- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784334753597
感想・レビュー・書評
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表題ほど明るいわけでは無いけど、希望を感じることができるお話しだった。
日本が太平洋戦争で世相が暗くなる一方の中、太平洋の向こうの「敵国」で生きる、貧しき市井の人が、どういう生き方をしていたのかを感じることができた。
民主主義に対する絶大な信頼とか、健気に生きるホーマー少年に対する電報局長の優しさとか、兵士が敵兵を恨まない姿勢とか、アメリカ人のアメリカ人たる所以とも言えるような美点を感じることができたのは良かった。
P276
「名前は両親にではなく施設でつけられ、両親がどんな人物なのかも知らず、どこの国の人かも知らず、自分が何人の血を引くのかも知らないのだからね。(中略)」
「きみはアメリカ人だ」マーカスがいう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
twitterで日本の古本屋さんが年に一度は読むと紹介していたので、飛びついたのですが、そこで紹介されていたのは恐らくバルザックの方。でも、結果間違って良かったかも!
マコーレイ家のホーマーの健気なこと、老電信士との心温まる交流…戦争や老いによる死からは逃れようもないけれど、それでも人間は、人間の良心は素晴らしいと思いました。
世の垢にまみれた心を洗い流してくれる一冊でした。
私が読んだのは晶文社 文学のおくりもの16 小島信夫訳のです。 -
素直に良い本だと思いました。
4歳から少年兵まで、何気ない日常にいろいろな感情、気持ちをおりまぜて、うまく表現されています。
ふつーにという感じですが、それをこんな風に書けたらいいな、と思う内容でした。
だんだん、悲しいような感じがするんですが、でもす~と読み終えました。 -
宝箱の様な作品だった。その宝箱は決して古びる事はなく、普遍的な価値がある宝が詰まっている。
人間とは何かという永遠に色褪せないテーマ、家族愛、戦争に対する静かな怒り、まさに古典の中の古典と言える名作。
沢木耕太郎さんが新潮文庫『深夜特急2』の中で本書の素晴らしい冒頭部分に触れていたが、今後も多くの人に影響を与える、現代人こそ読むべき作品だろう。 -
やっぱりサローヤンはいいな。優しさと寂しさを本当に上手く書く。
5歳のユリシーズがたまらなくかわいい。 -
第二次世界大戦中、アメリカの田舎町イサカ。
若い男たちは戦争に出ている。
残った少年が老人と共に電報配達の仕事に従事する。
届けられる電報の多くは、若者の戦死を告げるものだ。
この戦争の敵国が日本であることを思うと辛いけれど、もっと普遍的な、人間と、家族と、近隣と、都市と、国家の関わりを噛み締める、優しい物語。
最後、母は息子の友人を家に迎え入れる。
WELCOME STRANGER
本書の冒頭、アルメニア移民としてアメリカに育ったサローヤンが母へ捧げた献辞に帰ってくるラスト。「平易」で「実直でからりと明るい」小説だった。 -
サローヤンの少年時代と、主人公ホーマーを重ねて読んでみると面白い。
いろんなストーリーが組み込まれている物語 -
いっぱい本読んでると、またこの展開か、またこういう設定か、と「自分は一体なんのために本を読んでいるんだい?」と頭がぽわわすることがある。(ほぼ毎日)しかしだな、この本はだな、第二次対戦の最中の、耐えしのぐ国民を近所ぐるみで描いているのだが、いちいち心持ってかれるのよ。ホーマーつう14歳の子がもぐりで電報配達の仕事してる。そうさ、大体が「息子が戦死しましたよ」つう内容。皆呆然として、ホーマーを抱き締める。その日はショックで、次の日のご飯の時におかんにポツポツ話す。4歳の弟もアイドルみたいに可愛い。
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大好きな音楽アーティストがこの本を何回も読んだと言っていたので、読んでみました。
本を読む習慣がなかなか身に付かない私が古典作品を読んだので、なかなか読み進められなかったですが、心が温かくなる良いお話だと思いました。
すごいな、強くて優しい人だなって思う登場人物が印象的でした。主人公も頑張って生きててすごく優しいなと思いました。