。
他にとカテリーナさんの発狂シーンや、ラスコーリニコフの「協同組合」の看板のシーン等々お気に入りのシーンが沢山ある。
付箋を貼っておいたのでそこだけでもまた読み直したい。